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「古い骨」 アーロン・エルキンズ

2024年12月14日 | 読書
「古い骨」 アーロン・エルキンズ   ミステリア・プレス文庫  
 OLD BONES      青木久恵・訳

モン・サン・ミシェル湾の干潟でギョーム・デュ・ロシェが溺死する。
貝を採集していて、潮の満ちを忘れたとされた。
その日、ギョームは一族会議を召集し、親族を自分のロシュボン館に招いていた。
招かれたのはギョームの遠縁のいとこルネ・デ・ロシュ家族と、ルネの妹のソフィー・バッツ夫婦、ソフィーの甥ノレイモンド・シェーファー、ギョームのいとこのクロード・フジェーレ家族の9名。
クロードが招かれた事に、他の親族は嫌悪の目を向けていた。
それは、フランスがドイツに占領されていた時のこと。
レジスタンスに身を投じていたルネの兄、アランがナチに捕まり処刑される。
クロードはナチの協力者で、アランが捕まる事を知っていながらそれを知らせなかったからだ。
そして、これまで一族会議には呼ばれていなかった。
親族にギョームの死が知らされ、葬儀が終わり遺言者が読み上げられる。
主にルネとソフィーに財産相続されると言うものだった。
そこでクロードが異議を唱え「新しい遺言書が作られることになっていたと」と話す。
だから自分も呼ばれたのだと。
次の日、以前から頼んであった館の排水管を治す為の工事が始まる。
葬儀後だったが、ルネが許可して始まる。
そして、地下の床下を剥がしていて、白骨が発見される。
捜査を担当するルシアン・アナトール・ジョリ警部は科学捜査の講習会を受けている最中で、白骨と聞いて、その時の講師のギデオン・P・オリヴァー博士を伴ってロシュボン館に赴く。
ギデオンは、白骨死体の法科学的分析で成果をおさめ〈スケルトン探偵〉の異名を持っていた。



 


モン・サン・ミシェルの干潟で溺れると言う衝撃的なシーンから始まった物語。
モン・サン・ミシェルというだけで、ワクワクした気持ちになるが、あの場所があんなに恐ろしい場所になるのだ。
しかも、2度もそんな様子が掛かれ、ドキドキされられる。
過去にあったことと現在に起こっている事が関連しながら登場人物の事が分かって行く。
探偵役として登場するギデオン・P・オリヴァー博士も興味深い人物で面白い。
スケルトン探偵は骨や傷からもあんなに色々と分かるのか。
しかし、今は優秀な検視があちこちの物語で行われているから、誰でも分かるのだろうか。
きちんと謎解きや、過去の事が明らかになって行く正統派ミステリ。
しかし、なんとなく雰囲気がいい意味で軽く明るい。
殺人事件が起こっているのに、明るいのは不謹慎かも知れないが。
ソフトでユーモアのある人物が多いからかも知れない。
人間同士も係わり合いや会話が面白い。
しかし、この物語も戦争が生んだ悲劇である。
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