何回も何回も書いたテーマだが、敢えてまたまたエントリーに載せる。ご高承の通り、我が家の晩御飯の献立は、予めこれを作ろうというものが決まっていない。この食材がこのスーパーで安いとなると、駆けつけてそのおかずを買い、夕飯の膳に乗せる。今日はサミットでオージービーフの腿、ステーキ用が100g108円であった。これは買わない手はない。もちろん今夜の夕飯のおかずは, 安い食材が見つかった手前、ステーキである。ステーキがおかずというと聞こえがいいが、食材費一人400円にも満たない。牛肉のステーキとジャガイモのフライの取り合わせを、ビフテック・フリットと称して、これはフランス人の国民食であることも既に書いた。フランスにおける焼肉の歴史は比較的新しい。18世紀にイギリスから渡ってきた調理法だという。しかし、それ以前の歴史を繙いてみると、ブルボン朝華やかなりしころのルイ14世の食卓には肉があふれていた。王の食事の料理は主に家禽・野禽が中心であるが、ルイ14世に供せられる料理は、みなひとしく王の”ヴィアンドゥ”(肉)と呼ばれた。王は賓客の前で数十皿にも及ぶ『王のヴィアンドゥ』を食した。もちろん、そのすさまじい分量の食物をすべて胃に収めることは不可能である。つまみ食いであった。しかし、各国の使節をはじめとする賓客の前で、『肉』を平らげることは、王の権勢を見せつけるに充分であった。それだけ、ヨーロッパ、わけてもフランスでは食に関する肉に対しての執着は並々ならぬものがあった。時が下って産業革命を経験したフランスの都市ブルジョアは、平民とはいえ日常的に牛肉を食べられる身分にまで出世した。しかし、農村部の百姓は年に数回、豚肉の塩漬けを食べるのが精々であった。だから、自由・平等・博愛の21世紀ともなれば、庶民の肉に対する憧憬の念は現実にそれを入手できる環境になったことに合わせて爆発的なものになった。そしてフランス人は、週に2回も3回も・・・・あるいは毎日この牛肉とジャガイモのビフテック・フリットを食うのである。7月14日も間近である。我が家では”ラ・マルセイエーズ”は歌わなかったが、日本の庶民に対する底上げ政策(”格差”という声も聞こえてくるが、それはそれとして措いておいて・・・)に感謝して牛肉の焼肉を食ったのである。
我が家には妻子と猫とやぶ蚊かな 素閑
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