なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

中葉症候群

2019年03月19日 | Weblog

 昨日通院している87歳女性が発熱と咳・痰の増加で予約外に受診した。何度か右中葉に肺炎を繰り返しているので、さっそく胸部X線を撮影すると、いつもの中葉に浸潤影があり、炎症反応も上昇していた。

 昨年も数回肺炎になったが、外来治療を希望して、経口抗菌薬で何度か治っていた。今回も入院を勧めたが、食欲があるので外来治療を希望した。2~3日みて良くなければ入院と言っておいたが、今日の昼にやっぱり入院すると連絡が来て、午後から入院にした。

 ふだんはケアハウスに入所しているが、今日は遠方に住んでいる娘夫婦が連れてきた。酸素吸入も必要ないので、年齢にしては若く見える患者さんが澄ました顔で病棟に上がってきた。

 中葉(と下葉)の気管支が拡張して、喀痰培養では誤嚥性肺炎のパターンのmultimicrobialな喀痰がとれる。普段は特に誤嚥するような様子はないが、機序としてはそうなのかもしれない。一度地域の基幹病院呼吸器内科に紹介したが、誤嚥による中葉症候群でしょうといわれた。

 喀痰培養では最近ずっと有意菌としてはMRSAが検出される。定着菌として、それは無視してABPC/SBTで治療すると治っていた。ただ気管支拡張があるとブドウ球菌肺炎もありうる。今回もABPC/SBTで治療を開始するが、MRSAも考慮しておく。

 この患者さんは膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)で専門病院に定期的に通院していたが、高齢になって当院のフォローになった。自己免疫性血小板減少性紫斑病もあり、リウマチ性多発筋痛症にもなり、糖尿病もありと、なかなか勉強になる方なのだった。

 

 

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