読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
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「ロサンゼルスBB 連続殺人事件」西尾維新 のご紹介

2007-03-14 22:32:14 | 小説
ロサンゼルスBB連続殺人事件-あなたはLの伝説を見る!-
このキャッチコピーに魅せられて購入しました。(著:西尾維新)
デスノートの連載が終わってしまい落胆していた僕にとって、この番外編はとても魅力的に思いました。
黒色の装丁に白色のカバー。
素晴らしい…デスノートの世界観がひしひしと伝わってきます。
本を開いてみると、半透明のカーボン紙、次にLと南空ナオミの優美な扉絵イラスト、その次のページには「DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件」のテロップが!
これは期待出来ると確信する素晴らしい作り。
さっそく読み始める… ビヨンド・バースデイ?出だしから聞いたことのない名前が出てきた。
てっきりLの登場シーンから始まると思ったが、どうやらいきなり犯人の登場らしい。
また、この本はメロが語り手になっているみたいだ。
「あの頭でっかちのニアの野郎」、「非現実的な殺人ノートの能力と頭の悪い死神の手助けに、終始おんぶにだっこしているらしい調子づいた殺人鬼」、うーむメロ、結構言いたい放題ですね…
にしても自分のことを「旧世界のかませ犬、犬死のベストドレッサー」だなんて、何だか自嘲的な気が…メロってこんなに皮肉屋だっただろうか。
たしかに本編ではかませ犬になりがちだったけど…
それはさておき、この小説、読んでみるとLの登場する場面がほとんどないことに気付きます。
キャッチコピーを-あなたは美空ナオミの伝説を見る!-に変えたほうが良いのでは?というくらい、美空ナオミの活躍が目立ちます。
Lが登場するのは事件捜査の節目節目で美空ナオミが連絡をとる時くらいです。
また、竜崎ルエという謎の探偵がLではなかったのには驚きました。
超甘党で奇抜な行動で竜崎…本編を読んでた人はみんな騙されたんじゃないでしょうか?
普通こいつがLだと思いますよね。作者に一杯くわされました。
でも小説の終盤、ついにLの見せ場が来ました。もちろん本物の。
ここぞってときの決めゼリフですね。
「私が興味があるのは、正義だけですから」 Lが言うと説得力ありますね。
ライトが同じことを言っても説得力は皆無なのでは…
でも僕は本編ではライト寄りだったので、あんまりライトを非難することはできません。
メロいわく、この小説はワイミーズハウスの内紛とのこと。
L対B、これはたしかに内紛ですね。どっちかというと、L&M対Bのような気が…Mはメロではなく美空です、念のため。
「Lが動くのは10人以上の犠牲者が出るか100万ドル以上の被害額が出たときのみ」…さすがL、それでこそライトの宿敵。
今後もこういった番外編が出てくれると、ファンとして嬉しい限りです。

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「You can keep it. 」綿矢りさ のご紹介

2007-03-12 16:26:27 | 小説
こんにちは。
今回は携帯からブログを投稿してみようと思います。
さて、今回ご紹介するのは、「You can keep it」(著:綿矢りさ)です。
これは文庫版のインストールに、短篇として収録されているものです。
読んでみると、この作品から綿矢さん独特の軽快な言い回しが影を潜めているように思います。
インストールも蹴りたい背中も、テンポ良く読める雰囲気があったのですが、どうもこの作品にはそれを感じません。
淡々としているというのでしょうか…。
どうして綿矢さんが今までのテンポをこの作品では使わなかったのか、気になるところです。
思うに、この作品は先月発売された「夢を与える」につながる作品なのではと思います。
「夢を与える」も終始淡々としていて、軽快な言い回しが見当たりません。
綿矢さんの心境に変化でもあったのでしょうか…。
「You can keep it.」では、主人公は城島という大学一年生で、まわりの友達にやたらと物をあげる癖があります。
どうやらそれは、いじめから身を守るための手段のようです。
物をプレゼントしていれば嫌われなくて済む=いじめられなくて済むという考えですね。
この考えの部分は、蹴りたい背中と少し似ています。
しかし蹴りたい背中では主人公「ハツ」がこういった手段で人と繋がるのを嫌ったのに対し、今回の主人公はそういう手を使って積極的に人と繋がっています。
綿矢さんの書きたいものが変わったのかも知れません。
綿矢さんは若い世代の考え方を熟知していると思います。
ハツのように媚びない人もいれば、城島のように媚びる人もいるというのを気付かせてくれます。
人の微妙な心の内を的確に捉えられるのが綿矢さんの強みだと思います。
書きたい作品が変わったとしても、この力は失わないでいて欲しいものです。


