しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「悪寒」  伊岡瞬 

2020年09月26日 | 読書
「悪寒」  伊岡瞬   集英社   

大手製薬会社『誠南メディシン』の販売促進一課の係長だった藤井健一。
会社の不祥事の責任を取らされ、山形の系列会社に飛ばされていた。
誠南メディシンの不祥事は上司の指示で、藤井自身はその事を誤魔化されていた。
会社には社長の長男で専務取締役の南田誠と、誠の腹違いの弟、南田隆司常務の勢力争いがあった。
藤井は誠派の方だったが、1年で本社の戻してくれると言う隆司の話を受け、誠派を裏切っていた。
しかし、1年過ぎても本社へ戻る辞令は出ず、鬱屈した日々を送っていた。
そんな時、妻の倫子が傷害致死罪で逮捕される。
死んだのは南田隆司だった。
藤井は単身赴任から暫くして、倫子にも娘の香純にも疎まれて始め、ほとんど連絡もなかったので、唖然とする。







これは、倫子が誰かの罪を庇っている、と言う設定だと言うのは直ぐに気が付く。
自分が身代わりになるのを躊躇わない誰かと言えば自分の子どもだろうと。
結果は違ったのだが。
ただ、そうではないとなると、倫子の取った行動はいまひとつ理解出来ないと言うかあまり現実的ではない気がする。
本当にそれが真相になっても良いのだろうか、と。
自分の守るべき1番は何なのかを考えたら不思議だ。
他の人を犯人に仕立て上げる案も、ありだなと考えた。
藤井と同じ、あれこれと考える余地のある事件。
最後の落ち着き所は驚きと言うより、そんな事にしたのかと呆れる方が強かった。
しかし藤井も、会社人間とはこんなにも哀れなのかと。情けない。
鍵は自分が握っていると考えればもっと上手く立ち回れるだろう。
それ以上に、それでも会社に愛着があるものだろうか。
自分が犠牲になって家族を守ると言う意気なのか。
倫子が出来た人間なら、相談すれば違った道があったのではないだろうか。
何だかずっとモヤモヤしながら読み進めていた。
真壁刑事の異質な存在が面白かった。
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