前回(→こちら)の続き。
長らく「指さない将棋ファン」だったが、ネット将棋と出会って、実戦経験を積んだら、なんとか目標だった「アマ初段」になれた20代の私。
昇段後、またも勝ったり負けたりという、実に平和な勝率5割ペースを守っていたのに、あるところから、おかしなことが起こった。
突然、連勝街道を驀進し始めたのだ。
それも、たまたまではなく、明らかに「手ごたえ」がある勝ち方でだ。
これにはノートパソコンの前で、ひとりごちたものだ。
「ブレイクスルー」が起ったな。
と言われても、経験したことのない人にはピンと来ないかもしれないが、なにかをコツコツ積み上げていると、ある日突然
「一気に伸びる」
という大爆発が起こることがある。
私の場合、大学受験とテニスで理解できた。
高校3年間、まったく勉強しなかった私は、偏差値でいえば底辺からスタート。
とくに英語がサッパリだったので、そのころ、とにかくすすめられた「英文の音読」をやることにした。
問題文を解いた後に、意味がわからなくても、最低5回。できれば10回。
調子のいいときは20回、30回と、とにかくマシンのように口に出して読み下していったら、5か月たった夏休み明けに、いきなり「読める」ようになった。
それまで、ただの「暗号」にしか見えなかった英文が、魔法のようにザーッと読み下せる。
このときの感動と言ったらなかった。
またテニスでも、サービスがまったく入らなかった最初期に、家でひたすらトスアップの練習と、タオルで「シャドーサーブ」(野球の「シャドーピッチング」と同じです)をくり返していたら、2か月後、スピンサーブがバンバン入るようになった。
私がボンクラのくせに、意外と
「練習は裏切らない」
「コツコツやることが大事」
とか言いがちなのは、間違いなくこの、「ブレイクスルー」の感動を実感したからだ。
「ブレイクスルー」は、私の場合は、遊びでやってた「棋譜並べ」が基礎になり、「実戦経験」を加味することで起こった。
私のやる棋譜並べなんか、ただ漫然と並べてるだけ(「手の運動」とバカにされるアレです)なんだけど、そんな程度でも、「続けた」ことが、たぶん大事。
それこそ「観る将」の人でも、たくさんプロの将棋とかYouTubeの実況とか見るだけのことでも、それを「続けて」いけば、いつか花咲くと思うわけだ。
「ブレイクスルー」による連勝街道は止まらず、それまで初段で勝率5割だったのが、気がつけば二段に。
また二段でもつまずくことなく、さらに勝てたのは、勢いもあったのだろう、ついには三段昇段の一番をむかえることに。
ふだん欲のない私だが、さすがにここは気合が入り、三段の人相手に200手近い大熱戦を戦ったが、最後の最後で敗れてしまった。
結果は残念だったが、全力は出せた将棋だったので満足感はあり、そこで落ち着いてしまったのか、それ以降はあまり、気の入った将棋を指さなくなってしまった。
せっかく強くなれたのだから、一回くらい三段に上がるまでがんばってみようかとも思ったのだが、この3か月けっこう指して、それでこれまでの「指さないファン」だった渇きも、癒えたようなのだった。
特に私は、棋力以上に「精神力」で戦う旧日本軍スタイルだったので、執念がなくなっては、有段者相手に戦っていけないだろう。
ということで、いったんここで「第一部・完」ということにし、また呑気な「読む将」生活に戻った。
以降ここまで、また長い長い「指さない」ファンに戻っている。
その間も、特に「指したい」と思わないのは、やはり私に「勝負」への関心(「勝つ」ことが楽しいという感覚)が希薄だからだろう。
やっぱ将棋は、他人のを見てアレコレとテキトーなこと言ってるのが、無責任な私には一番合っている気がするなあ、うん。
(初段になる棋譜並べ編に続く→こちら)