なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

Cameron lesion

2018年04月06日 | Weblog

 体調不良でしばらく休んだ後に、午前中外来診療だけしていた消化器科の先生がフルタイム勤務に戻った。救急業務はしない条件で、入院患者さんも少しだけ診はじめた。

 昨日消化器科に2名入院したので、どんな患者さんか訊いてみた。ひとりは80歳女性で心窩部痛で受診した。肝機能障害があり、血清アミラーゼも軽度から中等度に上昇している。総胆管結石は指摘できず、明らかな胆道系の拡張はない。総胆管結石が一時的に末端に陥頓して、うまく自然排した後ではないかという。

 今日MRCPで確認することになっていたが、昨夜から腹痛が増強していた。時間を早めて行ったMRCPでも総胆管結石は指摘できない。しかし肝機能がさらに悪化して総ビリルビンも4.4まで上昇している。血清アミラーゼも昨日より上昇していた。排石した後だけとはいえなくなってきた。ちょうど今日は消化器病センターのある病院から外来応援に来てもらっていたので、相談してそちらの病院に転送になった。胆道ドレナージをおく処置になるのではという。

 

 もうひとりは消化管出血による小球性貧血の84歳女性だった。上部消化管内視鏡検査でバレット食道(LSBE)があり、悪性を疑う潰瘍性病変を認めていた。生検して結果待ち(食道腺癌疑い)だという。また重度の食道裂孔ヘルニアがあり、ヘルニア門内に胃潰瘍(周囲に再生上皮があり良性)があった。

 なんでも食道裂孔ヘルニアの横隔膜貫通部の胃潰瘍は、Cameron lesionというそうだ。胃酸だけではなくて、血流の問題があるらしい。どちらの潰瘍も潰瘍底に黒色の点状出血があるが、露出血管はなく、慢性の出血が続いていたと判断される。受診時の貧血はHb4,9g/dl(MCV59)で、輸血をした後は鉄剤投与で経過をみていた。

 消化器科の先生には、無理はしないで、ぼちぼちやっていくよう勧めた。

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