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「上村愛子 smile」山石 やすこ のご紹介

2007-03-11 19:22:43 | ノンフィクション・エッセイ
今回ご紹介するのは「上村愛子 smile」です。
上村愛子さんは長野オリンピックで初めて見ました。
髪にビーズを付けたりしているのがテレビで紹介されたりしていました。
この当時はまだモーグルという競技はそれほど有名ではありませんでした。
当時僕は13才で、18才の上村さんをカッコいいお姉さんと思ったものです。
愛嬌があり、人を惹きつける華を持った人だと思います。
その上村さんのトリノオリンピックまでの道のりを綴ったのが「上村愛子 smile!」です。
上村さんは長野オリンピックは7位、ソルトレイクシティオリンピックは6位でした。
みなさんも、上村さんが長野からソルトレイクまでの間に圧倒的に力を付けたのはご存知だと思います。
テレビのニュースでも、上村さんがワールドカップで表彰台に上がったという話が聞かれるようになりました。
ソルトレイクのときもメダル候補に上がっていました。
長野で金メダルを取った里谷多英より実力が上と見られるようになっていたのです。
しかしソルトレイクではまさかの6位に終わりました。
この本は、そのときの心のうちなどが書かれています。
写真付きで、ソルトレイクの湖に行ったときの様子が紹介されたりもしています。


話の中心はこのソルトレイクが終わってからトリノまでの道のりです。
普段テレビでしか上村さんを見たことがないので知りませんでしたが、トリノまでの道のりは険しかったようです。
上村さんがトリノで見せた必殺技、コークスクリュー720は、会得するまでにかなり苦労したとあります。
僕たちはテレビで上村さんのコークスクリュー720が決まるのを見て大はしゃぎでしたが、やっている本人は血の滲むような努力を重ねているのです。
夏場にプールを使ってコークスクリュー720の練習をしていたのはこの本で初めて知りました。
また、本の1ページ目に、2005年ワールドカップ・ボス大会で優勝したときの写真が載っています。
上村さんはとても誇らしげで、長きスランプから脱出した喜びが伝わってきました。


また、上村さんはいじめに遭っていたそうです。
スキー板を隠されたり、無視されたり、かなりひどいいじめだったとあります。
普段愛くるしい笑顔を見せている姿からは想像がつきませんが、つらい過去があったのだなと思います。


トリノオリンピックの結果は5位でした。
メダルを取れなかったとはいえ、上村さんは本番でもコークスクリュー720を決め、持てる力を出し切ったと思います。
上村さんはバンクーバーオリンピックにも出場すると言っていました。
それを聞いて安心しました。
一日でも長く、モーグルで活躍する上村さんを見ていたいです。
今度こそ、メダルを手にすることが出来ると信じています。

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「リトル・バイ・リトル」島本理生 のご紹介

2007-03-11 15:33:56 | 小説
こんにちは。
今日は風が強いみたいで、外にいると風邪を引いてしまいそうです。
体調に気をつけましょう。
さて、今回ご紹介するのは、「リトル・バイ・リトル」(著:島本理生)です。
この本は装丁が印象的で、子供の女の子が何か食べているのを写真で撮って、それをそのまま装丁にした感じです。
食べているのはゼリーとかでしょうか?
水晶のようにも見えますが、なかなかわかりません。
写真はカメラ目線でなくて、自然な感じがして良いと思います。


主人公は「ふみ」という高校を卒業して間もない子です。
ふみには「ユウちゃん」という父親違いの妹がいます。
二人の母親は整骨院で働いている人で、院長の夜逃げで職を失ってしまいます。
それがきっかけで、ふみは英会話教室の宣伝用ティッシュ配りのバイトを始めます。
ふみと、ふみを取り巻く人々とのふれあいを描いた小説のようです。
純文学という言葉がピッタリなのではと思います。


