今回ご紹介するのは「書店ガール2 最強のふたり」(著:碧野圭)です。
-----内容-----
あの熱いコンビが帰ってきた!
吉祥寺に出店する大手書店チェーンに転職を果たした理子と亜紀。
しかし、大型書店の店長という、いままでと違う職責に理子は戸惑っていた。
一方、文芸書担当として活躍する亜紀にも問題が。
妊娠をきっかけに起こった夫との確執、書籍の回収騒動-。
そんな忙しい日々の中、本と本屋の力を信じる二人が考え出した新たな挑戦とは?
書店を舞台とした痛快お仕事エンタテインメント第二弾。
文庫書き下ろし。
-----感想-----
※「書店ガール」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
今作は、前作から2年後が舞台となります。
西岡理子は42歳、小幡亜紀は29歳に。
前作で色々あった二人ですが、理子は吉祥寺に新たに進出してきた福岡を本店とする大手書店チェーン「新興堂書店」の店長になり、亜紀はその店の文芸書担当になりました。
亜紀は持ち前のアグレッシブさから本屋大賞のプレゼンテーターをしたりしています。
「マルシェ吉祥寺」という、総合商業施設に新興堂書店吉祥寺店が入っています。
今作では冒頭で亜紀の妊娠が発覚。
それに端を発し、亜紀と夫の伸光の確執も出てきます。
理子のほうは、福岡の本店から単身赴任してきた副店長の田代俊介が優秀すぎるせいか、どことなく自分の店長としての役どころを見出だせずにいました。
前作では現場で獅子奮迅の働きをしていた理子も、今作ではあまり直にお客様と触れ合う機会がなくなっていました。
それでも、理子の本と本屋に対する思いは全くぶれていませんでした。
「お客がその一冊に出合うための手助けを、我々書店員はしているのだ」という言葉を見て、そう思いました。
亜紀のほうは、妊娠が明らかになってから「三歳児神話」というものに悩まされていました。
伸光と伸光の母親は、亜紀に一度仕事を辞めて、子供が三歳になるまでは母親として育児に専念してほしいと思っています。
一方で亜紀は産休、育休を取ったのちに子供を保育園に預けて、早期に職場に復帰したいと思っています。
この件で夫の伸光と意見がぶつかって険悪な雰囲気になっていました。
今作では書籍の回収騒動というのがありました。
それは「南京大虐殺」を巡る騒動。
「コミック・ドム」という雑誌で連載している「ここが荒野」という漫画の中に、「南京大虐殺で三十万人を虐殺した日本兵」という言葉が載っていて、これが大問題に。
南京大虐殺については色々な説があるため、何の注釈も付けず、一方的に「南京大虐殺で三十万人を虐殺した日本兵」と書いて掲載したことが問題になりました。
そして出版元の判断により、この雑誌が回収されることに。
南京大虐殺についてはほんとに色々な意見があって、私的には「戦争なので人は死ぬだろうが、当時燃料や武器が不足していた日本軍が三十万人も虐殺出来たかは甚だ疑問」という印象です。
※2014年9月、元朝日新聞記者で南京大虐殺を大々的に宣伝してきた本多勝一氏が、写真の捏造を認めました。
朝日新聞は吉田調書捏造報道、従軍慰安婦捏造報道、ジャーナリストの池上彰さんへの言論封殺事件と不祥事が次々と明るみになり、社長が謝罪会見するまでに追い込まれているので、この本多勝一氏もこのまま捏造を真実と言い張るのは無理があると判断したのかも知れません。
信憑性にかなりの疑問がある南京大虐殺、もしかすると今後大きな動きがあるかも知れません。
それと、この「コミック・ドム」という雑誌は亜紀の夫である伸光が編集長をしているため、雑誌が回収される騒動になり、その責任が押し寄せることに。。。
傷心する伸光を亜紀が盛岡に連れ出して旅行に行き、そこで新たな光明を見出だしたのは良かったなと思います。
夫婦のわだかまりも解消し、絆も深まっていきました。
理子のほうは、いつの間にか「吉祥寺の女傑」と呼ばれて結構有名になっているのがウケました。
たしかに前作での奮戦ぶりはまさに「女傑」だったなと思います。
あと、副店長の田代俊介の自分への想いに気付き、戸惑う理子。
一方の理子も、田代のことを好きになりつつある自分の気持ちに気付きつつも、前には踏み出せずにいて、何だかこの二人の微妙な空気感が興味深かったです。
それと、理子が言っていたこの言葉は印象的でした。
「本というのは、世の中に出てしまえば作家や版元だけのものではない。それを読む読者のためのものだから」
ほんと、本というものを尊重し、大事にする人だなと思います。
それは亜紀も同じで、正反対なような二人が良いコンビになって、お客様に本を届けるために頑張っていました。
サブタイトルが「最強のふたり」なだけあって、今作ではこの二人の奮戦ぶりに焦点が当てられていました。
そして、終盤に登場した「本のある風景」プロジェクト。
これは面白かったです。
企画も斬新で、意外にもこの企画を考え出したのは普段はこういった企画に慎重な理子のほうでした。
基本的に面白いイベントが好きな亜紀はもちろん大賛成。
ただ大規模な企画のため、色々な方面との調整が大変で店長の理子はかなり苦労していました。
それでも「より多くのお客様に本を届けたい」という思いから企画実現に向けて奮戦していて、書店員さんはほんとに凄いなと思いました。
電子書籍が台頭しつつある昨今ですが、こうしたリアル書店もぜひ負けずに頑張っていってほしいなと思います![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kirakira.gif)
※「書店ガール3 託された一冊」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「書店ガール4 パンと就活」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「書店ガール5 ラノベとブンガク」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「書店ガール6 遅れて来た客」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
※図書ランキングはこちらをどうぞ。
-----内容-----
あの熱いコンビが帰ってきた!
