乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

筏橋のアゲマキガイ定食

2018-07-05 | 韓国
(こちらのつづきです。)
 全羅南道長興郡で味噌ムルフェと長興三合を食べたあと市外バスで宝城郡の筏橋に出ました。筏橋は宝城旅館(左)や旧筏橋金融組合(右)と植民地時代の建物が保存され、韓国で大変有名な大河小説「太白山脈」の舞台であることから「趙廷来太白山脈文学館」があり、世界遺産の楽安邑城民俗村(順天市内)にも近くと観光名所が多いところです。


 筏橋の名物はハイガイ(韓国語でコマク)で町を歩いているといくつもそのオブジェを見かけます。


 市場に行くとホンモノのハイガイ(左)が見られますが夏は味が落ちるそうであまり目立たず、今美味しいというマッチョゲ(右)と呼ばれる貝が目立っていました。ここでややこしいのが韓国語でマッチョゲはマテガイ、アゲマキガイはカリマッチョゲと分かれている一方筏橋ではアゲマキガイをマッチョゲと呼んでいることで、画像の貝はアゲマキガイです。なのでマッチョゲはマテガイの仲間だと思っていたところ帰宅してから別の種類の貝と知りびっくりしました。


 筏橋にはハイガイを出す食堂がたくさんありその多くではアゲマキガイも食べられるというので試してみることにします。入ったのは高麗会館という結構広い食堂で、夏は8月末までハイガイを出さないと掲示がありました。


 20000wのアゲマキガイ定食を頼むと蒸しアゲマキガイ、焼きアゲマキガイ、アゲマキガイの和え物、アゲマキガイのチヂミ、アゲマキガイ汁、アゲマキガイピザ、と盛りだくさんです。ひと通り美味しくまた楽しく食べ終えたあといくらか残しておいた和え物をご飯と丼に入れビビンパにしてシメるともちろんというべきかお腹いっぱいになりました。


 今回は旬でないのでハイガイは食べませんでしたが、ハイガイの形をしたコマクパンなるものは年中売られています。パンと言ってもアンコが入ったカステラとかケーキのようなものです。せっかくなので道中のおやつ用に少し買いました。


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長興三合

2018-07-04 | 韓国
(前回のつづきです。)
 会鎮でムルフェを食べたあと市外バスで長興市外バスターミナルへと戻り、長興の名所「土曜市場」に行くことにしました。土曜市場は耽津江を挟んだターミナルの対岸なので橋を渡って行きます。


 韓国の地方の市場は常設の市場でも5日おきに定期市の日があってより賑わうということがありますが、この土曜市場も常設の市場があるところで観光客向けに土曜日を定期市の日としているそうです。なので土曜日でなくとも店は開いています。


 この市場、というか長興でのめあては「長興三合」という料理です。三合(サマプ)は3つのモノを合わせて食べるという意味でその名のつく料理は韓国に色々あります。代表的なものは発酵エイ・豚肉・キムチを一緒に食べるものですが、長興三合は長興の特産物牛肉・タイラギ・シイタケを焼いて一緒に食べるというものです。
 土曜市場には長興三合が食べられる食堂がいくつもありそのひとつで様子を聞いてみたところ、牛肉は周囲の肉屋で買って店に持ち込み、食堂で調理費・席料とタイラギ・シイタケ代を払って食べるというシステムでした。必要な金額は調理費・席料が7000w、タイラギ代10000w、シイタケ代5000wとのことで、続けて肉屋に行って聞くと三合に向いているのはトゥンシム(ロース)で値段は100g7000~8000ウォンくらい、1人200g以上はあった方がいい、というので合計はざっと36000~38000ウォンからと結構な金額になります。


 とりあえず即決はせず耽津江を渡ってターミナル側にとって返し、今度は長興三合の老舗というチュイラクという店の様子を見に行きました。ここはメニューは長興三合と飲料のみという専門店も専門店で、全部込み(牛肉は200g)の値段が1人分22000ウォン、ただし注文は2人分からです。さてどうしようかと考え、2人前44000ウォンでも牛肉の量を考えると土曜市場よりここの方がトクかもしれない、とややさもしい計算が浮かびここにすることにしました。


 浅めの石鍋で3種を焼き一緒に葉っぱで巻いて頬張ればまずかろうはずがなく2人分でもそう無理なく片付けられます。ただそのあと鍋にスープをそそぎ野菜やタイラギのヒモを入れて煮立てた鍋でご飯を食べるシメが続くのでこうなるとさすがにお腹が苦しくなりました。


