なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

90歳台後半の女性

2012年04月13日 | Weblog

 90歳台後半の女性。昨日地元の診療所から呼吸困難で連絡があり、救急搬入された。1年前に間質性肺炎の急性増悪で入院していた。ステロイドパルス療法からプレドニン漸減して軽快退院していた。地元の診療所にプレドニン漸減を依頼していたが、きちんと診てくれていた。今回は2回目の急性増悪で、前回ほど治療に反応しない可能性が高い。しかし入院するなり、腹へったと食事を要求する。腹へったという高齢者は助かるの原則はあるが、どうだろうか。またステロイドパルス療法を開始した。

 90歳台後半の女性。今日息切れを訴えて、内科新患を受診した。本人の話では1か月前から息切れがあるという。家族に症状を伝えたのは一昨日だった。浮腫もなく、酸素飽和度は97%(室内気)で本当に息切れがあるのが疑問に思ったが、呼気にわずかな喘鳴があった。胸部X線で心拡大と胸水貯留があり、心不全だった。心電図で胸部誘導のV3-6にST上昇がある。半年前の昨年10月に左大腿骨頸部骨折で整形外科に入院して人工関節置換術を受けていた。その時の心電図を出してみると同じST上昇があった。これはなんだろう。循環器科に心エコー検査を依頼すると、心尖部の動きが悪く、たこつぼ心筋症ではないかという。大腿骨頸部骨折がストレスになった可能性があるそうだ。採血では炎症反応は陰性で、BNPが740と上昇していた。心不全として循環器科で入院になった。よろしくお願いします。

 80歳台初めの男性。糖尿病と高血圧症で当院に通院していたが、一昨年当院の内科主治医の退職に伴い、市内の内科クリニックへ紹介された。昨年の秋から下肢の浮腫があり、利尿剤を投与されていたが、改善しないため、当院を受診した。低蛋白血症と大量(25g/日相当)の尿蛋白が出ていて、ネフローゼだった。一昨年は尿蛋白陰性で、BUN・血清クレアチニンは正常上限だが、一昨年と同じ値だった。比較的急に症状と尿蛋白が出ており、糖尿病腎症はあるのだろうが、原発性糸球体疾患によるネフローゼの併発が疑われた。腎生検のできる専門病院へ紹介して今日外来受診の予約をとっていたが、受診して入院したという報告がFAXで来ていた。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

聞いた話ですが

2012年04月12日 | Weblog

 昨夜の当直看護師長が内科病棟の師長だった。当直明けで帰る前に病棟に来て、昨夜の救急患者さんのことを話してくれた。心肺停止が2名あったそうだ。  朝当直帯が終わる直前に来たのは80歳台後半の女性で、当院の腎臓内科外来に高血圧症と軽度の腎障害で通院していた。朝家族が気づいて救急要請したもので、実際は夜間に死亡していたらしい。胸部X線を画面で見ると、心不全だった。急性心筋梗塞が発症したのかもしれない。  昨夜運ばれて来た40歳台半ばの男性は浴槽内で溺死していたそうだ。脊髄小脳変性症で基幹病院の神経内科に通院していた。運動失調で身体の動きが悪く、ふだんでも入浴に1時間はかかるので、家族が気づくのが遅れた。気管挿管したら、血性泡沫状の喀痰が大量に引けたのだという。治療に反応なく死亡確認された。名前に聞き覚えがあったので、カルテを確認したら5~6年前に糖尿病で内科に通院していた。HbA1c14%から治療を開始して、アマリール0.5mg/日で5.8%まで改善したが、そこで中断になっていた。治療をやめたわけではなく、神経疾患で通院していた病院から糖尿病の治療も合わせて受けていた。今回低血糖で意識消失したわけではなかった。死亡確認後に警察の検死となった。  また、夫婦喧嘩をして、腹いせで?手首を切った妻が受診したが、幸い動脈は切れていなかったそうだ。当直は血管外科医だった。以前この先生が当直の時に、若い女性がリストカットして受診した。橈骨動脈が切れていて、それも何度もきたなく切ったために吻合は困難だった。尺骨動脈からの血流を確認して、橈骨動脈を結紮したそうだ。午前中この先生が放心した様子で医局ラウンジにすわっていた。ほんとにお疲れ様です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

腹へった

2012年04月11日 | Weblog
 80歳台後半の女性。ほとんど寝たきりで、腰曲りがひどく、くの字になっている。認知症があり、在宅で介護していたが、浅い褥瘡が数か所にできている。発熱と意識障害で救急搬入された。右下肺野の浸潤影を認め、また尿の混濁が著しい。尿培養と血液培養2セット提出後に(喀痰培養はとれず)、肺炎および尿路感染症の診断で入院となった。入院してすぐに、「腹へった。食事はないのか。」と言う。経験上、腹へったという高齢者は助かるという法則があり、この方も軽快すると思われた。
 