ふみと、キックボクシングをしている「市倉君」という男の子が出会う場面があるのですが、これは展開が読めました。
母親が別の整骨院で働き始め、ふみが寝違えて首を痛めたとき、その整骨院に来いというのです。
その何ページか前にこの母親は、お客さんの中にふみの好みそうな男の子がいると言っていました。
で、すぐにこの展開です。
でも変に話をひねるより、この展開の方がリトル・バイ・リトルの世界感に合っているのかも知れません。


リトル・バイ・リトルで描いているのは本当に平凡な日常です。
でもその平凡さが読んでいてとても居心地良く感じます。
母親が二度目の離婚をしたりと、意外と重い題材も含まれているのですが、それを全く感じさせない平和な空気が満ちています。
世界観がサザエさんと似ているような気がします。
人と人との平凡な会話を中心にした小説、こういうのも良いのではと思います。


死というのが二度に渡って出てきます。
一度目は飼っていたモルモットの死、二度目は通っている習字教室の奥さんの死です。
それでも暗い影を落とさないのは、この作品の平和な世界観のおかげだと思います。


高校から、借りっぱなしにしている本を返すように催促される場面があります。
これも平凡な日常ですが、僕にもそういう経験があり、懐かしくなりました。
借りパクはいけないことですが、人の日常ではそういうこともあります。
こんな平凡な場面でも、この小説の中だと輝くのが不思議です。


これだけ平和的でゆったりした小説は初めて読みました。
読んでいて心が落ち着く、日常を絵に描いたような小説です。
興味を持たれた方、ぜひ読んでみてください。


※「島本理生さんと芥川賞と直木賞 激闘六番勝負」の記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。

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「インストール」綿矢りさ

2007-03-10 18:33:15 | 小説
今日はかなり気合を入れて記事を書いています。
今回ご紹介するのは、「インストール」(著:綿矢りさ)です。
これは綿矢りささんのデビュー作です。
高校3年生という情緒不安定になりがちな時期を、登校拒否児となった主人公・朝子を通じて描いています。
朝子とマセた小学生の青木君が組んで、風俗チャットで一儲けするという話です。
この小説は不思議な魅力を持っています。
内容のほとんどに共感できるのです。

最初のページにこのような文があります。
「私、毎日みんなと同じ、こんな生活続けてていいのかなあ。みんなと同じ教室で同じ授業受けて、毎日。だってあたしには具体的な夢はないけど野望はあるわけ。きっと有名になるんだ。テレビに出たいわけじゃないけど。」

この文にはハッとしました。
高校生くらいのときは誰でも一度はこういうことを考えると思います。
具体的ではないけど何となく有名になった自分を想像する、そうありたいと願う、現実から目を背けたいという思いです。
僕も17~18歳くらいのときはそう思うことがありました。

この朝子の「嘆き」から始まる最初の6ページは、高校生の考えることを上手く捉えて書いてあり、読んでいて全てのことに納得してしまいます。
また、ものすごくテンポが良くて、面白可笑しく読み進められます。
綿矢さんの天性の才覚の成せる技だと思います。
綿矢さんは京都出身のようで、文章の言いまわしに関東とは一味違った独特な雰囲気を持っています。
文章と文章の間に切れ目がないというのか、とにかくテンポが良いのが特徴です。

高校生の、「沈黙を怖がる」「努力しているのを見せたくない」「ライバルに勉強させたくない」という考えを綿矢さんは的確に捉えています。
この3つ、全部そのとおりだと思います。
とにかく何か話をしていないと不安になる、何でも良いから沈黙から逃れたいという思いは、今の10代、20代なら思い当たる節があるはずです。
努力しているのを見せたくないのは、友達に自分が勉強していないと思わせたいという思いから来るものです。
中学や高校の定期テストのときなどを思い浮かべれば、意味がわかると思います。
ライバルに勉強させたくないというのは、努力しているのを見せたくないのと同じで、とにかく自分の身を守りたいのです。
友達が自分より高いところに行ってしまうのが怖くて、何とか阻止したい、でも友達にそれを悟られたくない、嫌われたくない、という複雑な思いがあります。
結局最終的には何も出来ないのですが…。
こういった思いを的確に見抜く綿矢さんはすごいと思います。
この小説を書いた当時綿矢さんの年齢は17歳です。
たとえ見抜いたとしても、普通は17歳でここまで書くのは無理だと思います。
でもそれができるのが綿矢さんなのだと思います。


