泌尿器科外来に週2日来ている泌尿器科医は不眠症があった。
別の県の病院に勤務していたが、60歳定年の病院だった。当院に移って65歳定年まで勤務したが、その後は非常勤医として勤務して、地元の施設の嘱託医もしている。
以前からブロチゾラムを半錠か1錠使用していた。その後、新規に出たデエビゴ(レンボレキサント)5mgを飲んで、それで眠れない時にブロチゾラムを追加しているそうだ。
日中の眠気と、夜間のいびきとおそらく呼吸停止があり、自分で睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑った。耳鼻咽喉科医に相談して、検査を受けた結果、SASと診断された。
持続陽圧呼吸(CPAP)を開始して、日中の眠気などは改善した。それでも午前2時ごろに中途覚醒して、その後眠れないという。
どうしたらいいかと訊かれたが、不眠症を専門にしているわけでもない。不眠症の本を読んでその通りにしているだけなので、不眠症の本をお勧めして直接読んでもらうことにした。
「外来・病棟で役立つ! 不眠症診療ミニマムエッセンス」井上真一郎著(中外医学社)を紹介した。
簡単に言えば、ベンゾジアゼピン受容体作動薬から、オレキシン受容体拮抗薬(デエビゴ、ベルソムラ)や鎮静系抗うつ薬(レスリン/デジレル)に切り替えましょうということになる。デエビゴ増量(5mg→10mg)かデジレル(25mg1錠から)はいかがでしょうかと伝えた。
泌尿器科医に、この本を1週間貸してくれ、と言われてお貸しした。