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会鎮の味噌ムルフェ(長興郡)

2018-07-03 | 韓国
(前回のつづきです。)
 全羅南道海南郡の海南総合バスターミナル→長興郡の長興市外バスターミナル→同郡内の会鎮市外バスターミナルと2つの市外バスを乗り継いで会鎮という港町に行きました。こじんまりとしたターミナル内には平床が目立ち韓国らしさを感じさせます。


 バスターミナルから港は近く、ターミナルそばの丘に作られている展望台に登るとそう大きくない町と港の展望がひらけました。


 港に行くと漁船が戻った時に開かれるとおぼしき市場やモーテル、釣り道具屋などが目につきます。


 さて会鎮での目的はムルフェ、汁を掛けた刺身料理です。ムルフェは例えば浦項など各地に様々な味付けのものがありますが、会鎮付近ではテンジャンムルフェ、つまり味噌味のムルフェが名物になっています。元々は漁師や家庭の味だったものが刺身店でも出されるようになったそうです。店で出すようになった元祖だという「ウリフェッチプ」にまず行ってみたところちょうどテンジャンムルフェに使うヨルムキムチ(若い大根の葉のキムチ)を作っているところでした。残念なことにこのヨルムキムチが漬かるまではヨルムキムチの在庫を切らしているのでムルフェを作れないとのことです。


 町から港にかけては店先にテンジャンムルフェという字が見える刺身店が他にいくつもあります。適当に入ってみた1軒目の店では1人分の少量では注文できず30000ウォン分からとのことで心配になってきましたが、2軒目に入った「テリムフェッチプ」で15000ウォン分にできると言われホッとしました。ちなみに断られた1軒目とこの店のメニューを見たところテンジャンムルフェの価格は同じで大50000ウォン・中40000ウォン・小30000ウォンとあり、基本的には大きい単位で注文して複数人で食べるもののようです。また最初に見たウリフェッチプのメニューは1人分10000ウォンという書き方でした。
 ともあれ席に着いて壁を見上げるとKBSやMBCのテレビ番組に出たというパネルが貼られています。


 最初に出て来たジャガイモの皮を剥いて食べながらしばし待つとおかずとお目当てのテンジャンムルフェが出て来ました。この日の刺身はアイナメで、シャキシャキしたヨルムキムチと味噌味の冷たい汁との相性がなかなかよく暑い日に食べるにはもってこいという感じです。


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海南のトッカルビと海倉マッコルリ

2018-07-02 | 韓国
(前回のつづきです。)
 光州総合バスターミナルから市外バスに1時間20分ほど乗り海南総合バスターミナル(全羅南道海南郡)に出ました。全羅南道の隣の慶尚南道には南海という郡があり漢字だとちょっとまぎらわしいような面白い気がします。海南はそれなりに街らしい街でターミナル周辺には食堂やモーテルをはじめ店はそこそこあるものの19時を回って着くとあまり人通りはなく静かでした。
 海南に夕方着いたのはトッカルビの老舗、1924年創業という老舗の天一食堂で夕食をとるためです。バスターミナルから800mくらいなので歩いて行きました。ターミナルからまず西に向かい海南川にぶつかったら橋を渡りすぐ左折して川沿いを南へと進みます。


 そのうちに川沿いに屋台や店が並ぶ海南毎日市場に着いたらその一角が天一食堂です。


 入ると個室ばかりなので1人前の注文が可能か心配になりましたが大丈夫でした。食事メニューは韓牛のトッカルビ定食28000wかプルコギ定食22000wというシンプルなものです。注文してしばらくすると主役のトッカルビが目立たないほど多くのおかずが載った大きなお膳が運ばれてきました。個室の中1人でこれだけあると何か飲まないとひたすら食べ続けになるのでマッコルリも頼み挟みつつの長丁場になります。食べ始めるとなんだか朝まで続けられそうな気がしました。甘めに味のついた韓牛のトッカルビはもちろんおかずも美味しく、昼に光州で2度もトッカルビを食べた後なのにいよいようれしくなるのでずいぶんとトッカルビに飢えていたものだと後から考えても我ながら感心してしまいます。


 老舗のトッカルビに満足した翌朝はターミナルで可座を経由する農漁村バスに乗り花山面海倉里に向かいました。目的は海倉酒造場というマッコルリの酒蔵です。ターミナルから15分ほどで左手の車窓に海倉酒造場が見えたらすぐの海倉停留所で降りました。