青木君が朝子に風俗チャットのバイトを進める場面があるのですが、青木君のマセぶりに驚きました。
まだ12歳の小学生が、テレホンレディや風俗嬢を知っているのです。
青木君はメールを交換している女性がいて、その人の職業が風俗嬢みたいです。
これも今の世の中ならなくはないのではと思いました。
また、朝子と青木君がオンボロコンピュータを使って風俗チャットを始めてからの内容にも光るものがあります。
朝子が始めてお客さんを相手するときの文章がこうなっています。
「客が来たのだ。私は悠然と背筋を伸ばし、気分は博打女郎で、かかってきなさい、楽しませてあげるわ」

いかにも綿矢さんらしい言いまわしだと思います。
読んでいてオオッと思うような文で、次の展開に興味が向きます。
一つの文の中で情景描写と会話口調が一緒になっているのは今まで見たことがなくて、新鮮に感じました。

以下に綿矢さんの上手い言いまわしをご紹介します。
興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。
テンポの良さに時間を忘れて楽しめると思います。


「ぎらぎら煮えたぎって揺れ落ちる地獄の落陽」
「商売人よろしくあぐらをかいて座りなおして」
「沈、黙。」
「桜色の手切れ金達が次々宙を舞い廊下の上を滑る。」
「私に仕事を紹介してくれようとしている小学生の職安員」
「足の爪に塗られた赤いぺディキュアがその中で女泥棒の雰囲気を気取っていた。」
「正気というより、ピンぼけうつろですな。」
「気分は博打女郎で、かかってきなさい、楽しませてあげるわ。」
「小姑というより、もしかしたら、乙女なのかもしれなかった。」


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「共生虫」村上龍

2007-03-10 16:28:27 | 小説
今回ご紹介するのは、「共生虫」(著:村上龍)です。
引きこもりの青年の中にいる「共生虫」という不気味な虫をめぐる話です。
この小説ではあまり会話がありません。
主人公が引きこもりなのでそうなってしまうのだと思います…。
主人公がインターネットで色々調べる場面が目立ちます。
この青年はインターネットを通じて、自分のなかに共生虫という虫がいると知ります。
また、戦争時代に使用された防空壕に興味を持ち、調べに行きます。
主人公は防空壕の中で猛毒を見つけます。
さらに、ネットで知り合った人に殺人をやるから見に来いと言うのです。

この小説を読んだ2004年のころは、内容が現実離れしていると思いました。
引きこもりの青年が猛毒を使って殺人をするなんて、どう考えてもありえないとおもいました。
しかし最近のニュースを見ていると、20歳前後の人の凶悪犯罪が目立ちます。
中でも恐ろしいと思ったのは、娘が実の母親を毒殺しようとした事件です。
しかも毎日毒で弱っていく母親の様子をインターネットで日記にしていたというのです。
まともな神経ではないと思います。

僕はこの毒殺未遂事件と共生虫という小説が重なりました。
小説の世界でしか起きないようなことが現実世界でも起きているという事実に驚愕しました。
どこかの雑誌で、村上龍は時代を先読みすることに長けているとありました。
確かにそうかも知れないと思いました。
僕は現在22歳ですが、同じ年代の凶悪犯罪が多いのは心が痛いです。
中高年世代は何かと「最近の若い者は…」と言いたがりますが、そういう時代にしてしまったのが自分達だということをもう少し考えて欲しいものです。

この小説はクライマックスで主人公が殺人を犯します。
非常に生々しく書かれていて、読んでいて現場が思い浮かぶくらいです。
しかし主人公自身は、殺人を大したことだとは思っていないようです。
これも今の世の中と重なると思います。
小説のラストで主人公が都会の人ごみに消えていくのは、なんとも言えない後味の悪さがあります。

