乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

ジェーラ(シチリア島)

2011-07-08 | イタリア
 今回はシチリア島南部のジェーラ(Gela)という街の話です。ジェーラはカターニア方面からカルタジローネを経てやって来る内陸側の鉄道と、シラクサからラグーザを経て来る海側の鉄道の交点にあります。ここは工業都市で近隣の世界遺産に指定されている有力観光地ラグーザやカルタジローネと違い旅行者が乗り換え以外の用で寄ることはあまりなさそうなところです。
 「乗り鉄」目当ての私の場合も同様というのか、ここでは内陸の路線から海側の路線にすぐに乗り換えるだけの予定でした。しかし運の悪いことに訪問時内陸側の路線が橋梁の破損により運休中で、代行バスはあったものの乗ったら遠回りで所要時間が長くかかってしまい、ジェーラで乗り継ぐはずの海側の列車に間に合わず夕方から夜にかけここで時間をつぶすはめになったのというのが今回の話になる理由です。

 というわけでまず内陸を走って来た代行バスを降りたところから始めます。臨海部の工場の煙突が見えたら間もなく街外れにあるジェーラ駅ですが、どうやって時間つぶそうかなあとあまりわくわくもしてきません。


 ジェーラの駅前は市内バスと中長距離バス両方の乗り場になっているので乗り換える場所としては便利です。ただ周りにお店だとかはろくにありません。またバス関係の施設はバールに切符売り場がくっついている程度のものが駅舎からバス乗り場を挟んだ向かい側にあるだけです。


 そんな駅の周りで4時間もつぶせないので南西にある旧市街に向かってみることにします。歩く道々には果物や野菜を売るトラックが点在しとても美味しそうです。

 メロンが美味しそうだったので少しだけ買えないかと尋ねたらひとつメロンを持つや半分に切ってタダで渡して下さいました。売り物だというのにどうもありがとうございます。


 ジェーラの旧市街は駅と海岸線の間にある丘の上にあるので坂を上ります。下の画像は上った丘の中腹にあるメルカート広場です。この辺りが旧市街の入口にあたります。


 旧市街は落ち着いていてそれなりに人の出がありなかなかいい雰囲気でした。

 街の中心にあたるのがマードレ教会付近でここまで駅から1.5kmほどです。広場がありオジサンたちが大勢夕涼みに集まっていました。

 一角に雑貨の屋台を広げている中国人のお兄さんがいてなんとなく挨拶すると上海から来たんだそうです。遠くからごくろうさまです、ってヒトのこと言えませんけれども。


 旧市街の南側は海岸線なので下りてみます。

 意外に高低差があり街路も細かくてなかなか下まで着きません。


 住宅や海軍の建物を見つつ無事海岸に出ました。海水浴場が広がる砂浜の隣には岩場が広がり、暗くなっていても釣りやカニ獲りに来ている人がパラパラと見えます。なお海岸沿いの道からこの海岸に入る辺りにバールがあったので一休みできました。


 なかなか暗くならない夏のシチリア島でもさすがに9時前には暗くなります。あとは夜の旧市街を見物しつつ駅に戻りました。


 戻ったジェーラ駅構内には結構大き目の売店とバールがあります。9時半頃にはもう閉まっていましたけれども。


 駅前で乗ったラグーザ経由モディカ行きのバスです。これは運休時の代行バスではなくトレニタリアの全国版時刻表にも掲載されているような通常運行の鉄道並行バスで主に駅前を結びながら走るものです。この手のバスはこういう小さなクルマが来ることがあるのでよく注意し乗りっぱぐれないようにしなければなりません。また切符は車内で買えないので乗る前に駅で購入しておく必要があります。


 というわけで成り行きで寄ることになってしまったジェーラですが一応それなりに時間がつぶせました。
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ヴィエトリ・スル・マーレ(カンパニア州)

2011-07-07 | イタリア
 イタリア南部で乗り鉄していてナポリ近郊にあるサレルノ(Salerno)という駅で3時間近く乗り継ぎ時間ができてしまいました。
 どうやって時間つぶそうかな、と地図を眺めたところ世界遺産の観光地として有名なアマルフィ海岸が目に入ります。複雑な地形が美しいというのでバスにでも乗ろうかと思いましたがこの日は日曜日でした。イタリアの公共交通は日曜になると運休や減便が多いのであまり奥まで行くと戻って来れなくなりそうでちょっと心配です。

 そこで改めて地図を見るとサレルノから近いアマルフィ海岸東端のヴィエトリ・スル・マーレ(Vietri sul Mare)というところまで海岸線に沿って鉄道が通っていることに気づきました。線路は高いところっぽいので景色がよさそう、乗る時間はサレルノから10分弱と近いのでこれならちょうどいいと行ってみることにしました。
 サレルノ駅でFS(トレニタリア)の券売機に向かい切符を買おうとすると買えないのでちょっと面食らい、そこで「あ、そうか」と気づき駅構内のタバッキ(売店)に行ったところ無事に買えやれやれとなります。どういうことかというと、ナポリ近郊の公共交通は「Unico Campania」という各社共通の乗車券システムになっているので、FSが運行している路線であってもこのUnico Campaniaの切符で乗る場合がありそれに該当したわけです。Unico Campaniaの切符は主に駅・バス停周辺のタバッキで販売されています。ナポリ方面を訪問される場合はご注意下さい。

