今日は、かーたんは小学校の同窓会。したがって、バイトが入っているエルさんとオカブはそれぞればらばらに夕飯を摂ることになった。さて、それでは素麺でも茹でて食うかとも思ったが、さすがにそれでは寂しいので、外食とすることにする。それでは、どこに?ということだが、かーたん連れでは決して行けない、太子堂のもつ焼き屋の名店『久仁』に行くことにした。かーたんは臓物が食えないからオカブ一人ではないと、こんなチャンスは滅多にないのである。『久仁』はその筋の人間からは”神店”とも称されるほどのそれはそれは素晴らしい店である。しかし、そのなんとも面妖な店構えからしても、スゥイーツ諸嬢や、オカブのようなミーハーには、極めて敷居の高い店であるのも確かである。この入りにくさは三ツ星レストランに勝るとも劣らないのではないか?そこで、オカブは一応、ジャケットだけは羽織っていった。店を描写するとまずは、看板、その他客寄せに要するツールが全くない。開け放たれた硝子戸の中では、かまびすしい話声が聞こえてくるが、かろうじて吊るされた赤提灯がなかったら、事情を知らない通行人は、交番の隣に鉄火場の賭博場でもあるのかと間違えやしないかと心配するほどである。オカブが行ったのは4時半過ぎ。この時間が微妙である。店は4時から開いている。しかし、開店早々暖簾をくぐって、一杯やっていると、後から来た常連の諸先輩から、こいつなにやってんだ?と白い眼で見られること必定である。しかし、5時を回って入店してもいけない。その頃には常連諸兄で席は満席になっている。というわけで、三ツ星レストランよりも格式の高い暖簾をくぐり、空いているカウンターにいかにも来馴れているといった風情で腰を下ろす。まずは「すいません。サワーなどいただけますか?」と周囲の反応を伺いながらびくびくと注文を申し奉る。案外、周りの常連諸兄はオカブのことなど眼中になく、わいわい、ぐびぐびやっているとみるや、「あのー、モツ煮などもついでといってはなんですが、よろしければ頂戴したいのですが」と言上する。サワーがくるとぐびりと一口やって周囲を見回し図々しくもさっと写真などを撮る。アルコールが回ってくると卑屈になりながらも、図々しくもいろいろ注文する。この雰囲気どこかで経験したことはなかったですかねぇ?そうそう、高級な寿司屋のカウンターに座るとこういう心理状態になるのを思い出した。まぁ、そんなことは措いておいて、焼き物1本100円、サワー1杯330円、漬物150円、煮込み300円でサワー5杯しこたま飲んで食って締めて3,120円の安さ!モツは新鮮そのもので、何とも言えない甘みが感じられるお味。塩で食べるとその良さがよくわかる。漬物は京料理屋にも勝る味わいである。久仁は本当は、ごくごく気楽に来れる店である。こんな店が家から歩いて5分のところにあるというのは幸せである。
雨上がり傘忘れじと瓜を食み 素閑
レモンサワー。天然果汁絞りたて百%である。
レバ、シロ、ガツ。新鮮でプリプリしている。冷凍物は決して使わない。
ぼんじり、子袋、パイである。パイとはなんのことか今もってわからん。
蕪のお新香。もう最高ですねえ。独り者はこういうところに来てはいけません。
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久仁
電話:03(3410)7806
世田谷区太子堂3-18-2(茶沢通り太子堂派出所隣)
予約可 火曜休
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