昼のガスパール・オカブ日記

閑人オカブの日常、つらつら思ったことなど。語るもせんなき繰り言を俳句を交えて独吟。

十二月

2018-12-10 16:11:15 | 俳句

今年の2月にパリに行ってきたが、そこでまず感じたのは街の汚さだった。
これまで何度もパリに行ったが、こんなに雑然とした街並みは見たことがない。
裏通りに入れば、まさにゴミ捨て場のような様相である。
これは人心が荒廃しているな、と思った。
そこで、今回のフランス全土の暴動である。
原因はマクロン政権の失政というよりも、ここ数年ヨーロッパ全土を覆う閉塞感が市民の忍耐の限界を超えたことだと思う。
これはドイツで極右政党(極右という言葉は使いたくないが・・・ドイツの知的階級に属する良識ある友人がこの運動に参加しているので「極右」と言うのには抵抗感がある)が催している反移民の示威行動と共通するものがある。
ホイジンガが『中世の秋』を著したのは前世紀だが、没落に伴う混乱は、今、ヨーロッパを危機に陥れている。

十二月薄く曇りて明け染めぬ   素閑

十二月和服の目立つ仲見世や   素閑

十二月穏やかなれと朝祈る   素閑

岩の磯海の碧や十二月   素閑

鈍色のただ広き海十二月   素閑

高麗と称する骨董十二月   素閑

十二月日に三度ほど街に出で  素閑

意味もなく晴れたる空や十二月   素閑

遠き山まじかに見ゆる十二月   素閑

石磨き苔の落ちたる十二月   素閑


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