乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

北村韓屋村と路面電車

2014-07-23 | 韓国
 夕方東京に帰る日ソウル市内のどこかで軽く見物しようという話になり瓦葺の家屋が集まる地域「北村韓屋村」(韓国語だと北村韓屋マウル)に行くことにしました。(※マウルは集落とか町内くらいの意味で都会・田舎問わず使われます。)下調べをしていなかったので仁寺洞通りの北端にある観光案内所に寄って北村韓屋村を通るバスがあるか聞くと、すぐ近くの鍾路警察署停留所でマウルバス鍾路2番に乗ればいいとのことです。鍾路警察署の前にある停留所で待っていると間もなくそのマウルバスがやって来ました。


 バスに乗ると坂道の北村路を北へ上り、北村韓屋マウル(トンミ薬局)停留所まではあっという間です。降りると観光バスやタクシーが停まり観光客が多く見える中に何やら赤い帽子が目立っています。


 赤い帽子と上着は移動観光案内員の制服でした。「中国語可」「日本語可」などのバッチをつけ地図や観光パンフレットを持ち迷える子羊の観光客を助ける頼もしい存在です。手ぶらで来た私たちも付近の詳しい地図をもらえ手近な見どころも教えてもらいやみくもに歩き回ることなく見物できました。案内板の類はもとより今ならインターネットでも情報が多く流れていますが、やはり現地で直接人に聞けるというのは安心感が違いますし調べないで行くものぐさにも助かります。便利で小回りのきくサービスに大変感心しました。


 韓屋村は観光客をあてこんだ施設化したものも混ざるものの基本的には住宅地なので「シーっ!」「静かにして下さい」という注意書きがところどころに貼られています。


 韓屋村見物後に乗った鍾路1番マウルバスはマイクロでした。マイクロバスって基本的にどうもイマイチに感じるタチなのですが韓国のマウルバスや香港のミニバスはイイなあと思ってしまうので不思議です。なんでだろ?と考えて、幹になる路線網があった上でさらに細かなところをカバーするというきちんとしたシステムの一部だからだと気づきました。こういう細かな路線が頻繁に目に入るとラクに移動できそうだと安心できイイなあと思うというわけです。


 マウルバスで鍾路2街に出て西に向かうバスに乗り換えます。次々やって来るバスの側面上部を見ると何やらスローガンが書かれているのが気になりました。


 「みんなで大事にエネルギーを使い、みんなで減らす原発一基」とのことです。

 「節約するあなたが原発を一基減らすエコ発電所」というのもありました。

 これはソウル市が行っている「原発一基削減運動」のアピールです。電源の原発率が高い韓国でこういうスローガンがバスに書かれるとは挑戦的で面白く感じました。

 さて鍾路からバスで西に向かったのは西大門跡近くのソウル歴史博物館前に置かれているソウルの路面電車(1968年全廃)の車両を見るためです。ソウルの路面電車が最初に開業した区間は清涼里~西大門なのでその区間を通るバスに乗って路面電車を見に行くということになります。ちなみに地下鉄1号線の開業は1974年と地下鉄・路面電車の両方が走っていた時期はありません。ということはその間バスでさばいていたわけで今のソウルの巨大な地下鉄・電鉄網を思うとなんだかウソのような気がします。乗り物好きからするとこれが「漢江の奇跡」でしょうか。
 肝心の保存電車は1930年頃日本車両で作られたというもので大変きれいに復元されている上「お弁当忘れたよ~」と乗った息子を追いかける母の人形が置かれていて「動態(らしく見せる)保存」とでも言うような雰囲気です。


 そんなわけで瓦葺の街並と路面電車を見たわけですが、高層アパートと地下鉄・電鉄・バスの街という今のソウルのイメージと離れていてなかなかピンと来ませんでした。帰宅して改めて東京を考えるとずいぶん変わってはいるものの路面電車と地下鉄・通勤電車が併存する時代があって今に至っているのでソウルほど劇的ではない気がします。とは言えソウルの路面電車も東京の路面電車も高度成長の時代に生き残れなかった点では同じなので路面電車好きとして残念でなりません。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする