イージスの盾 三浦弘行vs飯塚祐紀 2005年 棋聖戦 森内俊之vs羽生善治 2005年度 第63期名人戦 第2局

2025年01月15日 | 将棋・好手 妙手

 見事な「受けの決め手」は楽しい。
 
 将棋の棋風というのはザックリ2つに分けられて「攻め将棋」と「受け将棋」。
 
 どちらを選ぶかは特技好みで分けられるが、私は「受け将棋萌え」である。
 
 あざやかな詰み必至もいいけど、どう見ても寄っているようにしか見えない玉が、最後ピッタリしのげている図などを見ると、もうウットリしてしまうのだ。
 
 
 


 2005年の棋聖戦
 
 三浦弘行八段飯塚祐紀六段の一戦。
 
 相横歩取りの激しい戦いから最終盤、先手の飯塚▲24歩とタラしたところ。
 
 
 

 

 後手玉は次に▲32竜から簡単な詰み
 
 一方、先手玉にはまだ詰みはなく、後手陣にこれといった受けも見当たらない。
 
 かといって△12銀とか受けるようでは、先手玉への攻めなくなり苦しそうだが、ここは三浦が読み切っていた。
 

 


 
 
 
 

 △12香と上がるのが受けの決め手
 
 と言われても、見ている方にはなんのこっちゃだが、これで後手はを渡さずに必至をかける手段がない。
 
 たとえば、さっきのように▲32竜とするのは△同銀▲23金△11玉(!)。

 

 

 ▲32金必至をかけても飛車を渡してしまったから、△58竜▲同玉△38飛から詰まされる。
 
 ▲23歩成△同金▲同金△同玉▲31竜とこちらからせまるのも、今度はを渡すから△56桂から詰む。

 


 
 身動きの取れなくなった飯塚は▲42金とするが、そこでもやはり△11玉ともぐるのが決め手。
 
 
 
 

 ▲23歩成は詰めろでないし、▲32金と取っても△同銀で、これが自動的に先手玉への詰めろになるから▲同竜と取れない仕組みだ。

 

 


 
 ここで飯塚は投了
 
 早逃げで、

 

 を渡さずに詰めろや必至をかけられない」

 

 という局面に誘導する「ゼット」の応用編のような高等手筋だった。
 
 


 もうひとつは大舞台での受けの妙手を。
 
 2005年度の第63期名人戦七番勝負。
 
 森内俊之名人羽生善治三冠(王位・王座・王将)との第2局
 
 一手損角換わりから、大駒が乱舞する展開で終盤戦へ。
 
 
 
 
 後手が優勢の戦いだったようだが、羽生が△45歩角道を遮断したのが良くなかった。
 
 △67成銀をねらっているが、次の手がピッタリの受けだったからだ。
 
 
 
 
 
 ▲48金と寄るのが、森内の力を見せたしのぎの技。
 
 △39竜と取るのは▲57金で受け切り。
 
 
 
 
 かといって本譜の△48同成銀では、攻め駒がソッポに行かされて、スピード勝負で明らかに負ける。
 
 以下、▲66香と設置して、△39竜▲63香成△83玉▲75桂と殺到して先手が勝ち。
 
 
 
 
 成銀僻地へ飛ばされ、先手玉にまったく寄り付きがないから、後手はどうしようもない。
  
 こんな手を3筋で遊んでいたはずの金銀で食らわせるなど、森内からすればガッツポーズでもしたくなったことだろう。
 
 これで1勝1敗のタイに持ちこんだ森内は勢いに乗って、4勝3敗のフルセットの末に名人を防衛
 


(三浦の終盤力を見せた大熱戦と言えばこれ) 

(その他の将棋記事はこちらから)
 


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