しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「アマルフィ」 真保裕一 

2009年12月01日 | 読書
「アマルフィ」 真保裕一     扶桑社

黒田康作は邦人保護担当特別領事の肩書きを持つ。
調印式に出席するために外遊して来る外務大臣の警護指揮のため、ローマに就く。
そこに、ホテル・パルテノンから、観光に訪れていた9歳の少女、矢上まどかが行方不明になったとの連絡が入る。
ホテルに出向いた黒田が母親の紗江子に話しを聞いている時、携帯電話に身代金要求の電話が入る。
イタリア語が堪能な黒田が電話に出たことで、黒田は誘拐事件の解決に関わっていく。
大使館には捜査権も司法権もなく、外交官は側面援助しか出来ないことになっていた。




映画の原作として書かれた物語。
違う点のいくつかあるそうだ。
映画は見ていないが、かなり宣伝されていたので、黒田を織田裕二さんが演じることは知っていた。
主演が決って書かれたものなので、作者は織田さんをイメージして書いたと思う。
しかし、自分は黒田と織田さんのイメージは重ならなかった。
読む時も織田さんの顔は思い浮かばなかったので、邪魔にもならなかった。
映画を見ていたら違ったのかも。
しかし、観光地を巡るような感覚もあるので、いつか映画でアマルフィの街や海を見たい。

映画を意識して書かれた感じはよく分かる。
この誘拐の根底にあったものを考えれば、もっと重い物語にも出来た気がするが、少々軽い。
誘拐犯人たちの動機も、何だかついでに書かれたようだった。
こちらにもっと重点を置いても、興味深い物語になった気がする。
報道されなければ知ることが出来ないが、知ろうとしなければもっと何も分からない。
テロが続いているようだが、印象に残っているのは、学校占拠事件だ。

プロットはよく考えられているが、それが充分に生かされていない感じがして、勿体ない。
もっとサスペンス度を上げて欲しかった。

そして、大使館の役割ってあんなものなのか。知らなかった。
一般人ではなく、政治家のもの。
しかも、すべて税金を使っているのかと思うと、ぞっとする。
政治家が外国に行く度に一体いくら使われているのだろう。



アマルフィって間抜けのアルフィーだ。


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