戦慄の人気アイドル地獄変 吉田豪『元アイドル!』

2017年11月29日 | オタク・サブカル

 『元アイドル!』を読む。

 プロインタビュアーであるサブカルライター吉田豪さんが、おニャン子クラブ少女隊、ドラマ『スケバン刑事』の風間三姉妹。

 などなど、かつて一世を風靡したアイドルたちから、今だから語れるその時代の真相を、鋭く聞き出していくというもの。

 登場するのは、杉浦幸新田恵利中村由真宍戸留美花島優子、その他いろいろ。

 私はあまり芸能界というものに興味がなく、また時代的にもややズレがあり、彼女らのことは名前くらいしか知らない場合も多かった。

 が、これがまあなんというか、読んでみると、実に因果なおもしろさがあって引きこまれたのである。

 常に人目にさらされる芸能人というのは、素人が想像するだけでも、なんとも大変そうな仕事。

 中でもアイドルというのは、その虚構性の強さと宗教的な崇拝と同時に、ファンのストレートなリビドーの対象であるという業の深い存在であることから、その心身へのストレスはハンパではないようだ。

 無茶な仕事に、暴力セクハラおかしな関係者とか、本当にもう大変。

 それにより、円形脱毛症になったり、突然失踪したり、精神科通いで幻覚を見たり、入院して生死の境をさまよったり。

 吉田豪さんもインタビューの中で、


 「アイドルやってると、自殺を考えるくらいまで追いこまれる人も結構多い」


 何度もそう言っているが、お話を聞いていると、「そら、そうなるわ」と、あきれるような事件が目白押しであった。

 『ヤヌスの鏡』で有名な杉浦幸さんは、仕事がキツすぎてがおかしくなったとか。

 苦痛な仕事というのはさまざまであり、握手会で「こいつだけは勘弁」というファン相手でも、笑顔で対応しなければならないという本音は、まあこちらも想像はできる。

 よくいわれる、「体液的なもの」と一緒に握手をしてくるファンというのは、やはりいらっしゃるようで、それでもニッコリ天使の笑顔。

 本人も地獄であるが、とばっちりなのは、その後に並んだ男子たち。

 あるアイドル曰く、


 「次の人の手で拭きました(笑)」。


 いやいや、(笑)やないー! 怖いー! やめてー!

 ほかのアイドルも負けてなくて、


 「封筒を開けたら、猫の死骸が入っていた」

 「マネージャー抜きで海外に行かされておかしいなと思っていたら、その場で『脱げ』とおどされた」。

 「いきなりスカイダイビングさせられて、勝手に生命保険に入られていた」

 「事務所の社長が、タレントに借金を押しつけて蒸発




 全然、笑えない話のオンパレード。

 スカイダイビングといえば、若手時代のたむらけんじさんが、まったく同じ目にあったそうであるが(受取人はもちろん吉本興業)、売れっ子アイドルが下積み時代の芸人と同じあつかいとは……。
 
 同期アイドルと対談の仕事で、「枕営業、あるみたいよ」といわれて「どうしよう……」と頭をかかえたというエピソードには豪さんも


 「やっぱり、枕営業はあるんですか?」。


 つっこんで訊くと、


 「人によるんじゃないですか? 自分からやろうと思えばいっぱいあると思うし」

 「噂ほどあるわけでは絶対ないけど、過去には……」


 なんとも微妙なお答え。

 まあ、あるんでしょうなあ。

 こんなことばっかりやってたら、そらなんぼ気の強い子でも壊れます。

 杉浦さんも、とりあえず周囲の気にくわない奴を散弾銃でもって、


 「こいつらみんなぶっ殺してやりたい!」


 いつも思っていたそうな。意に沿わない仕事や、現場でのいじめで追いつめられ、


 「ビルの屋上から飛んだら気持ちいいだろうな……」


 ……と、茫然と過ごす毎日。そら乱射したくなりますわな。

 とまあ、とにかく全編「芸能界は、おそろしいところや」という内容でございまして、アイドル志望の娘さんは必読かも知れません。

 読後はもう、テレビを見ていて、



 「あんな笑顔を見せてるけど、あの子もウラでは……」



 邪推ノンストップ状態になってしまい、なんだか切なくなります。

 とりあえず将来、娘ができても、絶対芸能界には行かしたくなくなりますねえ。


 (次回に続きます→こちら





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« なんてステキな「日本イジリ... | トップ | 戦慄の人気アイドル地獄変 ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。