ハコベ
春を発見!ハコベが出てきました。ヒメオドリコソウも咲いています。3日前の雪もすっかり消えました。同じ秋田県でも由利本荘の沿岸部は温暖です。30分も内陸に入ると雪に埋もれています。
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このハコベは「はこべら」とも呼ばれ、春の七草の一つとして親しまれています。この植物はユーラシア原産で、農業と共に世界中に広がった史前帰化植物とされています。ハコベの名前は古い呼び名の「はこべら」や「はくべら」が変化したもので、語源には「蔓延芽叢(はびこりめむら)」、「歯覆(はこぼるる)」、「葉采群(はこめら)」などいくつかの説があるそうです。
ハコベは食用や薬用として使われ、柔らかい葉はニワトリや小鳥の餌にも適しています。地方によって「ハコビ」、「ヒズリ」、「ヘズリ」、「アサシラベ」、「ヒヨコグサ」など様々な名前で呼ばれ、英語でも「chickweed(=ヒヨコの草)」と呼ばれています。ハコベの花は白色で、先が割れた5枚の花弁を星のように咲かせる小さな花で、可憐な野の花という印象です。ハコベ属の名前「Stellaria」はラテン語で「星」を意味する「ステラ」に由来しています。
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ハコベ属には世界中に約120種があり、日本ではコハコベ(S. media)、ミドリハコベ(S. neglecta)、ウシハコベ(S. aquatica)の3種がよく知られています。花が咲く3~6月に、地上に伸びた茎や葉を刈り取り、洗って天日干しにしたものが「繁縷(ハンロウ)」という生薬として使われます。これには産後の血液の浄化、乳の分泌を促進する効果、胃腸薬や湿疹などの皮膚の炎症の治療に利用されてきました。また、この粉末に塩を加えて「ハコベ塩」を作り、指で歯茎をマッサージすると歯茎からの出血や歯槽膿漏を予防できるとされてきました。江戸時代にはすでに使用されており、ハコベ塩は歯磨き粉の元祖とも言われています。中国では「繁縷」という名前で古くから薬用として使われていましたが、ハコベ塩は日本独特の民間療法です。
ハコベは非常に水気の多い草で、乾燥させるとカッスカスになってしまいます。繊維質ばかりが目立ち、淡褐色に変色し、使い勝手も悪い。そのため、ハコベは生のまま使うか、搾り汁を使うのが効率的だと思います。ただまだ食べるにはちょっと早いです。
生のまま野菜のように使う場合は、生えているハコベの先端を指でつまみ、簡単にちぎれる部分だけ採集します。自然と切れる部分までが繊維が柔らかく、食べやすい食材となるためです。クセがなく苦みもほとんどない草なので、カイワレダイコンのように、そのままサラダに加えたり、味噌汁の実として浮かべたりして使えます。天ぷらにしたり、お好み焼きの具に加えたりするのもオツです。もう1週間もすれば食べられます。
ギシギシの芽も出てきました。
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