 そんなわけでちょっとだけの乗り鉄開始です。サレルノの街を抜けるとコンテナ埠頭を眼下に望み、やがて青い海、と予想通り眺めのいいところを走ります。



 たった5km弱乗っただけなので降りるのがちょっともったいない気持ちになってVietri sul Mare-Amalfi駅に着きました。

 ホームからもよい眺望です。


 この駅は無人駅ですが駅舎は土産物屋として使われているので寂れた感じはありません。

 駅は街より高いところに位置しているので車道より近道になる階段を使って下りていきます。


 10分とかからず旧市街の入口にある広場に下りることができました。ヴィエトリ・スル・マーレは陶器が有名なのだそうで広場には駐車場と見晴らし台を前に陶器のお店が並んでいます。


 旧市街の目抜き通りは土地柄観光客が多く賑わいのある商店街です。陶器の町だけあり道々あるいはわき道にはタイルがよく目につきました。


 それほど長くない商店街を抜けるとテカっと光る丸い頭のサン・ジョヴァンニ教会がよく見えます。


 目抜き通りの後は建て込んだ旧市街に入ってみました。

 斜面で建て込んでいる旧市街なので方角がよくわからなくなりますが、そもそも意味なく歩いているのでその方が楽しくなります。


 ちょっとだけ広くなったら上から丸い頭が見えていたサン・ジョヴァンニ教会です。


 この旧市街はトンネル状の通路がたくさんあるのでいよいよ面白くなりました。

 こんなとこ続いてるのかなというような建物を貫く通路を抜けるのは立体迷路で遊んでいるようなものです。

 ひとさまの玄関先をむやみにウロウロするのはやや申し訳ないのですがやめられないとまらないになってしまいます。


 という具合に大した理由もなく寄ってみたらとても楽しい町でした。
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ターラント(プーリア州)

2011-07-06 | イタリア
 今回はイタリア南部、プーリア州ターラント(タラント・Taranto)の話です。ターラントというと鉄鋼くらいしか思いつかず工業都市のイメージで観光旅行向けの街ではないかなと思っていましたが、駅からそう遠くないところに旧市街が広がっていて思ったよりのんびりしていました。

 ではまずターラント駅から話を進めていきます。ターラントの街は北西から南東に駅~橋~旧市街~橋~新市街という配置になっていて、駅は北西の街外れです。駅前と並木の駅前通りは閑散としていますが割と頻繁にバスが来ては折り返していました。


 旧市街は駅のある場所と新市街の間にある小島で、どちらとも橋でつながっています。旧市街と新市街はかつて陸続きだったのを船を通すために運河を通して切ってしまったのだそうです。なので駅前通りを抜けたら橋を渡って旧市街に入ります。海を臨む悪くない眺めでした。


 旧市街の島に入るとまず噴水を中心とした丸い広場があり、駅から来るバス通りはここで上下線に分かれそれぞれ一方通行の道になって旧市街の海っぺりを抜け、新市街に渡る橋へとつながっています。


 徒歩なので広場から旧市街の狭い路地に入りました。建物はどれも壁がはげちょろけであまりキレイではありませんがそれもまた悪くない雰囲気です。


 そもそも「旧」市街ではあるにしてもかなり古風な感じがあります。


 この旧市街にあるAkropolisというホテルに投宿しました。古い建物を改装したのだそうでさすがにキレイです。内装ももちろんキレイで泊まってみて不満はありませんでした。


 ホテルに荷物を置いたらもうちょっと散歩します。ホテルのすぐ近くにある観光名所のドゥオーモは鉢植えがかわいらしい感じです。


 旧市街は小さい島なのでわき道に逸れるとすぐに海が望めます。

 工業都市ながら海水はかなり透明でびっくりしました。


 また旧市街の中に戻って先に進みます。狭い路地の奥にオート三輪が見えました。こういうところでは小回りがきく三輪が役に立つでしょうね。駅側より旧市街の奥の方が空家が少ない印象です。


 路地を出ると市役所前広場で、ここにはギリシャ神殿の円柱が2本だけ残って立っています。


 広場の向かいは海に向かって建つ城跡です。海軍の施設なので入ると兵隊さんがいて軍用車が停まっていたりはするもののまずはのんびりしていました。


 海岸にはカフェやレストランがあり海を間近に見ながら飲み食いができます。


 この辺りでくたびれだいぶ暗くなってきたのでホテルに戻ることにしました。旧市街は夜景になってもなかなか悪くないものがあります。


 というわけで泊まりついでにちょっと散歩したターラントの旧市街でした。徐々に整備されている様子だったのでいずれもっと賑わう観光地になりそうです。
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レッチェ(プーリア州)

