しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「壺の町」  望月諒子 

2014年08月20日 | 読書
「壺の町」  望月諒子   光文社     

神戸の西の端にある武蔵台という住宅街。
ある昼間、そこにある古畑家が火事になり、3人の遺体が発見される。
火事になる前の、足を切りつけられていて、逃げられない様にして火を付けた殺人事件だった。
被害者は古畑幸一、和子夫婦と娘の香。
香の夫の雅貴は病院勤務の医師で、診療中で家には居ず無事だった。
火事になる前の一人の男が家から飛び出して来たのが目撃されていた。
警察は香が付き合っていた男友達を突き止め、話を聞く。
その中の1人、カルチャーセンターの講師で小説家の水嶋周平は、香から聞いた話として「佐川」の名を告げる。
古畑幸一が六寺町で不動産業をしていた時に、長く務めた従業員だと言う。
しかし、佐川の行方はなかなか見つからず、疑われていると感じた周平は自分でも事件を調べ始める。
そして、古畑が不動産業の時、地上げに係わりかなりあくどい事をしていたのを知る。









神戸が舞台で、震災も絡んで重みがある物語。
復讐劇なのだが、それだけでは終わらない深さがある。
タイトルの壺の町が、どのような事を表しているのか。
それが住む人々の心に及ぼす影響。
復讐したい気持ちが起こるのは人間だけではないのだと。
その大きな、黒い塊のような物に圧倒される。
犯人はある意味、早い内に分かる。
動機も。
それは、あまりにも悲惨で同情出来るもの。
その復讐劇のために費やす時間と労力と、気力と、そこまで、用意周到にする見事さ。
そして、その過程であった重要な出来事も、心が揺さぶられる。
本当は、もっと違う道を選びたかったのではないかと。
それだけ持ちこたえた気持ちも、全てが納得の物語。
ただ、復讐の方法は相手の命を奪う事とだけではないと思うのだが。
悲惨な死を与えるだけでは、何も理解しないまま終わってしまう。
それが復讐だとも思えない。
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