なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

双極性障害でした

2018年04月20日 | Weblog

 精神医療センターにうつ病で通院している67歳女性が、3月初めに興奮状態で救急搬入された。入院後に躁うつ病の躁状態として、抗精神薬と気分安定薬を投与して、病状は安定した。退院時に精神科へ入院の報告(診療情報提供書)を出していたが、その返事が来ていた。

 うつ病として治療していたが、昨年のエピソード(昨年も同様の状態で当院に入院)と合わせて、双極性障害と判断されるので、気分安定薬で治療を継続します、とあった。当院処方のデパケン800mg/日は継続で、リスパダール6mg/日は漸減が開始されていた。

 昨年も同様の興奮症状を呈した時は、逆に精神科から器質的な疾患のためではと、当院内科に紹介された。当院の糖尿病外来(大学病院からバイトの先生担当)に通院している。入院時には糖尿病薬を中断して、高血糖高浸透圧症候群を呈していたが、それは結果であって、原因ではない。その時の入院では内科の若い先生が担当していて、抗精神薬の投与で落ち着いていた。

 躁うつ病(双極性障害)の診断は正しかったことになる。内科臨床が長くやっているが、気分安定薬を最初から投与したのは初めてで、いい経験になったかもしれない。

 

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AIH?PBC?

2018年04月19日 | Weblog

 4月11日に肝機能障害で71歳男性が内科クリニックから消化器科に紹介された。入院時に消化器科医から相談された。紹介時は、AST225・ALT135・ALP1173・γ-GTP748・総ビリルビン3.5で、胆道系酵素の上昇が目立った。腹部エコーでは胆道系に問題がなかった。

 HBV・HCVは陰性で、今時HAVもないでしょうという話になった(HEVも含めて検査は提出)。その後いつからの肝機能障害なのか問い合わせると、数年前からだった。慢性肝疾患としては、自己免疫性肝炎(AIH)か原発性胆汁性胆管炎(PBC)だが、どちらかというとPBCかなと思われた。AIHとPBCのオーバーラップも考えられた。TTT(IgM)とZTT(IgG)が上昇していたが、当院ではIgM・IgG・IgAが測定できるので、そっちで診た方が早い。

 結果は良そうに反して、抗核抗体1260倍で陽性、抗ミトコンドリア抗体M2は陰性だった。マーカーからはAIHになるが、臨床的・肝機能検査的にはAIHとPBCのオーバーラップを考えたい。治療はプレドニン(40mg/日)とウルソ投与で開始して、肝機能は改善してきた。あとはどこまでプレドンを漸減できるかになる。

 紹介した内科クリニックは消化器科の先生なので、普段はもう少し検査しているはずだ。AST・ALTが2ケタ(50くらい)だったのでそのまま経過をみていたのだろうか。

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偽痛風だけ?

2018年04月18日 | Weblog

 昨日の夕方救急当番の先生から連絡が来た。施設の嘱託医(内科医院)から、デイサービスに通っている95歳女性が不明熱で紹介されてくるので診てほしいという。ASTでピックアップ患者さんの検討をしていて、ちょうど終わる頃に救急搬送されてきた。

 紹介状には、病名が不明熱の疑いとあるが、症状は発熱・関節腫脹とあった。とすれば不明熱ではなく、関節炎になる。10日前から発熱が続いて、炎症反応が高値だった。患者さん本人は元気で、認知症があるが会話はできる。両側の膝関節が腫脹して熱感がある。自宅では杖歩行していたが、膝痛で数日歩行できなかった。

 両側膝関節内に石灰化を認めた、他の関節炎はなかった。膝関節偽痛風のようだ。肺炎や尿路感染症などの感染症に伴って発症することが多いので、感染巣の検索になる。内科医院ではグレースビットを処方していた。

 胸部X線・CTで肺炎はなく、尿混濁はなかったが、抗菌薬が効いたところをみているかもしれない。心雑音はなかった。蜂窩織炎もない。血液検査で白血球数13400・CRP27.3とかなり上昇していた。関節炎だけでいいのだろうか。

 1日空けてからの方がよかったかもしれないが、血液培養2セットを提出した。患者さんが元気でバイタルも問題ないので、NSAIDで1日経過をみることにした。セレコッコス内服だけにしたが、今日は解熱していて、食事も全量摂取していた。1週間くらい経過をみて、退院にできそうだ。

 

 

 

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骨格筋の挫滅

2018年04月17日 | Weblog

 昨日精神科病院から筋原性酵素の増加で60歳女性が紹介されてきた。精神科の病名は情緒不安定性人格障害(境界型人格障害)だった。12日前に自宅で転倒して全身(体幹部)を打撲した。冷蔵庫も倒れるくらいだった。その3日後に精神科を受診したが、血液検査でGOT 417・GPT 156・CK17045・LDH 1222だった。精神科としてはびっくりしたのだろう。

 19歳から精神科に通院し始めていた。結婚を機に他県に住んでいたこともあるが、離婚して戻ってきた。15年くらい前に現在の夫と再婚している。ちょっと気が弱そうだが、誠実な印象の夫だった。現在の精神科病院に替わってからも何度かの入院歴があると記載されていた。1年半くらい前から飲水(多飲)と排尿へのこだわりが強くなっているそうだ。

