こんにちは。
なんと今回で、第一の目標にしていた20記事に到達です!
ブログを始めて1ヶ月、やっと使い方もわかってきました。
20記事記念ということで、僕が本を好きになったきっかけとも言うべき小説をご紹介したいと思います。
第130回芥川賞受賞作「蹴りたい背中」(著:綿矢りさ)です。
2004年1月、2月は芥川賞がものすごい話題になったのは記憶に新しいです。
たしかテレビのニュースでも大騒ぎでしたが、1月の時点ではそんなに読んでみたいとは思いませんでした。
2月になって、文藝春秋という文芸誌の宣伝をあちこちで見かけるようになり、綿矢りさって上品な女の子だなあと思い始め、蹴りたい背中に興味を持ちました。
当時は東京の八王子に住んでいて、JR八王子駅近くの本屋に行って購入しました。
装丁がすごくさわやかで「これは買わなくては!」と思いました。
家に帰ってさっそく本を開いてみる。
そして最初の3行でこの小説に引き込まれました。
今まで読んだことのない独特な世界観。
文章が流れるような切れの良さで読みやすい。
最初の舞台は高校の理科実験室。
主人公「ハツ」の心情はよくわかります。
20才前後の人なら「これはたしかに」と思うのではないでしょうか。
「今日は実験だから、適当に座って五人で一班を作れ。先生が何の気なしに言った一言のせいで、理科室にはただならね緊張が走った。適当に座れと言われて、適当な所に座る子なんて、一人もいないんだ。ごく一瞬のうちに働く緻密な計算-五人全員親しい友達で固められるか、それとも足りない分を余り者で補わなければいけないか-がなされ、友達を探し求めて泳ぐ視線同士がみるみるうちに絡み合い、グループが編まれていく。」
この文を読んだとき、これはその通りだなと思いました。
中学や高校のときは誰でもこういうことを考えるのではと思います。
私も考えていました。
一人が怖くて、みんなと一緒でないと不安になるという気持ちですね。
私は中学のときがそうでしたね。
高校になると精神的に余裕が出てくるので何とかなるのですが、中学のときは毎日焦っていました。
休み時間になると常に友達と一緒にしゃべって、一人になるのを防いでいました。
綿矢さんも同じ年代なのでこの気持ちがわかるのでしょうが、それを書けるというのがすごいと思います。
普通はそんな生々しいことは怖くて書けないと思います…。
この小説は「ハツ」と「にな川」の妙な関係が話の中心になっています。
にな川は「オリちゃん」というモデルに異常なまでの興味を持つオタクで、かなりの変わり者です。
クラスから孤立したこの二人の微妙な関係は恋愛ではないですね。
にな川はハツを「オリちゃんと会ったことのある人」として興味を持っているだけです。
会った場所を地図に書いてとか言うくらいですから、かなりのオタク少年なのですね。
小説の終盤、にな川、ハツ、絹代の3人でオリちゃんのライブを見に行くときは、にな川が男らしいところを見せましたね。
ライブ会場に行くまでの流れるような展開が何度読んでも好きです。
ライブが始まるとにな川はオタクに戻ってしまいますが…。
しかもライブ後にオリちゃんに詰め寄ろうとして暴走するし…。
ハツがにな川に抱く気持ちは最後まで微妙なままでした。
絹代に恋敵はオリちゃんだねとからかわれてはいたものの、ハツとにな川は恋人関係とはぜんぜん違う感じです。
ハツはにな川に対して、もっと惨めになれと思っているようです。
最後のページで背中を蹴ったとき、ハツはごまかしたものの、にな川は気づいていたと思います。
この後の展開がすごく気になります。
夏休みが終わって、クラスのはみ出し者の二人がどうなっていくのか、色々なことを考えてしまいますね。
絹代との仲はますます希薄になっていくと思うし、そうなると頼りはにな川だけです。
オリちゃんオタクのにな川とどんな関係になっていくのか、続きが読めないのは残念です。
たぶん無理でしょうが、綿矢さんが続編を書いてくれないかなと期待してしまいます。
綿矢さんはこの前発売された「夢を与える」で全く違った作品を描いたし、「蹴りたい背中」のような世界観の小説はもう書かないのかも知れません。
でもこの「蹴りたい背中」はこの先もずっと残っていくだろうし、綿矢さんの代表作として語り継がれていくのではと思います。
ハツの気持ちは今の子なら良くわかるはずです。
お勧めの本なので読んでみてください☆
それでは、この辺りで失礼します。
※「蹴りたい背中」再読感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
なんと今回で、第一の目標にしていた20記事に到達です!
