「ジェネシャリスト宣言」岩田健太郎著(中外医学社)を読んだ。ジェネシャリストGenecialistは岩田先生の造語で、ジェネラリスト(いろいろな呼び名があるが、たとえば総合内科)とスペシャリスト(臓器・分野ごとの専門医)のハイブリッドだそうだ。ジェネラリストかスペシャリストかという二元論ではなく、両者を兼ね備えた存在になる必要があるという主張だ。
内科全般についての広い領域をカバーした上で(ジェネラリスト)、たとえば循環器専門医や呼吸器専門医や消化器専門医などの専門を持つ(スペシャリスト)ということだ。これが医学界新聞に掲載された時や、感染症の学会で岩田先生のジェネシャリストについての講演を聴いた時は、なるほどそれが正しい在り方だと納得したものだ。
ただその時と状況が変わり、すでに内科専門医制度が始まっている。内科専門医がジェネラリストの研修に、その次には二階建ての臓器・分野別の研修(循環器・呼吸器・消化器など)がスペシャリストの研修に、自動的になる。実際、岩田先生も3年間の内科専門医制度には(内容はともかく)賛成している。そうなると、スペシャリストになった後もジェネラリストとしての勉強を継続するべきだということだけが、岩田先生の主張になる。
最近はジェネラリストとスペシャリストの境界がかぶってきている。さらにはスペシャリストの中でも、ジェネラルなスペシャリストと、その中でさらに専門に特化したスペシャリストに分かれている。たとえば循環器だと、ジェネラルな循環器専門医と、その中でもさらに専門的なカテーテルアブレーションを行う不整脈専門医がいる。
どこまでも専門に分かれて行っても、基本である内科専門医としての診療もきちんとできれば、問題ないのだろう。
今日は誤嚥性肺炎を再発した88歳男性が急変して、午前3時半に病院に行った。結局病状は改善せず、午前10時過ぎに亡くなった。もう一人の患者さんも意識がなくなってしまい、1日もつかどうかという状態になっていたが、前から病状悪化時はDNRの方針になっていたので、日当直医にお願いすることにした。