しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「望み」  雫井脩之

2019年08月21日 | 読書
「望み」  雫井脩之  角川書店   

埼玉県戸沢市で建築デザインの仕事をしている石川一登。
自宅の敷地内に事務所を構え、自宅をモデルルームとして客にも見せていた。
家族は自宅で校正の仕事をしている妻の貴代美と高校1年の息子・規士と中学3年の娘・雅。
規士は客が来ても不愛想な態度を取るようになり、それが一登には少々不満だった。
9月の週末、規士が2日帰って来ず、連絡も取れなく心配していた時、戸沢市で車のトランクから遺体が見つかったとニュースが報じる。
車から若い男が2人離れて行く目撃者がいた。
やがて、遺体は倉橋与志彦と判明、規士の友人だった。
そして、与志彦の友人関係で3人の行方が分からなくなっていた。
マスコミの報道から周りの人達は規士を犯人のように見始める。
事件が起こった背景が分かるにつれ、一登と貴代美は今まで、規士のことを何も知らなかったことを痛感する。
一登は、規士が犯人とは思えず無実を信じるが、それは与志彦を同じ様に命を失っている可能性を示した。
貴代美は、罪を一緒に償う覚悟を決め、規士が生きている事を願う。






この物語は自分の息子が犯人かそうでないのか、それだけが問題。
それも、息子が殺人を起こしたのか、それとも被害者として死んでいるのか、と両極端。
母親は生きていて欲しいというだけに固執して殺人犯でいてくれと願う。
それが自分には違和感。
規士の友人の涼介との会話とその時の心情も、分からない。
もっと葛藤するものではないだろうか。
あんなに単純に考えて。
そして罪を一緒に償えば良いと言うのも単純過ぎる。
息子を信じている一登の方がまだ分かる気がする。
貴代美の雅にたいする態度も、雅が可哀想。
物語なのだから、結末はもっと違うものを期待していた。
行方が分からず、連絡が取れない理由は他にも考えられなかったのだろうか。
あまりに当たり前の結末が以外。


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