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「優駿」宮本輝 のご紹介

2007-03-10 15:49:12 | 小説
こんにちは。
本日2度目の投稿です。
今回ご紹介するのは、「優駿」(著:宮本輝)です。
この小説はオラシオンという一頭の競走馬を中心とした、競馬の世界を描いたものです。
オラシオンとは希望という意味です。
このオラシオンの誕生、デビュー、日本ダービー出走までの間にいくつもの人間ドラマがあります。
それは必ずしも現実離れしたものではない、実際に起こる可能性があるのではと思わせるものです。
中でも興味を持ったのは、騎手同士の人間ドラマです。
オラシオンがデビューし、活躍するにつれて、皐月賞や日本ダービーといったクラシック3冠への期待が高まります。
クラシック3冠とは「皐月賞」、「日本ダービー」、「菊花賞」という3つのG1レースのことを言います。
牝馬の場合は「桜花賞」、「オークス」、「秋華賞」の3つのG1レースのことです。
これらのレースは一生に一度しか出走するチャンスがありません。
3歳の若き馬たちが、一生に一度の晴れ舞台で栄光の座を争うのです。
オラシオンに乗っている騎手はまだ若く、それほど有名でもありません。
しかしオラシオンという馬と出会ったことによって、彼にはクラシックジョッキーになるチャンスが巡ってきました。
強い馬に乗ったほうが勝つ可能性が高いのは考えるまでもありません。
ディープインパクトの強さが圧倒的だったから、G1を7つも勝つことが出来たのだと思います。
いかに武豊が天才といえども、並みの馬でG1を7つも勝つのは無理でしょう。
これは余談になりましたが…。
話を戻すと、競馬の世界では馬の実力がかなりのウエイトを占めているということです。
騎手が天才でも、馬が弱かったらG1は勝てません。
そしてオラシオンはG1を勝つ実力を秘めた馬です。
このとき、別の騎手が、オラシオンを奪おうと考え始めるのです。
年齢もベテランと呼ばれる領域になり、クラシックジョッキーになるチャンスも残り少ない騎手が、強い馬を横取りしようとするのは現実世界でもあるのではと思います。
この小説では、今まで良くしてくれていた先輩騎手が、急に刺々しい態度になります。
オラシオンの正騎手の座を奪おうとするのです。
彼はまだ日本ダービーを勝ったことがなく、その栄光に心を奪われてしまったのだと思います。
若き騎手は、必死にこの先輩に対抗します。
そしてオラシオンと、皐月賞、日本ダービーを戦っていくのです。
小説のクライマックスは、日本ダービーです。
さまざまな人の思いを背負ったオラシオンが晴れ舞台で走る姿を、みなさんもぜひ読んでみてください。

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「ブッシュ妄言録」のご紹介

2007-03-10 14:46:42 | ノンフィクション・エッセイ
今回ご紹介するのは、「ブッシュ妄言録」です。
この本はとにかく面白いです。
アメリカ合衆国大統領ジョージ・ブッシュの妄言の数々をまとめています。
大統領とは思えないような軽い発言に爆笑すること請け合いです。
こんな人が大統領をやっていて大丈夫なのかと心配になりました。
この本によると、ブッシュはテキサス出身の陽気な男のようです。
とにかく自分と家族のことが大事で、後はどうでも良いようなことを言っていました。
アメリカではブッシュの発言は「ブッシズム」と呼ばれ笑いのネタになっているようです。
日本でも朝のテレビ番組で、ブッシュの発言を取り上げることがありました。
ライス国務長官がいないと何もできない男、それがブッシュの素顔だとか…。
ギャグを交えた笑える解説が読んでいて飽きません。
あまり政治には興味ないけどブッシュのことを知りたいと思う人におススメの一冊です。
ぜひ読んでみてください。

「バガボンド」のご紹介

2007-03-04 17:46:06 | マンガ
本日3度目の記事です。
今日はかなり気合を入れて書いています。
書きたいと思った時に書くのが、ブログを続けるコツなのかも知れませんね。

