今回ご紹介するのは「ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~」(著:三上延)です。
-----内容-----
珍しい古書に関する特別な相談―
謎めいた依頼に、ビブリア古書堂の二人は鎌倉の雪ノ下へ向かう。
その家には驚くべきものが待っていた。
稀代の探偵、推理小説作家江戸川乱歩の膨大なコレクション。
それを譲る代わりに、ある人物が残した精巧な金庫を開けてほしいという。
金庫の謎には乱歩作品を取り巻く人々の数奇な人生が絡んでいた。
そして、深まる謎はあの人物までも引き寄せる。
美しき女店主とその母、謎解きは二人の知恵比べの様相を呈してくるのだが―。
-----感想-----
というわけで、待ちに待った「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズの第4巻
前作の終わり方からして、今作は激動の展開になる予感がしてとても気になっていました。
まず本を開いて印象的だったのが、鎌倉の鶴岡八幡宮の鳥居と満開の桜を描いた淡いイラスト。
今回の物語は桜が咲く春先の頃の物語です
時系列は2011年の4月上旬。
冒頭のプロローグの中で「東日本が大規模な震災に見舞われてから二十日あまり、四月に入った今も数日おきにこんな余震が起こっている」とあり、東日本大震災の混乱の余波が続く中物語が進んでいくことが分かりました。
ビブリア古書堂も被害を受けて、店の通路に立っていた棚が倒れて大量の古書が床に散乱するなどしたようですが、三日後には営業を再開出来たとのことで何よりでした。
そんな中、今回序盤から驚かされたのが「あの人物」の登場ですね。
篠川栞子と文香(あやか)の姉妹の母親にして、十年前に突如家を出て行ったきり行方が分からなかった篠川智恵子。
まさかあんな形で登場するとは思わず、とても驚きました。
「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズで最も重要な人物がいきなり出てきたことで、やはり今回の作品はこれまでベールに包まれていた「母親の謎」に一気に近付いていく予感がしてワクワクしました
今作では、このシリーズで初めて「一冊全てで一つの謎を解き明かしていく」という構成になっていました。
今までは各話ごとに謎を解決していたのが、今回は一冊丸々使って一つの謎に立ち向かって行きます。
その謎とは、江戸川乱歩作品の膨大なコレクションを持つ依頼人からの、「この家にある金庫を開けてほしい」というもの。
中には江戸川乱歩に縁のある珍しい品が入っていて、その価値は計り知れないとのこと。
金庫は鍵、ダイヤル、ボタンパスワードという三重のロックがかかった厳重なものです。
このうちダイヤルの数字が書かれたメモだけは依頼人が持っているのですが、色々な事情から鍵は別の家にあり、パスワードの暗証文字のほうは全く分からないという状態です。
なので依頼人からのメインの依頼は「暗証文字を突き止めて欲しい」ということ。
さらにもし金庫を開けてくれたら、報酬としてその家にある膨大な江戸川乱歩コレクションを全て売ってくれるとのこと。
希少価値の高い古書が勢揃いしていることからビブリア古書堂にとっても大きな利益になり、何より「本の虫」である栞子は希少な江戸川乱歩コレクションを手に出来ることに大興奮。
依頼を引き受けることになり、金庫を開けるための手がかりを求めて大輔とともに動き始めるのですが…
その行く手にちらつくのが、栞子の母・篠川智恵子の影。
篠川智恵子もまた、どういう情報網でか依頼人の金庫の存在を知り、その中味に興味を持ち動き始めていたのでした。
江戸川乱歩に縁のある、希少価値の高い「何か」が入っている金庫の謎を巡って、母娘の対決の様相を帯びてくる今作。
栞子をさらに上回る「本の虫」と呼ばれる智恵子だけあってその知識は圧倒的、母を嫌う栞子もそこは認めざるを得ず、力の差を目の当たりにして静かに悔しがる様子が印象的でした。
さらに智恵子の場合は外見こそ栞子とそっくりなものの、内気で正直者の栞子と違い、珍しい古書を手に入れる為なら手段を選ばない危険なところもあって、そこも栞子が母親を嫌う要因となっています。
それと、今作で最後の驚きだったのが「篠川智恵子の真の情報源」。
前作で密かに智恵子にビブリア古書堂の情報を送っている者の正体が明らかになりましたが、実はそれとは別にもう一人、重要な情報源がいたのでした。
これは全く予想していなかったので驚かされました。
そしてその人物から語られた、なぜ智恵子が十年前に突如家を出て行ったのかについての話。
これもまた驚きでした。
どうやら第5巻ではさらに栞子の母・智恵子の謎に迫っていくことになりそうですし、どんな展開が待ち受けているのか今からとても楽しみです
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-----内容-----
珍しい古書に関する特別な相談―
謎めいた依頼に、ビブリア古書堂の二人は鎌倉の雪ノ下へ向かう。
その家には驚くべきものが待っていた。
稀代の探偵、推理小説作家江戸川乱歩の膨大なコレクション。
それを譲る代わりに、ある人物が残した精巧な金庫を開けてほしいという。
金庫の謎には乱歩作品を取り巻く人々の数奇な人生が絡んでいた。
そして、深まる謎はあの人物までも引き寄せる。
美しき女店主とその母、謎解きは二人の知恵比べの様相を呈してくるのだが―。
-----感想-----
というわけで、待ちに待った「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズの第4巻

