「テルアビブの犬」 小手鞠るい 文藝春秋
「フランダースの犬」のオマージュ。
9歳ツヨシと89歳の祖父と、シベリアン・ハスキー血が流れていのソラの物語。
ソラはツヨシと同じ9歳。
アロア役は岡本風砂子。
ツヨシは、文学を愛し、みんなが楽しく、平和に、平等に暮らしていけたらと思う。
祖父の仕事は、荷車を引いての廃品回収。
「フランダースの犬」のオマージュと知って読む。
そのタイトルが「テルアビブの犬」なので、イスラエルの話しかと思ったら、舞台は日本。
時は1954年。
分かる人なら、タイトルや登場人物の名前で、何が起こるか分かったのだろう。
自分は「フランダースの犬」は本やアニメで知っているが、他の事は知らなかった。
ほとんど「フランダースの犬」そのままに物語が進んで行く。
荷車を引く仕事、お金持ちの家の娘と仲良くなったことで、その父親に嫌われる。
火事の疑いを掛けられ、生活が苦しくなる。
祖父が亡くなり、家を出て行かなければならなくなった時、大金の入った財布を拾う。
それがその父親の物だったので、届けてソラを託す。
しかし、ソラはツヨシを追い、凍える寒さに2人で抱き合って死んでしまう、はずだったが。
ここで、違いが出る。
死んだのは犬のソラだけで、ツヨシは助かる。
そして大きくなり、テロリストになる。
場所はテルアビブ空港。
タイトルのテルアビブが出てきたが、なぜ、こんな結末になるのだと唖然とした。
最後の参考文献で気が付く。と言うか、調べて分かった。
ツヨシは、「テルアビブ空港乱射事件」の実行犯の1人、奥平剛士がモデル。
そう言えば、本文前に、この奥平剛士の手紙が載せられていた。
「テルアビブ空港乱射事件」は、読むと何となく記憶にあるような気はするが、良く覚えていなかった。
しかし「日本赤軍」は、「あさま山荘事件」や「総括、リンチ殺人」と結びついて嫌悪感しかない。
「テルアビブ空港乱射事件」は、世界ではじめて起きた、無差別大量殺人。
理由はパレスチナ・ゲリラの報復。
26人の被害者。ほとんどが空港に到着したばかりのプエルトリコのキリスト教巡礼者。
なんと悲惨なテロだったことか。
物語のツヨシが、なぜ“平和で平等で自由な世界”の為にこの「仕事」を引き受けたのか。
あまりにあっさりと書かれていて、その思考を理解出来ない。
まるで英雄のように扱われ、これでいいのかと恐ろしい。
確かにソラが、それは間違いだと言い、引き止めようとする。
しかし、ツヨシが止めなかったのも事実なのだ。
実際に起きた事件をなかったことには出来ない。
今、進んで自爆テロをする人たちも、このツヨシと同じような気持ちなのだろう。
だから、余計に称賛するような言葉が怖い。
テロを否定するならば、死んだ後のツヨシにソラと会話をさせて欲しかった。
ツヨシに大いなる悔恨と嘆きを与えて欲しかった。
魂の安息の地へは行ってはいけないのではないだろうか。
作者は、なぜ「フランダースの犬」の話を、奥平剛士を結び付けたかったのだろう。
貧しさや不平等を書くのに好都合と思ったのだろうか。
奥平剛士の物語を書きたかったのなら、彼の生い立ちを辿れば良かったのに。
ネロやアロアをテロリストにされた様で、とても嫌だ。
「フランダースの犬」のオマージュ。
9歳ツヨシと89歳の祖父と、シベリアン・ハスキー血が流れていのソラの物語。
ソラはツヨシと同じ9歳。
アロア役は岡本風砂子。
ツヨシは、文学を愛し、みんなが楽しく、平和に、平等に暮らしていけたらと思う。
祖父の仕事は、荷車を引いての廃品回収。
「フランダースの犬」のオマージュと知って読む。
そのタイトルが「テルアビブの犬」なので、イスラエルの話しかと思ったら、舞台は日本。
時は1954年。
分かる人なら、タイトルや登場人物の名前で、何が起こるか分かったのだろう。
自分は「フランダースの犬」は本やアニメで知っているが、他の事は知らなかった。
ほとんど「フランダースの犬」そのままに物語が進んで行く。
荷車を引く仕事、お金持ちの家の娘と仲良くなったことで、その父親に嫌われる。
火事の疑いを掛けられ、生活が苦しくなる。
祖父が亡くなり、家を出て行かなければならなくなった時、大金の入った財布を拾う。
それがその父親の物だったので、届けてソラを託す。
しかし、ソラはツヨシを追い、凍える寒さに2人で抱き合って死んでしまう、はずだったが。
ここで、違いが出る。
死んだのは犬のソラだけで、ツヨシは助かる。
そして大きくなり、テロリストになる。
場所はテルアビブ空港。
タイトルのテルアビブが出てきたが、なぜ、こんな結末になるのだと唖然とした。
最後の参考文献で気が付く。と言うか、調べて分かった。
ツヨシは、「テルアビブ空港乱射事件」の実行犯の1人、奥平剛士がモデル。
そう言えば、本文前に、この奥平剛士の手紙が載せられていた。
「テルアビブ空港乱射事件」は、読むと何となく記憶にあるような気はするが、良く覚えていなかった。
しかし「日本赤軍」は、「あさま山荘事件」や「総括、リンチ殺人」と結びついて嫌悪感しかない。
「テルアビブ空港乱射事件」は、世界ではじめて起きた、無差別大量殺人。
理由はパレスチナ・ゲリラの報復。
26人の被害者。ほとんどが空港に到着したばかりのプエルトリコのキリスト教巡礼者。
なんと悲惨なテロだったことか。
物語のツヨシが、なぜ“平和で平等で自由な世界”の為にこの「仕事」を引き受けたのか。
あまりにあっさりと書かれていて、その思考を理解出来ない。
まるで英雄のように扱われ、これでいいのかと恐ろしい。
確かにソラが、それは間違いだと言い、引き止めようとする。
しかし、ツヨシが止めなかったのも事実なのだ。
実際に起きた事件をなかったことには出来ない。
今、進んで自爆テロをする人たちも、このツヨシと同じような気持ちなのだろう。
だから、余計に称賛するような言葉が怖い。
テロを否定するならば、死んだ後のツヨシにソラと会話をさせて欲しかった。
ツヨシに大いなる悔恨と嘆きを与えて欲しかった。
魂の安息の地へは行ってはいけないのではないだろうか。
作者は、なぜ「フランダースの犬」の話を、奥平剛士を結び付けたかったのだろう。
貧しさや不平等を書くのに好都合と思ったのだろうか。
奥平剛士の物語を書きたかったのなら、彼の生い立ちを辿れば良かったのに。
ネロやアロアをテロリストにされた様で、とても嫌だ。
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