2011-07-05 | イタリア
 トレニタリア(FS・イタリア鉄道)の列車に乗ってブーツの形をしたイタリアのかかとを目指すとレッチェ(Lecce)という街が終点です。レッチェから先、つまりかかとの先っちょにはさらにスド・エスト鉄道(Ferrovie Sud Est)が路線網を広げていて、乗ってみるとカワイイスタイルの気動車や腕木信号機を使うなかなかいい味出してる地方鉄道でした。(スド・エスト鉄道の話はサイトのこちらをご覧下さい。)
 このスド・エスト鉄道に乗る際にベースにしたのがレッチェだったのでちょろっと旧市街を散歩しました。なんでもレッチェはバロック建築が多い街なのだそうです。「鉄」目当てで表から少し眺めただけですが以下そのときの話を進めていきます。

 まずレッチェ駅と駅前の様子です。トロリーバスの架線が見えますが間が悪かったのか休止中なのか普通のバスしか見られませんでした。駅正面の道が旧市街まで延びています。


 駅正面の道を300mほど歩くと旧市街です。

 旧市街は奥まで歩くと800mほどと結構広く露店や観光客が目につきました。


 駅からの道を道なりに歩いて行くとドゥオーモに着きます。

 ドゥオーモ前は広場になっていて、ヨーロッパの観光地でよく見かける蒸気機関車を模したトロッコがやってきました。こういうのはいかにもお子様用の乗り物って感じですが歩くのがくたびれるときは意外と重宝します。例えば最初にこれに乗って街を一回りし土地勘を作ってから歩くと迷ってムダに歩く時間が少なくて済んだりとか、ゆっくりする時間がある場合は悪くない方法だと思います。


 ドゥオーモ前広場から旧市街の南西端に進むとロザリオ教会です。


 一旦ドゥオーモ前広場に戻り今度は北東に進むとS.Irene教会と立派な教会が続きますが暑いのでふらふらしてきます。


 そのまま進むと円形闘技場と市役所の間にあるS.Oronzo広場です。円形闘技場はローマ時代のもので一旦埋まっていたのを発掘したものだそうですが、全部発掘すると街をぶっ壊さなければいけなくなるので顔を出しているのは一部だけだとかでスケールとか歴史の深さに驚かされます。遺跡とは言えこのように椅子が並べられイベントにも使われているようですから一応実用的な施設と言えそうです。


 S.Oronzo広場の奥にあるサンタ・クローチェ聖堂はこの街のバロック建築を代表する一つだそうですが、なるほど彫り込みが細かくお値段が高そうな感じがしました。


 ここはえーっと何だっけとジェズ教会を見た辺りで乗る列車の時刻が近づいて来たのに気づいたので見物をおしまいにします。


 という具合に旧市街をふらふら歩いたら立派な教会の多さとともに夏の暑さのキツさも印象に残りました。強い陽射しと石造りの街の照り返しは相当厳しいものがあります。日陰に入ればそれほどでもなかったのは救いですが、街中だとあなどらず暑さ・陽射し対策と休み休み動けるだけの時間の余裕をちゃんと考えておくんだったと反省しました。
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オトラント(プーリア州)

2011-07-04 | イタリア
 イタリアの東側を占めるアドリア海の出口をオトラント海峡といいますが、その名前のもとになっている町がプーリア州のオトラント(オートラント・Otranto)です。そうやって名前のもとになるくらいですからオトラント海峡に面し青い海が望めます。
 もっともそのオトラントに足を延ばした理由は単にスド・エスト鉄道(Ferrovie Sud Est)の枝線が通じていたからです。この枝線は非電化で腕木信号機が残る路線だったので乗り味はなかなか悪くないものでした。(スド・エスト鉄道の話はサイトのこちらをご覧下さい。)そんな「乗り鉄」目当てとは言え枝線というのは来た列車ですぐ折り返すというのはなんとなくつまらない気がするものです。このオトラントでもそう思ったのでひと列車落としてちょっと散歩してみることにしました。

 では枝線の終点オトラント駅から話を始めます。列車を降りるとホームは高台の上にあり駅前は閑散としていてイタリアの駅構内や駅前によくあるバールもありませんでした。この駅から海辺にある町の中心までは坂道を降りていかなければならず10分そこそこかかりました。道なりに下りて行くばかりなので特に迷うことはないと思います。駅前通りっぽい賑やかさや華やかさはありませんが坂道の途中にはスーパーやホテルが見えました。


 海辺まで下りると小さいビーチがありホテルやレストラン、カフェが並んでいます。また海沿いの道と並行する一本山側の道にもちらほらとお店があってとりあえず食事や簡単な買い物はできそうです。


 ビーチの先には城壁が見え、城門をくぐると旧市街です。



 そう大きくない旧市街を歩いて行くとカテドラルがあります。観光名所としてはここがオトラントの目玉ということになるようです。


 旧市街の先には城跡が広がります。このときはなにやらモダンアート系の展示をしていて遠足だか校外活動の子供たちが来ていました。


 城跡からもキレイな海が見えます。


 という具合にざっと散歩してみたところほどよい大きさの町で観光客相手のお店が結構目に付き徒歩で来てもそう困るということはなさそうです。こういうところは枝線とんぼ返りのついでではちょっともったいないものがありいつかちゃんと時間をとって来たいものだと思いました。
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