「夜が終わる場所」 クレイグ・ホールデン

「夜が終わる場所」　クレイグ・ホールデン　　扶桑社ミステリー　　

　　Ｆｏｕｒ　Ｃｏｒｎｅｒｓ　ｏｆ　Ｎｉｇｈｔ　　　　　近藤純夫・訳

アメリカ中西部の小都市の朝。

警官のマックスとバンクがデニーズで変わりばえのしない朝食を待っていた。

その時、警察無線が少女の失踪を報じた。

夜勤明けの二人は招集に応じる義務はなかったが、バンクはマックスを引っ張るように少女の家に向かい、母親の前で号泣した。

マックスには解っていた。バンクの娘も七年前に失踪していたのだ。

だが、バンクの涙にはもっと深い意味があったのだ。

二件の失踪事件は複雑に呼応し、驚くべき真相に到達することになる。

　　　　　　＜文庫本裏カバーより＞

マックスの一人称で語られる物語。

マックス（マック）・スタイナーとバンク・アルバーは子ども時代の同級生。

バンクは両親を亡くし、養父母の家で生活しているが、マックスやマックスの父親とも親しくなる。

マックスとバンク、２人の物語がメインでその中に、少女誘拐がある感じ。

物語は、今のタマラ・シプリーの誘拐と、７年前のバンクの娘にジェイミーの誘拐、そしてマックスとバンクの話が順番に出て来る。

時々、この誘拐の話はどちらだろうと分からなくなる時もある。

違ったと持った時は戻ってもう一度。それなので、なかなかサクサクとは進まない。

それでも、バンクとマックスの関係が興味深い。

ジェイミーがいなくなった後のバンクの様子が、とても心が痛くなる。

しかし、最後まで読むとまた一段とその時の様子が違った意味で痛い。

マックスにも分からなかった、バンクの一面。

そして、分かってからバンクの苦悩を思うマックス。

とてもつらくなる物語。

人間は自分の感情をコントロール出来ないものなのだ。

だから悩むのは分かるが、深く考えるほど、自分の闇に落ちて行ってしまう人間がいる。

結局バンクの行きつく先はなかったのだろうか。

逆にその時からマックスはバンクを受け入れたのかも知れない。