前作の終わり方からして、今作は激動の展開になる予感がしてとても気になっていました。
まず本を開いて印象的だったのが、鎌倉の鶴岡八幡宮の鳥居と満開の桜を描いた淡いイラスト。
今回の物語は桜が咲く春先の頃の物語です

時系列は2011年の4月上旬。
冒頭のプロローグの中で「東日本が大規模な震災に見舞われてから二十日あまり、四月に入った今も数日おきにこんな余震が起こっている」とあり、東日本大震災の混乱の余波が続く中物語が進んでいくことが分かりました。
ビブリア古書堂も被害を受けて、店の通路に立っていた棚が倒れて大量の古書が床に散乱するなどしたようですが、三日後には営業を再開出来たとのことで何よりでした。
そんな中、今回序盤から驚かされたのが「あの人物」の登場ですね。
篠川栞子と文香(あやか)の姉妹の母親にして、十年前に突如家を出て行ったきり行方が分からなかった篠川智恵子。
まさかあんな形で登場するとは思わず、とても驚きました。
「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズで最も重要な人物がいきなり出てきたことで、やはり今回の作品はこれまでベールに包まれていた「母親の謎」に一気に近付いていく予感がしてワクワクしました

今作では、このシリーズで初めて「一冊全てで一つの謎を解き明かしていく」という構成になっていました。
今までは各話ごとに謎を解決していたのが、今回は一冊丸々使って一つの謎に立ち向かって行きます。
その謎とは、江戸川乱歩作品の膨大なコレクションを持つ依頼人からの、「この家にある金庫を開けてほしい」というもの。
中には江戸川乱歩に縁のある珍しい品が入っていて、その価値は計り知れないとのこと。
金庫は鍵、ダイヤル、ボタンパスワードという三重のロックがかかった厳重なものです。
このうちダイヤルの数字が書かれたメモだけは依頼人が持っているのですが、色々な事情から鍵は別の家にあり、パスワードの暗証文字のほうは全く分からないという状態です。
なので依頼人からのメインの依頼は「暗証文字を突き止めて欲しい」ということ。
さらにもし金庫を開けてくれたら、報酬としてその家にある膨大な江戸川乱歩コレクションを全て売ってくれるとのこと。
希少価値の高い古書が勢揃いしていることからビブリア古書堂にとっても大きな利益になり、何より「本の虫」である栞子は希少な江戸川乱歩コレクションを手に出来ることに大興奮。
依頼を引き受けることになり、金庫を開けるための手がかりを求めて大輔とともに動き始めるのですが…
その行く手にちらつくのが、栞子の母・篠川智恵子の影。
篠川智恵子もまた、どういう情報網でか依頼人の金庫の存在を知り、その中味に興味を持ち動き始めていたのでした。
江戸川乱歩に縁のある、希少価値の高い「何か」が入っている金庫の謎を巡って、母娘の対決の様相を帯びてくる今作。
栞子をさらに上回る「本の虫」と呼ばれる智恵子だけあってその知識は圧倒的、母を嫌う栞子もそこは認めざるを得ず、力の差を目の当たりにして静かに悔しがる様子が印象的でした。
さらに智恵子の場合は外見こそ栞子とそっくりなものの、内気で正直者の栞子と違い、珍しい古書を手に入れる為なら手段を選ばない危険なところもあって、そこも栞子が母親を嫌う要因となっています。
それと、今作で最後の驚きだったのが「篠川智恵子の真の情報源」。
前作で密かに智恵子にビブリア古書堂の情報を送っている者の正体が明らかになりましたが、実はそれとは別にもう一人、重要な情報源がいたのでした。
これは全く予想していなかったので驚かされました。
そしてその人物から語られた、なぜ智恵子が十年前に突如家を出て行ったのかについての話。
これもまた驚きでした。
どうやら第5巻ではさらに栞子の母・智恵子の謎に迫っていくことになりそうですし、どんな展開が待ち受けているのか今からとても楽しみです

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