 昨日はネキシウムの講演会があった。食道裂孔ヘルニアがひどく、胸腔内に持ち上がっている胃上部内に潰瘍が多発した80歳台前半の女性にネキシウムを処方している。この患者さんは内科クリニックで逆流性食道炎としてPPI(タケプロン15mg)が処方されていたが、それでも胃潰瘍が発生していた(NSAIDの内服はなし)。ネキシウムを使用したピロリ菌の除菌も、正式なデータは出ていないが成績がよいらしい。9月に長期処方が可能になれば、PPIはネキシウム一色か。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

体重減少?

2012年04月10日 | Weblog
 70歳台前半の男性。もともと軽い脳性麻痺があり、現在は施設に入所している。5kgの体重減少があり、施設の嘱託医から精査依頼で内科新患を受診した。いつからと聞くと1年前からという。食欲はあり、特に自覚症状はない。
 外来でひととおりの検査を行った。胸部X線・心電図・腫瘍マーカーを含む血液検査・腹部エコー・胸腹部造影CTを行ったが、異常はなかった。内視鏡検査は希望せず、というよりイヤだと拒否され、あえて行うこともないと思われた。病的な体重減少ではなくて、自然経過なのではないか。
 異常なしという診断はかえって難しい。時間経過とともに明らかになることもあるからだ。それでも今回は大丈夫だろうと思われたので、症状が進行するか新たな症状が加わった時にまた来てもらうことにした。

 研修医当直御法度の第5版をアマゾンで購入した。第2版から買っていて、3版・4版と買ってきた。第3版は寺沢秀一先生にサインしてもらった永久保存版だ。さっそく通読開始。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

腸球菌か

2012年04月09日 | Weblog
 80歳後半の女性。土曜日の日中いったん解熱したかにみえたが、日曜日にはまた37℃台後半の発熱があった。今日血液と尿検査を出していたが、改善していなかった。尿培養で腸球菌Enterococcus faeciumが検出された。感受性のある抗菌薬はバンコマイシンン、テイコプラニン、リネゾリドだけ。さっそく抗生剤をバンコマイシンに変更した。高齢なので0.5gを1日2回12時間おきとした。当院でEnterococcus faeciumは珍しい。

 80歳台前半の女性。3年前に内科開業医から当院に胸部CT検査の依頼があり、両側肺に気腫性変化を認める(肺気腫)と放射線科医のレポートが出ていた。喫煙歴はない。夫が20年前まで喫煙していた。労作時に息切れと喘鳴があったそうだ。当院の神経内科でアルツハイマー型老年期認知症の処方を受けていた。
 今回は肺炎と喘息症状で入院して、肺炎は治った。肺炎球菌肺炎だった。しかし喘息症状が軽快と悪化を繰り返して、なかなか治らない。かろうじて吸入ステロイドは使える。ステロイドを漸減するとすぐ悪くなる。胸部X線で新たな肺炎はなかった。再度抗生剤も使用したが、感染の影響ははっきりしない。週末調子が悪く、ステロイド中等量から漸減としていたが、昨日悪化して必要時指示のステロイド点滴静注が追加になっていた。認知症の症状も喘息症状の悪化によって悪化する。精神的に不安定で、日中付き添っていた夫が帰宅した後や病室の隣のベットにいる患者さんのことで興奮すると、喘息症状が悪化する。安定剤を少量処方に入れている。気管支拡張剤を重ねて使用しながら、短期間のステロイドの比較的大量投与からゆっくりと漸減するしかないが、どこまで持ちこたえられるかわかなくなってきた。

 私は当番ではなかったが、この週末には高齢者の誤嚥性肺炎や脳梗塞が入院していた。脳梗塞のうちの1名は心房細動があり、心腔内血栓が飛んだもので(心原性脳塞栓)、中大脳動脈領域に大小3か所の梗塞をきたしていた。日曜日には出血性胃潰瘍の高齢者が救急搬入されて、消化器科医が内視鏡的止血術をしていた。私が外来で診ている結腸癌肝転移の患者さんも腰椎圧迫骨折で外科に入院していた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

土日休み

2012年04月07日 | Weblog
 この土日は当番もなく2日間休める。病院に電話して、尿路感染症で発熱した80歳台後半の女性の体温を聞く。解熱していたので、指示の抗生剤を継続とした。月曜日には尿培養の結果も出るだろう。
 書店に医学書を見に行った。山中克郎先生の「攻める問診」が出ていたので購入した。羊土社の診断の本は執筆者多数だったが、この本は山中先生が若い先生といっしょに多くの項目を書いているので理解しやすそうだ。著者が少ない方が良い本ができる。昨日春日武彦先生の「はじめての精神科」を読み終わった。インターネットで自治医科大学図書館にアクセスして、春日先生の講演をまた見た。
 今日は「日々是よろずER診療」の残りを読んだ(5回目)。あまり内容を覚えていないものだ。その後、滝澤始先生の「喘息治療薬の考え方、使い方」を読み始めた(2回目)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

