なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

リウマチ性多発筋痛症

2019年04月08日 | Weblog

 内科外来(再来)を診ていると、市内のクリニックの先生(医師会長)から電話がきた。1か月前から発熱(微熱)が続く65歳女性を紹介したいという。貧血が進んでいるというのが気になった。

 1時間ほどで来院して、患者さんは普通に診察室に入ってきた。発熱以外に症状のない不明熱だと診断が難しいと思ったが、そうではなかった。1か月前にかぜ症状(微熱+上気道症状)があり、その後から両下肢痛が出現した。両肩と両上腕も痛くなった。発熱は、平熱が35℃台だそうで、36.8~37.5℃の微熱だった。2~3日で症状が完成しているようだ。

 蹲踞した姿勢からの立ち上がりがひどく、あまりやりたくない様子だったが、両手を持ってやってもらった。たしかにひどそうだ。両肩・両上腕・両大腿の把握痛があった。両下腿も痛いと言っていたが、把握痛ははっきりしない。頭痛はないといい、側頭動脈を触診しても異常はなかった。

 これはリウマチ性多発筋痛症のようだ。検査では白血球数12700・CRP14.1・血沈(ぴったり)100mm/時と炎症反応が上昇していた。CKは正常域というより低下していた。血小板数60万で、Hb8.8g/dl・血清鉄低下(6)・血清フェリチン増加(323)と炎症を反映している。

 夫と建築店(家の内装業)を営んでいて、重いものを運んでいたが、つらくてできなくなったという。外来治療でもいいが、安静の保てる入院治療を希望された。

 想定外だったのは、HbA1c6.9%と軽度の糖尿病があったことだった。家族歴がないそうで、追加で検査した腫瘍マーカーは正常域でCTでも膵腫瘍はなかった。抗CCP抗体・抗核抗体の外注検査を提出して、血液培養2セットと心エコーを鑑別のために行った。

 炎症が強い方と判断して、プレドニン15mg/日で治療を開始した。糖尿病薬はDPP4阻害薬を開始して、あとは血糖測定を行って追加することにした(けっこうなステロイド糖尿病が加わるはず)。

 

 朝方に87歳男性が救急搬入された。食べられない・動けない・意識が低下している、ということだった。地域の基幹病院呼吸器内科を退院したばかりだった。救急隊が搬入要請したところ、ちょうどCPAが搬入されたところで受け入れできず、当院に搬入された。

 当直医(外科医)が検査をしたが、もともとのCOPDはあるが、肺炎の併発もなく、酸素飽和度も正常域だった。検査が終わるころには月曜日の診療が始まる時間になっていた。当直医が呼吸器内科に連絡したところ、入院した時の主治医ではなく一番上の先生が出たそうだ。当直医から連絡がきて、当方に連絡して診てもらうように、という指示を受けましたという。

 点滴を開始してからは、意識が回復してきていた。老衰気味で、脱水症も加わったということらしい。長男夫婦と同居しているが、あまり熱心に介護していないのもあるようだ(施設に預けるつもりだった)。点滴して嚥下訓練を行って経過をみるしかないが、それでも経口摂取できない時のことを家族で相談してもらうことにした。

 確かにこれは当院向き、当方向きの症例だった。先方の呼吸器科の先生の顔と、(いつもの)「先生の方で診てよ~」という声が聞こえる気がした。

 

 

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