「魔女と過ごした七日間」 東野圭吾 角川書店
中学3年の月沢陸真は警備保障会社で働く父親、克司と2人暮らしだった。
その克司が多摩川で遺体となって発見される。
克司の前歴は刑事で、見当たり捜査員だったが、AIの導入で仕事を奪われた形で退職していた。
そして、警備保障会社の仕事は、潜入監視員だった。
イベントなどの会場で不特定多数の客をカメラで撮影し、それをAIで解析して不審者を発見する。
AIに追い出されたのに、今度はAIに手を貸す仕事を、陸真は皮肉だと思っていた。
しかし、見当たり捜査で使った指名手配犯の顔写真をまとめた分厚いファイルをまだ持っていて、警備員の時に発見して逮捕に協力した事もあった。
遺品を整理していた陸真は、『永江照菜』と書かれた今年7歳になる少女の血液検査の結果の書類や、預金通帳に自分の知らない3人の名前の人物に100万、50万と大金が動いているのを発見する。お金を振り込まれていた人の名が『永江多貴子』だった。
陸真は何かと心配してくれ相談に乗ってくれる友達の宮前純也と、多分親子と思われる『永江』に会いに行こうと考える。
手掛かりは血液検査票に書かれた開明大学病院や羽原全太郎医師の名前。
そして、そこで陸真は羽原円華と出会い、円華、陸真、純也で克司を殺した犯人捜しが始まる。
事件を捜査している刑事、脇坂拓郎も陸真から話を聞くうち警察内でタブーになっている、『T町一家三人強盗殺人事件』との関係に気が付く。
それは犯人、新島史郎死亡で決着した事件だった。
「ラプラスの魔女シリーズ」 3作目
読んでいて気が付いた。
「ラプラスの魔女シリーズ」はあまり好みではなかった。
羽原円華があまり好きになれない人物で、それは今回も同じだった。
そして、円華の“信じられない事”があまり面白く感じられない。
それで、色々な事が解決していくのが、何だか物語にそぐわない感じ。
中学生のコンビの関係は良かったし、AIやDNAの話題も面白かったから、魔女シリーズではない方が良かったかも。
しかし、最近はAIやDNAの話も当たり前になって来た。
この物語も舞台はもう少し先なのか、もしかしたら実際に行われているかも知れない。
個人情報を守る事が盛んに言われているが、結局Webに登録していたら、漏れるのは防げない感じもする。
結構盛りだくさんな内容で、焦点がちょっとぼやけた感じもする。
明らかになった郵便貯金の謎も、それは無いだろうと言う感じ。
始めの方が面白く少々尻つぼみな感じがした。
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