しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「粛清」  ソフィ・オクサネン 

2012年04月01日 | 読書
「粛清」  ソフィ・オクサネン    早川書房
 Puhdistus               上野元美・訳

エストニアの小村に暮らすアリーダは、ソビエト統治時代の行ないのせいで近隣からいやがらせを受けながらも、家族の土地を守りながら細々と生活している。
ある朝、彼女は家の庭に見知らぬ若い女が倒れているのを発見する。
またいやがらせ?
あるいは、最近流行りの盗賊の一味?
悩みながらも、アリーダは衰弱している女を家にあげてしまう。
その女はエストニア語を話すロシア人で、名前をザラといった。
誰かから逃げているようだが、理由ははっきりしない。行動も奇矯だった。
だが、孤独なアリーダは、ザラを家に匿うことに決める。
    <カバー見返しより>







タイトルの「粛清」から思い出すのは、連合赤軍。
なので、始めから不穏な空気を感じる。
舞台のエストニアは、ロシアとナチスによって翻弄された国。
どんな展開の物語なのか全く知らずに読み進める。
始めは手探で、物語も静かな様相だったが、段々色々なことがはっきりして来て、引き込まれる。
アリーダの感情を抑え込んだ生き方が心に響く。
何があったのかも、最後は明らかになる。
それでも、アリーダに同情してしまう。

他国に干渉されることよって、政治的思想が同じ国なのに違うひとたちがいる。
それが生活にも違いを生む。
島国日本では考えられないこと。
もう変えることが出来ない歴史だから、余計に辛く感じる。
しかし、こんな時代があったのだと振り返るほど、過去ではない。
世界ではどんなことがあったのか、知ることは大切だ。

チェルノブイリ原発事故のことも出て来る。
酷い事実を知らせない国。
今の日本はどうなのだろう。

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