うちに来ても

2012年04月06日 | Weblog
 60歳台前半の男性。患者さんの住んでいる町の診療所からの外来受診依頼がFAXで来ていた。紫斑と関節痛と発熱が数日続いて、その診療所を受診していた。そこは血液検査は外注ですぐに結果が出ないため、検査なしで紹介したいという。
 アレルギー性紫斑病くらいしか思いつかなかったが、年齢的にどうなのか。極端な貧血はないのだろうが、血小板数など末梢血の結果がないと何ともいえない。腎機能障害はあるのか。診断できる自信はない。
 当院の一般内科は私だけなので、私がわからなければ、来てもらっても結局他の病院の専門科に紹介するしかない。診療所から直接血液科のある病院へ紹介してもらうことにした。

 80歳台後半の男性。原因不明の右胸水で、当院の循環器科(当院に呼吸器科はない)や、当地基幹病院の呼吸器科に入院歴がある。私は循環器科からの依頼で糖尿病を外来で診ていた。今日の昼前から、突然頭痛と嘔吐が出現した。構語障害と右不全片麻痺もあったが、救急車ではなくて家族がふたりがかりで車に乗せて連れてきた。外来看護師から連絡が来たが、発症の仕方と症状から梗塞ではなくて出血と予想された。血圧が210/100と高い。頭部CTで左視床出血があり、脳室に穿破していた。脳外科に紹介して入院になったが、脳外科医は助からないだろう家族に説明していた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

また肺炎ですか

2012年04月05日 | Weblog
 60歳台後半の男性。2月に肺炎と偽痛風で入院して、治癒退院した。肺炎の陰影の一部が腫瘤様に見え、大学から呼吸器科として来てもらっている先生に相談した。浸潤影でよいと思われるが、心配なら1か月以上間をあけて胸部CTを撮り直してみてはというコメントをいただいた。それで退院した患者さんに先週来てもらったが、1週間前から発熱と咳が続いているという。フォローで予約していた胸部CTを見ると、前回の左肺炎の陰影はほとんどなくなり、右肺に新たな浸潤影ができていた。
 ふだんは同年齢の人と比べても元気な人なので、そんなに肺炎を繰り返すとは思えなかった。相談していた先生にまた画像を見てもらうと、誤嚥しやすい人ですがと聞かれた。いやいや、嚥下障害があるような人ではありません。まだまだ若い人たちと社会的な活動もしています。
 入院するほどではないので、外来で抗生剤を投与して、1週間後の今日外来に来たが、ほとんど治っていた。もう少し抗生剤を追加して、飲みきり中止とした。入院した時の喀痰培養でインフルエンザ桿菌が検出され、尿中肺炎球菌抗原は陰性だった。今回は喀痰が出ないので培養はできなかった。
 1か月後にまた来てもらって、特に問題なければ、肺炎球菌ワクチンをする予定とした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

戻された

2012年04月04日 | Weblog
 70歳台半ばの女性。一昨年に内科開業医から紹介され、アルコール性肝硬変・肝性脳症と診断された。外来通院していたが、今朝から反応が鈍くなり、食事もとれず、しゃべらなくなったと家族が連れてきた。常に血中アンモニア値が高いが、ふだんとそれほど変わらない。脳血管障害が疑われて、頭部CTを行ったら慢性硬膜下血腫があった。今日明日と当院の脳外科医が不在だった。脳外科医のいる病院へ紹介したが、保存的に経過をみてよいとのことで、当院に戻された。内科入院で点滴して、明後日脳外科医に相談することにした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

胸が痛い

2012年04月03日 | Weblog
 80歳台前半の女性。4か月前(11月)から寒気がするという。また10日前から右胸部が痛くなり、地元の診療所から紹介されて当院内科新患を受診した。起き上がったり、深呼吸をすると痛い。右第5肋骨上に圧痛があった。胸部X線でわかりくにいので、胸部CTを骨条件で撮って、三次元構成をしてもらった。明らかに肋骨骨折があった。打撲した憶えはないそうだが、腫瘍の骨転移ではなくてポッキリときれいに折れていて、外傷性に違いない。整形外科の外来に行って画像をみてもらったが、NSAIDで経過をみてよいと言われた。採血では異常がなく、発熱もないので、寒気というのがよくわからない。住んでいるのが山間の寒い地域であり、実際に寒さを感じているだけではないか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする