肺癌・多発性骨転移で転院してきた64歳男性は、突出痛でレスキュー内服が頻回だった。もともと紹介先の専門病院でオキシコンチン150mg/日まで増量となり、せん妄が出現したため50mg/日まで減量しての転院だった。
食事摂取が進まず、いつまで多種類の内服ができるかわからないので、少しずつフェントステープに切り替えいった。フェントステープ6mg/日まで増量して、疼痛時にオキノームを内服していた。
末梢からの点滴が困難となり、CVカテーテルを挿入したので、点滴治療は容易になっていた。塩酸モルヒネの持続点滴にして、疼痛時は時間量のフラッシュと定期量の漸増で対応することにした。
実際の痛みもあるが、精神的な問題でやるせない感じがして訴えが多くなると判断された。鎮静剤としてドルミカムを投与して、少しでも穏やかに過ごせるように調整することにした。
癌終末期でも、ドルミカム持続点滴はそうめったに行わないので、最後に行ったのはいつだったか忘れたくらいに久しぶりだ。緩和ケアの大津秀一先生流の使い方で、予後が相当短い時に行う治療になる。
転院後、家族はあまり来院していないようだ。金銭問題で家族にかなり迷惑をかけていたようで、これ以上この人にお金をかけられないということだった。