さて、今回ご紹介するのは「バガボンド」です。モーニングという雑誌で連載されています。現在は第二部に入ってますます面白さを増しています。
前回ご紹介した「るろうに剣心」と同じく、「バガボンド」も歴史物の漫画です。違うのは時代背景で、「るろうに剣心」が明治初期だったのに対し、こちらは関が原の合戦が終わった後の時代が舞台になっています。
主人公は宮本武蔵です。僕が武蔵について知っているのは、巌流島で佐々木小次郎を倒したことくらいでした。しかしこの漫画を読んだら、そこにたどり着くまでに数々の強敵との修羅場があったのだと知りました。
第一部での山場は、吉岡道場編と宝蔵院編、柳生編です。
兄・吉岡清十郎、弟・吉岡伝七郎がいる吉岡道場は京都屈指の道場です。
また、宝蔵院は槍術を使う修行僧が集う場所です。そこの二代目・胤舜(いんしゅん)と武蔵が戦います。
吉岡道場との戦いは第二部の方が凄まじいかと思います。この第一部では吉岡伝七郎と戦い引き分けに終わりました。
宝蔵院では胤舜と戦い、武蔵は初めて敗北し挫折を味わいました。僕は今まで宝蔵院胤舜という存在を知らなかったので、その圧倒的強さに驚きました。今まで強いと思っていた武蔵がそれほど強くないのでは?と感じたりもしました。しかしこの戦いで武蔵は大きく成長することになり、その後の戦いに期待が持てました。
柳生編で武蔵は柳生石舟斎と対峙します。しかし武蔵はその存在の偉大さに気づき、戦うことはしませんでした。この辺りから武蔵は真の強さに目覚めて行くのだと思います。徐々に巌流島で小次郎を倒す武蔵に近づいているのでしょうか。
この柳生編では、石舟斎の名言「石の舟はついに浮かばず」が登場します。この場面は結構好きです。

第二部は吉岡道場との壮絶な戦いが繰り広げられます。強くなった武蔵は兄・清十郎、弟・伝七郎を相次いで撃破し、京都中にその名を轟かせます。しかし残りの吉岡一門全員が武蔵の命を狙い、1対70での戦いに発展しようとしています。現在は休載中で、早く再開してほしい限りです。
宮本武蔵に興味のある方はぜひ読んでみて下さい。
それでは、これでご紹介を終わりにします。

「るろうに剣心」のご紹介

2007-03-04 16:59:10 | マンガ
こんにちは。今日はモブログに初挑戦してみました。
1度目は失敗に終わりました…。
ブログの個人情報の所に携帯のアドレスを登録しておかないとうまく転送されないみたいですね。2度目はうまくいったので、これでモブログができるようになりました。これから活用していこうと思います。

さて、今回ご紹介するのは、「るろうに剣心」という漫画です。
数年前に週刊少年ジャンプで連載されていました。
物語の舞台は明治の初めです。
主人公の緋村剣心は、幕末時代に「人斬り抜刀斎」と呼ばれた伝説の剣客で、左ほほに十字傷を持ち、腰には「逆刃刀」を帯びています。幕末時代に多くの人を斬ったことへの戒めで、人を切れない逆刃刀を持ち、二度と人を斬らないことを心に誓っています。飛天御剣流という古流剣術を使い、幕末の動乱を維新志士側の勝利に導きました。
登場するライバル達も強力で、隠密御庭番衆の御頭・篠森蒼紫(しのもりあおし)や新撰組三番隊組長・斉藤一(さいとうはじめ)、剣心と同じ幕末時代の人斬り・志久雄真実(ししおまこと)など、数々の強敵達と戦います。
僕が好きなのは斉藤一との戦いです。コミックス7巻で斉藤一が登場します。
牙突(正式名称は左片手一本突き)という技を得意とし、剣心の前に立ちはだかります。実践の殺し合いにおいて同じ敵に二度巡りあう事は極端に少ない。そのため相手を確実に仕留める一撃さえもてばそれ以外の小技は全く無用となる。己れの得意技を徹底的に磨き上げ絶対の必殺技にまで昇華させる。新撰組の真の強さは集団戦法ではなく実はここにあったこの解説カッコ良すぎです!
また、戦いの中で剣心が「人斬り抜刀斎」に戻ることがあります。そうなると一気に強さが上がり、伝説の人斬りが姿を現します。物語の中で唯一この人斬り抜刀斎と互角に渡り合えたのが斉藤一です。
この後、志久雄真編が始まります。ジャンプ誌上で2年以上続いた長い戦いです。人斬りの後輩にあたる志久雄真実との対決は、壮大なスケールで描かれています。
大久保利通暗殺から始まる日本の行く末を左右する戦いです。これは説明するにはかなり長いので、実際に読んで頂ければと思います。

今回はかなり熱く語ってしまいました
幕末や明治初期を舞台にした漫画でこれほど面白いものは滅多にないと思います。歴史物の苦手な方でも楽しめる漫画なのがポイントですね。
それでは、これでご紹介を終わります。