「痕跡」 パトリシア・コーンウェル

バージニア州検屍局長、ジョエル・マーカスからケイ・スカーペッタに協力要請の電話がある。
それは１４歳の少女が自宅のベッドで死んでいるのが発見されたが、死因が分からないというものだった。
ケイはマリーノと共に５年振りにリッチモンドを訪れ、そこでかつてケイが検屍局長をしていた建物が取り壊されつつあるのを目撃して、暗い気持ちになる。
そして、ケイが訪れた時、作業員が死亡する。
事故に見られたが、その作業員と少女の遺体から、同じ微細物質が発見される。
ジョエルは死体解剖の時の不手際を責めるが、そんなことはありえないと副局長のフィールディングは反発する。

検屍官ケイ・シリーズ第１３弾


ケイが係わる事件の他に、姪のルーシーが関わる事件もあり、それが繋がっていくのだが。
最後に犯人しかわからない動機がモノローグで書かれているが、後味の悪い事件。
犯人の動機だけ取り上げると、今までの復讐劇などにもよくあるパターン。
復讐される方は、悪意はなくうっかりや覚えていないパターン。
だからと言って許される訳ではない。
だから、こういう話は遣り切れなさが残る。
全体と通しても、登場人物の心のもやもやが反映されたように、暗い物語だった。
推理物としても、あまり盛り上がらなかった感じがする。