しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「開かせていただき光栄です」  皆川博子 

2011年11月22日 | 読書
「開かせていただき光栄です」  皆川博子     早川書房 
 DILATED TO MEET YOU        

18世紀ロンドン。
まだ解剖の重要性が認められていない英国。
<ロバート・バートン解剖教室>は開設したロバートの弟、外科医のダニエルが講師をしていた。
弟子は5人。
饒舌(チャターボックス)クラレンス・スプナー22歳。
肥満体(ファッティ)ベンジャミン・ビーミス21歳。
骨皮(スキニー)アルバート・ウッド23歳。
容姿端麗エドワード・ターナー21歳。
天才細密画家ナイジェル・ハート19歳。
解剖する死体がなかなか手に入らないため、墓あばきのディックとゴブリンから購入していた。
ある日手に入れた妊娠6か月の妊婦の死体が、準男爵令嬢のエレイン・ラフヘッドだった。
貴重な死体のダニエルは喜ぶが、解剖中にボウ・ストリート・ランナーズ(治安判事に所属する犯罪捜査犯人逮捕係)が来訪する。
慌てて死体を弟子たちが作った隠し場所、暖炉に隠す。
次の取り出した時、その死体は、四肢を切断された少年の死体に取り替わっていた。

17歳のネイサン・ケインは詩人になるため、130マイルを駅馬車に揺られロンドンにやって来た。
自作の詩と、屋根裏で見つけた古書<15世紀の聖職者が書いた詩篇>を持ち、ティンダル書店を訪ねる予定だ。
通り掛かりの教会の墓地で、ネイサンはエドワードとナイジェルに出会う。
エドは、いつも行くコーヒーハウス<マシューズ>を教え、3人は友達になる。
そして、ネイサンはティンダル書店でエレインと知り合い恋に落ちる。






死んでいた少年はネイサンだと予想され、直ぐに分かる。
ネイサンが、なぜ四肢を切断された死体になってしまったのか。
エレイン嬢やエドやナイジェルとのその後の係りは。
時間をさかのぼり、ネイサンの物語も並行に書かれていく。
この何故が明らかになる物語かと思ったら、もっと複雑で推理力も必要なサスペンス。
死人もたくさん出てしまう。
色々なことに巻き込まれて行った、ネイサンの人生。
その頃のロンドンの様子もよく分かる。
真面目で解剖のことしか頭にない、人の良いダニエル。
ちょっと変わっている、陽気でコミカルな5人の弟子集団。
盲目の治安判事ジョン・フィールディングと、その姪で助手のアン=シャーリー・モア。
登場人物も、軽快に動いている感じ。

皆川博子さんの、今までの印象と少々違う、明るい軽さがある。
サスペンスも満載で、とても面白かった。
ラストも哀しいながら、後味はいい。
続編があってもいい物語。



開かせていただき光栄です DILATED TO MEET YOU  は、
お目にかかれて光栄です  CLELIGHTED  TO MEET YOU の言い換え。


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