61歳男性が頭痛で神経内科外来を受診した。4日前の仕事終わりからの頭痛だった。意識は清明で、普通に歩いて受診している。
緊張型頭痛だろうと思ったそうだが(正直に診療情報提供書に記載していた)、頭部画像でくも膜下出血を認めた。早速地域の基幹病院脳神経外科に搬送となった。
頭部CTで飛び飛びに出血像を認めて、雰囲気だけで言っているが、「新鮮ではない感じ」・「ちょっと経過した感じ」がする。診断にはCTだけでいいと思うが、わざわざMRIで確認したのはちょっと迷ったのだろうか。
今日はその病院の消化器内科から69歳男性が転院してきた。2~3年前から認知症で精神科病院に通院していた。すぐに怒り出していたそうだ。毎日何回も同じところを散歩していた(常同的周遊)。奥さんと買い物にいくと、商品を他人の買い物かごに入れたりしていた。
奥さんが癌の手術をすることになり、今年の1月に通院していた精神科病院が入院させてくれた。入院中に吐血があり、消化器内科に搬送された。胃潰瘍の露出血管からの出血で、内視鏡的止血が施行された。その部位(Ⅲ+ⅡC)と別の部位の2か所に胃癌を認めた。患者さんの状態から、手術はできないと判断されていた。
また嚥下訓練で経口摂取は難しいと判断されて、家族と相談の結果、胃瘻造設が行われた。ちょうど1週間前の処置で、胃瘻造設の時の縫合糸が残っていて、こちらで抜糸して下さいと記載されていた。
入院中に脳神経内科で検査していて、前頭側頭型認知症と診断された。奥さんは精神科病院でもピック病と言われていましたという。意見が一致したことになる。
当院で経管栄養を継続してしばらく経過をみる、奥さんは在宅で頑張るというが、施設申し込みもしてもらうことにした。胃癌の進行は仕方ないが、再度消化管出血を来す可能性があり、その場合は当院でできる範囲で対応するしかないだろう。