 海倉酒造場には植民地時代の日本人家屋や庭が残っています。苔むした庭に井戸に、と敷地のあちこちにネコがいました。


 市販されている大多数のマッコルリには甘味料が入っていますがここ海倉酒造場のマッコルリには甘味料が入っていません。度数は6度・9度・12度とありどれも美味しく、12度は度数が高いのに口当たりがよくスッキリしているのでつい飲み過ぎてしまいそうな怖さがあります。試飲、というよりツマミまで用意して下さったのでご厚意に甘え本格的に飲んでいたらネコがたくさんやってきました。

 高品質な酒は作っているのは地方でも大都市で飲まれることが多かったりしますが海倉酒造場のマッコルリも同様でソウルに多く出荷するそうです。それならとソウルで飲める店を尋ねたところ光化門の月香、明洞・狎鴎亭のペッコムマッコルリ、新村の福徳房・サンウルリム、瑞草のマッコルリイヤギ等に出荷しているとのことでどこも海倉酒造場をはじめ様々なマッコルリを扱っているようなのでマッコルリ好きは行ってみる価値がありそうです。
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トッカルビと光州事件ゆかりのバス

2018-07-01 | 韓国
(前回のつづきです。)
 映画「タクシー運転手」で全羅南道順天のバスターミナルとして撮影された慶尚北道星州のバスターミナル、から金泉・大田を経由して光州松汀駅に出ました。この駅の近くにはトッカルビ(挽き肉に味をつけて焼いたハンバーグに似たもの)の店が集まる通りがあり観光名所になっているのでまず食べていくことにします。


 名所になるだけあってトッカルビ店はたくさんありどこに入るか悩みつつとりあえず看板に1978年創業とあったファジョントッカルビに入ってみました。席につくとまずおかずと豚の骨が入ったスープが出されるので骨の周りの肉を手づかみで食べスープを飲みながらトッカルビが焼けるのを待ちます。頼んだトッカルビは牛肉と豚肉を混ぜたもので葉に巻いて食べると甘めの味付けのせいかなんだかホッとしました。


 この旅行の前からずっとトッカルビ食べたくなっていたのでここではハシゴをすることにし、続けて1976年創業と看板にあった松汀トッカルビに入ります。ここはファジョントッカルビの1人前12000wより少し高い13000wだからかおかずの品数が多く、味付けは全般にいくらかあっさりめあるいは上品めという印象です。2回食べたらさすがに満腹で3軒目は無理でしたが多くの店が並んでいるのを見たら別の店も味見したくなりました。2軒だけでも味付けが違い値段も横並びでなかったところをみると他の店もそれぞれに特徴がありそうです。


 さて光州旅行を考えたそもそもの動機は映画「タクシー運転手」を見たからなのでトッカルビのあとは光州松汀駅~光州駅を結ぶ「シャトル列車」(乗った時の話はこちら)に乗って光州駅を経由し、光州事件(5.18民主化運動)の主要な場所旧全羅南道庁前の5.18民主広場に行きました。これはシャトル列車に乗るための遠回りで、光州松汀駅から5.18民主広場へは地下鉄に乗って文化殿堂駅で降りる方が便利です。


 広場の周りの民主の鐘閣前や旧全羅南道庁別館内の展示に映画「タクシー運転手」に出てくるタクシーのパネルが置かれているのを見ると光州にやって来たという実感が改めてわきました。近くには5.18民主化運動記録館があるので併せて観覧しておきます。


 光州というと気になっていたのが518番の市内バスです。この系統番号は光州事件を記念したもので、国立5.18民主墓地、光州駅、国立アジア文化殿堂(5.18民主広場・5.18民主化運動記録館最寄)、光州ターミナル(光州総合バスターミナル)、5.18自由公園など多くの光州事件関係の施設を経由しています。全線乗る時間はないのでちょっと乗っただけですが観光路線ではない一般路線が歴史を刻まれていることに感心しました。


 光州には民主化運動にちなんだ系統番号を持つ市内バスがもうひとつあります。1960年の4.19革命からとった419番でこれもちょっとだけ乗ってみました。こういう系統番号がついているだけあり光州での4.19革命発生地光州高校(最寄停留所名は光州高)を経由していますが、4.19革命を記録する4.19革命記念館最寄の4.19革命記念館停留所は通らないので注意が必要です。419番で4.19革命記念館に行く場合は光州高の隣の鶏林サゴリ停留所が最寄でここから歩いてもそう遠くはありません。


 という具合に光州で民主化運動を記録する施設に行ったり518、419番バスに乗るきっかけになったので改めて映画「タクシー運転手」が日本で公開されたことがありがたくなりました。
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