8月9日の当直の時、左下肢痛を訴える100歳女性が救急搬入された。4年前に当院の整形外科で左大腿骨骨幹部骨折の手術を受けている。(その後整形外科医は不在となり、また今年4月から再開)
それまでは杖歩行はなんとかできていたそうだが、4日前から左下肢痛で歩行できなくなった。日中に整形外科を受診してもらうのがいいが、その日に思い立ったのだろう。
左股関節部と左膝が痛い、という訴えだった。転倒したというエピソードはない。明らかな圧痛はなかった。骨盤・大腿骨近位・膝関節のX線を行ったが、明らかな骨折はないようだ。
高血圧症で治療しているが、血圧が90~118で低めになっていた。ジクロフェナク座薬を使いにくいので、アセリオ注を入れると、症状が少し軽快した。自分で左膝を曲げ伸ばししていた。
起き上がれるかというと(体重が多いのもあり)体動困難で、家族は連れて帰るのは大変という。外来のベットで朝まで待機してもらって、整形外科外来受診とした。
朝医局にいた整形外科医に事情をお話した。X線を見て、髄内釘の遠位部に損傷(ヒビ)があるといわれたが、それによる症状ではない。
外来で精査します、ということだった。腰椎と骨盤~大腿部のMRI検査が行われた。第3腰椎に新鮮な圧迫骨折があり、L3/4・L4/5・L5/S1の脊柱管狭窄がある、と診断された。
左下肢痛はL3の神経根痛と判断された。あくまで短期間の入院になります、と家族に説明されて、整形外科で入院になった。(動きが悪いと、ずっと病院に置いて下さいとなる)
以前の整形外科医は四肢の外傷が得意だったが、脊椎の手術はしていなかった。今回来られた整形外科医は脊椎外科を専門としている。