ブログを始めて1ヶ月、やっと使い方もわかってきました。
20記事記念ということで、僕が本を好きになったきっかけとも言うべき小説をご紹介したいと思います。
第130回芥川賞受賞作「蹴りたい背中」(著:綿矢りさ)です。
2004年1月、2月は芥川賞がものすごい話題になったのは記憶に新しいです。
たしかテレビのニュースでも大騒ぎでしたが、1月の時点ではそんなに読んでみたいとは思いませんでした。
2月になって、文藝春秋という文芸誌の宣伝をあちこちで見かけるようになり、綿矢りさって上品な女の子だなあと思い始め、蹴りたい背中に興味を持ちました。
当時は東京の八王子に住んでいて、JR八王子駅近くの本屋に行って購入しました。
装丁がすごくさわやかで「これは買わなくては!」と思いました。
家に帰ってさっそく本を開いてみる。
そして最初の3行でこの小説に引き込まれました。
今まで読んだことのない独特な世界観。
文章が流れるような切れの良さで読みやすい。
最初の舞台は高校の理科実験室。
主人公「ハツ」の心情はよくわかります。
20才前後の人なら「これはたしかに」と思うのではないでしょうか。
「今日は実験だから、適当に座って五人で一班を作れ。先生が何の気なしに言った一言のせいで、理科室にはただならね緊張が走った。適当に座れと言われて、適当な所に座る子なんて、一人もいないんだ。ごく一瞬のうちに働く緻密な計算-五人全員親しい友達で固められるか、それとも足りない分を余り者で補わなければいけないか-がなされ、友達を探し求めて泳ぐ視線同士がみるみるうちに絡み合い、グループが編まれていく。」
この文を読んだとき、これはその通りだなと思いました。
中学や高校のときは誰でもこういうことを考えるのではと思います。
私も考えていました。
一人が怖くて、みんなと一緒でないと不安になるという気持ちですね。
私は中学のときがそうでしたね。
高校になると精神的に余裕が出てくるので何とかなるのですが、中学のときは毎日焦っていました。
休み時間になると常に友達と一緒にしゃべって、一人になるのを防いでいました。
綿矢さんも同じ年代なのでこの気持ちがわかるのでしょうが、それを書けるというのがすごいと思います。
普通はそんな生々しいことは怖くて書けないと思います…。
この小説は「ハツ」と「にな川」の妙な関係が話の中心になっています。
にな川は「オリちゃん」というモデルに異常なまでの興味を持つオタクで、かなりの変わり者です。
クラスから孤立したこの二人の微妙な関係は恋愛ではないですね。
にな川はハツを「オリちゃんと会ったことのある人」として興味を持っているだけです。
会った場所を地図に書いてとか言うくらいですから、かなりのオタク少年なのですね。
小説の終盤、にな川、ハツ、絹代の3人でオリちゃんのライブを見に行くときは、にな川が男らしいところを見せましたね。
ライブ会場に行くまでの流れるような展開が何度読んでも好きです。
ライブが始まるとにな川はオタクに戻ってしまいますが…。
しかもライブ後にオリちゃんに詰め寄ろうとして暴走するし…。
ハツがにな川に抱く気持ちは最後まで微妙なままでした。
絹代に恋敵はオリちゃんだねとからかわれてはいたものの、ハツとにな川は恋人関係とはぜんぜん違う感じです。
ハツはにな川に対して、もっと惨めになれと思っているようです。
最後のページで背中を蹴ったとき、ハツはごまかしたものの、にな川は気づいていたと思います。
この後の展開がすごく気になります。
夏休みが終わって、クラスのはみ出し者の二人がどうなっていくのか、色々なことを考えてしまいますね。
絹代との仲はますます希薄になっていくと思うし、そうなると頼りはにな川だけです。
オリちゃんオタクのにな川とどんな関係になっていくのか、続きが読めないのは残念です。
たぶん無理でしょうが、綿矢さんが続編を書いてくれないかなと期待してしまいます。
綿矢さんはこの前発売された「夢を与える」で全く違った作品を描いたし、「蹴りたい背中」のような世界観の小説はもう書かないのかも知れません。
でもこの「蹴りたい背中」はこの先もずっと残っていくだろうし、綿矢さんの代表作として語り継がれていくのではと思います。
ハツの気持ちは今の子なら良くわかるはずです。
お勧めの本なので読んでみてください☆
それでは、この辺りで失礼します。
※「蹴りたい背中」再読感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。