しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「その女アレックス」 ピエール・ルメートル

2016年06月09日 | 読書
「その女アレックス」 ピエール・ルメートル   文春文庫   
 ALEX               橘明美・訳

アレックスは夜中の帰宅途中にある男に拉致され監禁される。
車に押し込まれる所を目撃した人が警察に通報する。
通報を受けて、捜査を担当する事になったのはカミーユ・ヴェリーヴェン警部。
カミーユは過去に妊娠中の妻が誘拐され殺されていた。
誘拐事件には係りたくなかったのだが、人手がなかった。
誘拐された人物は、行方不明の届け出もなくなかなか特定出来ない。
一方誘拐されたアレックスは、小さな檻に閉じ込められる。
そして、その男の正体に気が付く。
アレックスとカミーユ警部の側が交互に書かれる物語。








たくさんの人が殺される。
それもかなり残酷に。
その辺りはあまり想像せずに、足早に通り過ぎる感じ。
それにしても、どうしてこうもあっさり出会った人を殺してしまうのか。
ただサイコパスの物語だったのかと少々うんざり。
しかし、段々その殺人の裏にある物語が見えて来る。
陰惨で残酷で、だからこうなったと言うことを納得させるような。
この事件でサイコパスになった事は間違いがない。
アレックスの人生は、もう復讐のことしかなかったのだろう。
最後に仕掛けた罠が、アレックスがしたかった1番のことなのだろう。
物語としては、それで捻りが出たのだが。
だが、何の躊躇いもなく命を奪ったそれまでの復讐を考えると、ちょっと曖昧。
逃れられる可能性もあるのに、それを見届けることは出来ない。
もしかしたら、失敗したかも知れない復讐なのに。
そのあたりには全くの他人との違いを感じる物があったのだろうか。
「真実より正義」そう判断してくれた人たちがいたから成り立ったとも言える復讐。

事件を離れて考えると、カミ―ル警部のチームが面白い。
うんざりしていた時も、こちらの話は何だか面白かった。
ルイもアルマンも個性的。
ケチな人、好きだ。職権乱用だけど。

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