しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「処刑前夜」 メアリ・W・ウォーカー

2008年01月10日 | 読書
テキサス州オースチン。
ジャーナリストのモリー・ケイツは11年前に起こった連続殺人事件を本にまとめた。
その犯人、ルイ・ブロンクの死刑執行が近づいている今、それを見届けもう1冊本を書こうと取材を続けていた。
そんな時、被害者のひとり、アンドリア(タイニー)・マクファーランドの夫、チャーリーから会って欲しいと言われマクファーランド邸を訪ねる。
チャーリーはモリーが予定していた、11歳の時に母親が殺された現場にいたチャーリー娘のアリスンのインタビューを中止して欲しいという。
その数日後、チャーリーの後妻、ジョージアが殺害される。
それは、ルイ・ブロンクの手口と同じだった。
そして、モリーの元に犯行を暗示する手紙が届く。
ルイは面会に行ったモリーに、自分はタイニーを殺していないと告げる。



殺人犯人は本当はその殺人を犯してはいないのではないかという疑問。
そして、主人公のモリーは死刑反対論者。
犯していない罪で死刑にされることを止めようと奔走し、そして、そのことにより事件が進展していく。
真相は、ということで物語は盛り上げっていくのだが、ストーリーの面白さに反して何となくもやもやしたものが生まれる。
モリーのジャーナリストの立場に共感出来ないことがある。
被害者の立場を考えてしまうから。
そして、死刑囚ルイはタイニーの殺害に対しては無罪を主張するが、他にも大勢殺しているのは認めている。
裁判はタイニーの殺人だけに対して行われたのだろうか。
モリーが犯していないかも知れない罪で裁かれる、と悩むのだが、他の罪のことは気にしていないのだろうか。
そして、タイニーを殺していないとしたら、気にするのは本当の犯人は誰だろうという方なのではないだろうか。
なんだか違う、と気持ちが落ち着かない。

原題「THE RED SCREAM(赤い叫び)」は死刑囚がいよいよ最期の時を目前にしてあげる断末魔の叫びのこと。   
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