なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肝性脳症の悪化

2019年04月26日 | Weblog

 一昨日アルコール性肝硬変の54歳男性が、山間の町の診療所から肝性脳症の悪化で救急搬送された。当直の外科医が対応して、血清アンモニア高値(195μmol/L、正常値は<75)を認めて、肝性脳症の悪化で入院にした。

 肝不全用アミノ酸輸液製剤(アミノレバンのジェネリク)が1回入って、翌日にはほとんど普通(患者さんとしては)に戻っていた。肝機能検査をみると、γ-GTPは正常域で患者さんの言う通り飲酒はしていないようだ。感染症の併発もない。増悪した原因がわからなかった。

 今年の1月に自宅で動けなくなっているところを知人が発見して、救急要請した。県境の町で、他県の総合病院(自治体病院の併合でできた大病院)に救急搬送された。

 患者さんは母親と二人暮らしで、急遽呼ばれた姉が、入院は県内の病院を希望したので、当地域の基幹病院消化器内科に転送された。もともとアルコールん多飲があるが、仕事がうまくいかなり、自宅にこもって飲酒を続いていた。アルコール性肝硬変からの肝性脳症が一気に悪化した。肺炎の併発や低ナトリウム血症(111だった)もあり、危険な状態だったが、何とか救命された。

 約1か月の入院で、すっかり筋力低下して、アルコール性神経障害(感覚障害)もあって歩行できなかったので、2月にリハビリ目的で当院に転院してきた。約40日の入院で自力歩行可能となって退院した。退院後の通院は、自力で通院できる地元の診療所に依頼した。

 4月初めに診療所を受診しているが、退院時には処方になかった(当院転院時点でもなかった)利尿薬が2剤追加されていた。今回確かにわずかに下肢浮腫があるが、その時はもっと目立ったのだろうか。末梢血や血清蛋白の値からは、血液濃縮を来していると判断される。おそらく利尿薬処方が肝性脳症悪化の原因になったのだろう。薬の残薬が合わないこともあったので、分岐鎖アミノ酸製剤(リーバクト)をきちんと続けていなかったことも可能性としてはあるが(ずっとやめていたわけではない)。

 前回の入院よりは短い入院で済むと見込まれる。連休中に何度か、肝機能検査と血清アンモニア値を測定して経過をみることにした。連休中は日直で2回出て、内科当番が4回あるので、飛び飛びには病院に出てくる予定だ。

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする