１００キロ超級の小さな要求

昨日は１ヶ月ぶりに散髪にいってきました。
私の散髪は、よほど混んでいない限りは店長が刈ってくれます。昨日は
盆明けということで、お客さんはいませんでした。私がお店に入ると同
時に一人のお客さんが入ってきました。このお客さんは恰幅がよくて、
１００キロは悠に超えています。のっしのっしと私が座った後ろを歩い
ていき、一つ座席をあけて座りました。私が座席に座っていると、いつ
もでしたら店長が来るのですが、昨日はマネージャーがサッとやってき
て散髪を始めました。店長は私のあとにやってきた、巨漢のお客さんの
散髪を始めました。程なく散髪が進み、マネージャーが「もみあげの、
長さはどれぐらいにしますか」の問いに「普通でいい」いつものやりと
りです。隣のお客の散髪も少し遅れて店長が「もみあげは、どうされま
すか」と聞くと男の返事がありません。何気なくカガミ越しにその男を
見ると、その男は自分のうつった鏡を見つめて「＋±×÷＝∴∞？？」
なにやら難しい注文を付けているようです。一瞬店長の顔が、曇ったよ
うに写りました。図体が大きい割には、小さいことをいうお客なんだな
と思いました。私の散髪が終わりかけた頃、隣を又見てみると、今度は
頭のてっぺんのところをじぃーとみて店長に「＋±×÷＝∴∞？？」。
まだまだ時間がかかりそうな様子です。この時始めてマネージャーが、
私の散髪をした謎が解けました。１００キロ超級のお客さんの小さい要
求を知っていて、私の散髪をしたのだなと。マネージャーのすがすがし
い顔とは裏腹に、店長の顔は曇ったままで、まだまだ終わりそうには
ありませんでした。

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