「練習(セックスの)は裏切らない」と、たぶんイチロー選手は言わなかった

2024年12月10日 | モテ活

 前回の続き。

 


 「それ、おまえの世界すぎるってぇ!」


 

 アダルトDVDを観て、思わずそうツッコミを入れたのはMー1決勝進出も決めたお笑いコンビ、ママタルトひわらさんだった。

 プロのお笑い芸人も思わずあきれる、その動画の設定というのが、

 


 「はじめて彼女ができたから、それにそなえて、幼なじみの女の子にセックス練習をさせてもらう」


 

 現実では絶対に通ることのない危険牌だが、アダルトの業界はとんでもない設定の作品があまたあるもので、ハヤカワSF文庫も顔負けな奇想が飛び交っているものだ。

 すげーなー、こんなんオレやったらよー言わんで、と彼女も幼なじみの美少女もいないのに思ったものだが、そこで不意に思い出したわけだ。

 あれ? これと同じ話、聞いたことあるで。

 それが高校時代のクラスメートであるナガオ君のエピソードだった。

 時はさかのぼって、私がまだ浪人生だったころ、風の噂で彼が、

 

 「はじめて、女性と関係を持ったらしい」

 

 と聞いたのだ

 ナガオ君はモテ男というほどではないが、そこそこ流行オシャレに気を使っている、いわゆる「1.5軍」くらいの男子だったので、そのこと自体は特に不思議ではない。

 ただ、その過程というのが、なかなか飛ばしていて、たまたま彼と何人かで、飲みに行く機会がった際に問うてみると、

 


 「うん、それが、相手はワサコいうて、中学時代からの友達やねん」


 

 ここで、われわれは「おー」となる。

 地元の幼なじみ、ええやん。マンガみたい。

 で、それはどっちが言い出したんや?

 


 「それは、むこうからやねん」


 

 再び「おー」である。おいおい、とんだ色男やないか。

 中学生からの知り合いで、2人がともに成長したときフト自覚する恋心

 でもって、女子の方から「好きです」「つきあってください」で、そこから結ばれると。

 ドラマやがな、青春やがな。うらやましいねえ、オレもそんなステキな恋をしてみたいで。

 なんて、ボンクラ男子たちは女子会のごとく「恋バナ」で盛り上がっていたのだが、本来は「凱旋の英雄万歳」であるはずのナガオ君は、首をかしげながら、

 


 「いや、そういうんちゃうねんな」


 

 そういうんちゃうって、どうちゃうねん。幼なじみに告白されて、そのままつきあって、もう心身ともにラブラブなんやろ?

 そう肩をつつくと彼は苦笑しながら、

 


 「告白されてないって。つきあってもないんやし」


 

 ? どういうこと? でもさっきは、「むこうから言ってきた」言うてましたやん。

 


 「そうや。言うてきたんや。いきなり、ラブホテルに行こうって」


 

 ふたたび「へ?」である。

 それはなんか……風向きが変わってきたというか、いわゆる、

 

 「なんか……思てたんと、ちょっとちがう……」

 

 という感じではないか。

 なになに? どういうこと

 われわれは流れ的に「むこうから言ってきた」=「告白してきた」と思いこんでいた。

 なんでも「告白」というのは日本独特の文化らしく、こっちのアニメマンガの好きな異人さんには「あこがれのシチュエーション」なのだそうだが、そういうことではない。

 「むこうから言ってきた」=「ラブホ行こうぜ! と言ってきた」ということなのだ。

 そのワサコちゃんいう子も、えらい積極的やな、というか初球ラブホテルって、場合によっては引くけどなあ。下手したら、危険球退場やで。

 なんて、場がザワザワしたところにナガオ君が説明するには、そもそも告白どころか、呼び出されてまずされたことが、

 


 「はじめて彼氏ができた」


 

 という報告だったそうな。

 ナガオ君はワサコちゃんと友達であって、別に恋愛感情はなかったから、「あ、そう。よかったね」くらいだったのだが、続けて彼女が言うには、

 


 「だから、一緒にホテル行ってくれへん?」


 

 文がつながってないというか、完全に「だから」という接続詞の使い方を間違っているが、彼女が言うには、


 


 「今度、カレの家に泊まりに行くことになったんやけど、まあ、たぶんそういうことになると思うねん」


 

 まあ、なる可能性は高いでしょうなあ。

 


 「でさあ、そんときにこっちがなんにも知らんウブな女やと恥ずかしいから、一回、アンタで経験しときたいねん」


 

 いかがであろうか。

 ひわちゃんが、思わずつっこんだシチュエーションのようというか、今思い出してみたら「まんま」ではないか。

 

 (続く)


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