吉祥寺に出店する大手書店チェーンに転職を果たした理子と亜紀。
しかし、大型書店の店長という、いままでと違う職責に理子は戸惑っていた。
一方、文芸書担当として活躍する亜紀にも問題が。
妊娠をきっかけに起こった夫との確執、書籍の回収騒動-。
そんな忙しい日々の中、本と本屋の力を信じる二人が考え出した新たな挑戦とは?
書店を舞台とした痛快お仕事エンタテインメント第二弾。
文庫書き下ろし。
-----感想-----
※「書店ガール」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
今作は、前作から2年後が舞台となります。
西岡理子は42歳、小幡亜紀は29歳に。
前作で色々あった二人ですが、理子は吉祥寺に新たに進出してきた福岡を本店とする大手書店チェーン「新興堂書店」の店長になり、亜紀はその店の文芸書担当になりました。
亜紀は持ち前のアグレッシブさから本屋大賞のプレゼンテーターをしたりしています。
「マルシェ吉祥寺」という、総合商業施設に新興堂書店吉祥寺店が入っています。
今作では冒頭で亜紀の妊娠が発覚。
それに端を発し、亜紀と夫の伸光の確執も出てきます。
理子のほうは、福岡の本店から単身赴任してきた副店長の田代俊介が優秀すぎるせいか、どことなく自分の店長としての役どころを見出だせずにいました。
前作では現場で獅子奮迅の働きをしていた理子も、今作ではあまり直にお客様と触れ合う機会がなくなっていました。
それでも、理子の本と本屋に対する思いは全くぶれていませんでした。
「お客がその一冊に出合うための手助けを、我々書店員はしているのだ」という言葉を見て、そう思いました。
亜紀のほうは、妊娠が明らかになってから「三歳児神話」というものに悩まされていました。
伸光と伸光の母親は、亜紀に一度仕事を辞めて、子供が三歳になるまでは母親として育児に専念してほしいと思っています。
一方で亜紀は産休、育休を取ったのちに子供を保育園に預けて、早期に職場に復帰したいと思っています。
この件で夫の伸光と意見がぶつかって険悪な雰囲気になっていました。
今作では書籍の回収騒動というのがありました。
それは「南京大虐殺」を巡る騒動。
「コミック・ドム」という雑誌で連載している「ここが荒野」という漫画の中に、「南京大虐殺で三十万人を虐殺した日本兵」という言葉が載っていて、これが大問題に。
南京大虐殺については色々な説があるため、何の注釈も付けず、一方的に「南京大虐殺で三十万人を虐殺した日本兵」と書いて掲載したことが問題になりました。
そして出版元の判断により、この雑誌が回収されることに。
南京大虐殺についてはほんとに色々な意見があって、私的には「戦争なので人は死ぬだろうが、当時燃料や武器が不足していた日本軍が三十万人も虐殺出来たかは甚だ疑問」という印象です。
※2014年9月、元朝日新聞記者で南京大虐殺を大々的に宣伝してきた本多勝一氏が、写真の捏造を認めました。
朝日新聞は吉田調書捏造報道、従軍慰安婦捏造報道、ジャーナリストの池上彰さんへの言論封殺事件と不祥事が次々と明るみになり、社長が謝罪会見するまでに追い込まれているので、この本多勝一氏もこのまま捏造を真実と言い張るのは無理があると判断したのかも知れません。
信憑性にかなりの疑問がある南京大虐殺、もしかすると今後大きな動きがあるかも知れません。
それと、この「コミック・ドム」という雑誌は亜紀の夫である伸光が編集長をしているため、雑誌が回収される騒動になり、その責任が押し寄せることに。。。
傷心する伸光を亜紀が盛岡に連れ出して旅行に行き、そこで新たな光明を見出だしたのは良かったなと思います。
夫婦のわだかまりも解消し、絆も深まっていきました。
理子のほうは、いつの間にか「吉祥寺の女傑」と呼ばれて結構有名になっているのがウケました。
たしかに前作での奮戦ぶりはまさに「女傑」だったなと思います。
あと、副店長の田代俊介の自分への想いに気付き、戸惑う理子。
一方の理子も、田代のことを好きになりつつある自分の気持ちに気付きつつも、前には踏み出せずにいて、何だかこの二人の微妙な空気感が興味深かったです。
それと、理子が言っていたこの言葉は印象的でした。
「本というのは、世の中に出てしまえば作家や版元だけのものではない。それを読む読者のためのものだから」
ほんと、本というものを尊重し、大事にする人だなと思います。
それは亜紀も同じで、正反対なような二人が良いコンビになって、お客様に本を届けるために頑張っていました。
サブタイトルが「最強のふたり」なだけあって、今作ではこの二人の奮戦ぶりに焦点が当てられていました。
そして、終盤に登場した「本のある風景」プロジェクト。
これは面白かったです。
企画も斬新で、意外にもこの企画を考え出したのは普段はこういった企画に慎重な理子のほうでした。
基本的に面白いイベントが好きな亜紀はもちろん大賛成。
ただ大規模な企画のため、色々な方面との調整が大変で店長の理子はかなり苦労していました。
それでも「より多くのお客様に本を届けたい」という思いから企画実現に向けて奮戦していて、書店員さんはほんとに凄いなと思いました。
電子書籍が台頭しつつある昨今ですが、こうしたリアル書店もぜひ負けずに頑張っていってほしいなと思います
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