しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「金のゆりかご」 北川歩実 

2009年08月05日 | 読書
「金のゆりかご」 北川歩実  集英社 

GCS幼児教育センターは、医師の近松吾郎が考案した、天才を生み出す幼児教育プログラムを実践していた。
センターの前身、近松式幼児英才塾は創設から数年後、天才少年少女そ生み出し注目を浴びた。
しかし、9年前に、訓練中に4人の子どもが発狂したという噂が流れた。
その真相を追うフリーライター河西慶太は、かつてGCS教育で天才少年Yと呼ばれた野上雄貴に接触する。
今29歳の野上は20歳の時に近松吾郎に憎悪の気持ちを抱いてインタビューを受けていた。
野上の天才的知能は中学で薄れ始め、今はタクシードライバーをしていた。
野上は吾郎の認知されていない実子だった。
そしてセンターは、吾郎が病で意識がなくなると、野上をセンターの幹部に迎えたいと申し出て来る。
野上はGCS幼児教育センターの実体を知りたいと思った。



本当の天才とは、そんな話も織り込みながらのサスペンス物語。
狂ってしまった子を取り替えている話しなど、かなり面白かった。
最後に来て二転三転する展開が、思ってもいなかったところに着地した。
天才はインスピレーションの問題というのも、分かる。
世の中には、天才が結構いるが、それが早期教育を受けたのかと言われたら、そうとは限らないだろう。
人間の可能性は限りないのかも。

しかし、早期教育の話題は実際の保育・教育の場にもある。
結構、解釈の仕方で賛否両論、議論が白熱するテーマだ。
知識を受け入れられやすい環境を作ってあげるのは、実際に大切なことだと思う。
受験のための詰め込みはいらないと思うけれど、実際はこちらの方が当面必要になるのが、実情。
でも、結局はどんな人間になって欲しいかなんだよね。

物語の中での、守も母親の悩みも分かるし、より高いものを追求したいという守の気持ちも分かる。
子どもは純粋に向上したいと思っている。



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