ひとり日和(著:青山七恵)をさっき読み終わりました。
第136回芥川賞受賞作です。
春の青空と満開の桜の木という装丁がほのぼのとしていて良いですね。
20歳の知寿(ちず)と71歳の吟子さんが暮らす春・夏・秋・冬の1年間を描いています。
春、仕事を求め東京に上京した知寿は、吟子さんの家に住まわせてもらうことになります。
吟子さんの家の中で二人が会話する場面が多いですね。
最初の何ページかは、読みづらさを感じていました。
一つ一つの文章が早く読むのに向かないというのでしょうか。
どうしても読むのが遅くなってしまう感じです。
インストールや平成マシンガンズに比べてかなり話のテンポが遅いです。
ほのぼのした雰囲気を出すために意図的に遅くしているのかも知れません。
「春」編の40ページを読み終わり次は「夏」編です。
ここで急に話のテンポが良くなったように感じました。
「夏」編で知寿は駅のホームの売店でアルバイトを始めます。
そこで駅員のアルバイトをしている「藤田君」と出会い恋をします。
また、吟子さんとの会話が独特なテンポを醸し出すようになってきて、この二人の会話が楽しみになりました。
文章自体はそれほど読みやすくないのですが、会話は一言一言が短くて読みやすいですね。
さっぱりした会話も良いものです。
「秋」編では知寿と藤田君の恋が終わってしまいます。
それだけなら良くあるパターンですが、その後、はっとする文章がありました。
122ページ
「救いようがない。いつになったら、ひとりじゃなくなるのだろうか。思って、はっとした。私はひとりがいやなのか。ひとりがいやだなんて、子どもじみていて恥ずかしいと思っていたのに。」
作者は23歳だし、この心情がわかるんですね。
平成世代が抱える心の寂しさです…。
中学のときとか、みんなでいないと不安でたまらないと思ったものです。
私は高校でこの思いからは抜け出せましたが、他の人はどうなのでしょうか…。
「冬」編。クリスマスパーティをしたり、中国から帰って来た母親と会ったり、吟子さんとバレンタインチョコを買いに行ったりと、よくありそうな日常が続きます。
この感じは島本理生さんのリトル・バイ・リトルと似ていますね。
派手さはないのですが、全体として見るときれいにまとまっています。
新たな会社でアルバイトを始めていた知寿は、年明け初日の出勤で正社員にならないかと勧められます。
そして冬の終わり、知寿は吟子さんの家を出て、新たな生活が始まるのです。
最初は読みづらかった「ひとり日和」ですが、途中からは良いテンポで読むことができました。
知寿と吟子さんという全く年代の違う2人の会話は面白かったです。
常にひょうひょうと会話する吟子さんが、知寿との別れのとき泣いたのは以外でした。
日常を題材にした小説を読むと不思議な気分になります。
デビュー二作目で芥川賞受賞、これからも頑張ってほしいです。
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
第136回芥川賞受賞作です。
春の青空と満開の桜の木という装丁がほのぼのとしていて良いですね。
20歳の知寿(ちず)と71歳の吟子さんが暮らす春・夏・秋・冬の1年間を描いています。
春、仕事を求め東京に上京した知寿は、吟子さんの家に住まわせてもらうことになります。
吟子さんの家の中で二人が会話する場面が多いですね。
最初の何ページかは、読みづらさを感じていました。
一つ一つの文章が早く読むのに向かないというのでしょうか。
どうしても読むのが遅くなってしまう感じです。
インストールや平成マシンガンズに比べてかなり話のテンポが遅いです。
ほのぼのした雰囲気を出すために意図的に遅くしているのかも知れません。
「春」編の40ページを読み終わり次は「夏」編です。
ここで急に話のテンポが良くなったように感じました。
「夏」編で知寿は駅のホームの売店でアルバイトを始めます。
そこで駅員のアルバイトをしている「藤田君」と出会い恋をします。
また、吟子さんとの会話が独特なテンポを醸し出すようになってきて、この二人の会話が楽しみになりました。
文章自体はそれほど読みやすくないのですが、会話は一言一言が短くて読みやすいですね。
さっぱりした会話も良いものです。
「秋」編では知寿と藤田君の恋が終わってしまいます。
それだけなら良くあるパターンですが、その後、はっとする文章がありました。
122ページ
「救いようがない。いつになったら、ひとりじゃなくなるのだろうか。思って、はっとした。私はひとりがいやなのか。ひとりがいやだなんて、子どもじみていて恥ずかしいと思っていたのに。」
作者は23歳だし、この心情がわかるんですね。
平成世代が抱える心の寂しさです…。
中学のときとか、みんなでいないと不安でたまらないと思ったものです。
私は高校でこの思いからは抜け出せましたが、他の人はどうなのでしょうか…。
「冬」編。クリスマスパーティをしたり、中国から帰って来た母親と会ったり、吟子さんとバレンタインチョコを買いに行ったりと、よくありそうな日常が続きます。
この感じは島本理生さんのリトル・バイ・リトルと似ていますね。
派手さはないのですが、全体として見るときれいにまとまっています。
新たな会社でアルバイトを始めていた知寿は、年明け初日の出勤で正社員にならないかと勧められます。
そして冬の終わり、知寿は吟子さんの家を出て、新たな生活が始まるのです。
最初は読みづらかった「ひとり日和」ですが、途中からは良いテンポで読むことができました。
知寿と吟子さんという全く年代の違う2人の会話は面白かったです。
常にひょうひょうと会話する吟子さんが、知寿との別れのとき泣いたのは以外でした。
日常を題材にした小説を読むと不思議な気分になります。
デビュー二作目で芥川賞受賞、これからも頑張ってほしいです。
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。