サンドラ・ヘフェリン&流水りんこ『満員電車は観光地!?』で、外から日本を見てみよう

2019年04月06日 | 

 サンドラヘフェリン流水りんこ『満員電車は観光地!?』を読む。

 日本とは違う外国の風習や考え方、はたまた日本人が自分たちでごく普通にやっていることが、いかによそさんからは「不思議」と思われているかなどを、楽しく紹介するというもの。

 著書『ハーフが美人なんて妄想ですから!!』で、我々がついつい、おちいりがちである

 

 《ハーフは美人》

 《ハーフは金持ち》

 《ハーフは英語がペラペラ》

 

 といった「安易なハーフ像」に警鐘を鳴らしておられる、自身もドイツ人とのハーフであるサンドラさん。

 また、元バックパッカーインド人。『インドな日々』などの著書もあるマンガ家、流水りんこさん。

 おふたりとも、その背景から異文化や自文化に対して、いい感じに相対化されており、そこに絶妙な「つっこみ力」が生まれる。

 そんなコンビの作品なので、まあこれがなんとも楽しいのである。

 「和製英語は日本のものだけ」と思われがちだが、ドイツにも和製じゃないけど「独製英語」が存在する、とか。

 日本のCMは「お母さん、お風邪だいじょうぶ?」みたいな、「母娘」ものが多いが、ヨーロッパはとにかくカップルが登場。



 「その割には、ヨーロッパ人はパートナーをコロコロ代えたりしますからねー」


 
 なんて、サンドラさんのミもフタもないツッコミが入ったり。

 他にも、

 「日本はエロコンテンツが充実してるのに、ニュースサイトなどはエロNGなのはなぜ?」

 「日本人はツイッターやフェイスブックに食べ物の写真を載せたがるが、ヨーロッパ人には意味不明。でも、アジアは意外とどこでも日本と同じ傾向がある」



 なんて、「そうなんかー」と思わされるネタが満載。

 個人的にツボだったのは、「外国人が好む日本の曲」というテーマ。

 答えは「演歌」で、サンドラさん曰く、

 「演歌の良さがわかって感情移入できる文化圏」



 というのがあるらしく、中国韓国ベトナムなどアジア全般とイスラム圏(これは高橋由佳利さんの『トルコで私も考えた』にもあった話。ただし歌詞に「酒」がある曲はダメらしい)などがそうだが、反対にサッパリなのが北ヨーロッパ


 「えー、寒い港町で戻らない男を待ってセーターを編むって生産性ないよね」

  「彼女は暖かい場所に引っ越すべき。毛糸ムダになるけど」

  「海鳴りがひどいと不眠症になって体壊すよ」


 いやいや、聴くとこそこやない! と。

 まあ、私も昭和の日本の演歌(あと一部のアイドルソング)にある



 「男の作家が自分のイメージする勝手な女性像を歌詞にして、それを女に歌わせる」



 というオジサンっぽい(かつ、なんとなしにSMっぽい)ノリは苦手ですけど。

 あと、ちょっとほっこりしたのが、パキスタンの女性の話。

 とある曇り空の日。彼女は今にも降り出しそうな空を見ながら、こう言ったそうだ。


 「素敵な日ね。すごくロマンチックな空……」


 カンカン照りの日が多いパキスタンでは、日本の曇天が、ものすごくロマンチックに映るそうです。

 まさに、所変われば品変わる。ホント、同じものを見ても、文化圏が違うと、こうも受け取り方も違うのだ。

 だから、自国や他国の文化を知るのはおもしろい。

 雨の日のお出かけや仕事というのは、どうしても気鬱になりがちだが、そういうときは、



 「でも、パキスタンの女の子は、これを見てウットリしてるのかもしれへんのやなー」



 なんて考えてみると、ちょっとばかり楽しくなったりするではないですか。

 

 

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