 普通に歩いて診察室に入ってきた。会話は問題ないが、いつ頃からかという話の時には夫が教えてくれた。紹介状を見て、心因性多飲・低ナトリウム血症を想定していたが、浮腫はなかった。

 転倒した日に総合病院を受診してと記載されていたが、それは当院だった。整形外科を受診して、左背部(肩~臀部まで)と右肩に皮下出血を呈していたが、特に血液検査はなく、骨折はなしとして帰宅になっていた。

 筋原性酵素を再検すると、AST 32・ALT 40・CK 401・LDH 530とかなり改善していた。Hb10.6g/dlと、5年間に受診した時と比較して2g/dl低下していた。皮下出血の程度がひどいので、そのくらいにはなるのだろう。右肩の皮下出血はすでに黄色になっていて、左背部はまだまだらに紫色を呈している。腎機能障害・電解質異常はなかった。

 特に患者さんは困っているわけでもなく、精神科病院に言われたので受診したというだけだった。そのまま経過をみていいですと伝えて帰宅とした。患者さん本人は割と無症状で、夫はありがとうございましたと言って笑顔で連れて行った。この夫のおかげで何とか生活しているのだろう。

 精神科へは、骨格筋の挫滅による筋原性酵素の上昇は改善して心配ありません、皮下出血による軽度の貧血も経過をみていいと思います、と返事を書いた。

 

 昨日の肝腫瘍の男性は、がんセンター紹介を希望された。カロナール1500mg/日分3(1回500mgで頓用追加可)で心窩部痛は軽減したそうだ。

 

 

 

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肝細胞癌ではなかった

2018年04月16日 | Weblog

 内科新患の先生(大学病院からのバイト)から心窩部痛で受診した58歳男性のことで相談された。腹部CTで肝臓に腫瘍があるという。

 10年前に地域の基幹病院で慢性C型肝炎の治療を受けている。当時はインターフェロン・リバビリンだろう。C型肝炎ウイルスは治癒したらしい。その後のフォローアップも終了していた。現在は近くの内科クリニックに通院している。心窩部痛で胃内視鏡検査を受けて、異常なしと言われていた。腹部エコー検査は受けていない。

 まずは腫瘍マーカーを追加した(採血分の血液で)。AFPは正常域だった。CA19-9が6万、CEAが17.と上昇していた。ということは腺癌で、肝臓原発とすれば肝内胆管細胞癌、転移性とすれば膵癌・大腸癌だった。画像上膵癌はない。CTで見る限り大腸癌はなさそうだ。胆管細胞癌だろうか。

 検査は、念のための上部消化管内視鏡検査と、下部消化管内視鏡検査が必要だ。そこまで当院で行ってがんセンターに紹介するか、そのまま紹介するかだが、当院で精査治療もなくはない。年齢を考慮すると、治療は難しそうなので、(予後不良の時に納得してもらえる病院に)紹介した方が無難か。

 鎮痛薬としてアセトアミノフェン1500mg/日を処方して、明日まで家族と相談してもらうことにした。

 

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COPDの増悪だけではなかった

2018年04月15日 | Weblog

 昨日の日直の時に、COPDで通院している80歳男性が10日前からの喘鳴の悪化で受診した。初めて診る方だが、名前は聞き覚えがある気がした。

 自ら以前に肺炎が併発して増悪したので、今回もそうではないかと言っていた。喫煙は続けていて、悪化してからはやめている(苦しくて吸えない)。聴診するまでもなく、喘鳴がある。その時点では、肺炎の有無を胸部X線と血液検査で確認して、治療は抗菌薬と一時的なステロイド使用を想定していた。両側下腿に軽度に浮腫があったが、その時はあまり気にしなかった。

 酸素飽和度が91~94%(室内気)くらいあるので、車いすで行って胸部X線を行ってから点滴・採血を行うことにした。肺炎の有無を見るためのX線だったが、両側に胸水がある。14年前に肺結核の既往があり、左上葉に瘢痕があった。時々胸部X線がとられていて、前回は今年1月、前々回は昨年7月だった。

 胸部CTで確認すると、左上葉に径7~8cmの腫瘤があった。あるのがわかった上で、これまでの胸部X線を並べて比較すると、左上葉の瘢痕陰影が漸増して、肺尖部が不鮮明になってきていた。

 結核の再発再燃でこのような腫瘤形成にはならないと思われ(たぶん)、まず肺癌だろう。胸水は癌性胸膜炎?。ただ今回は以前なかった心房細動を呈していて(昨年の心電図は洞調律でいつからAFかは不明)、心房細動・心不全の胸水かもしれない(BNP300)。喘鳴も肺気腫に伴う喘息症状+心臓喘息?。

 これが肺癌でも、年齢・腫瘍の広がり・肺気腫で常時喘鳴があることなどから、治療の対象にはならないと思われたが、一度は専門医に診てもらった上で方針を決定するのが好ましい。

 地域の基幹病院に連絡してみると、ちょうど日直が呼吸器内科の先生だった。病状を説明すると、う~んという感じだったが、診てもらえるこになった。病院には家族の車で来ていたが、酸素吸入も開始していたので、救急搬送にさせてもらった。吸入とステロイドの点滴静注をしたが、まだ喘鳴が続いていた。

 ベット事情が厳しい病院なので、肺癌で治療の適応なしとされて、そのまま戻される可能性も考えていたが、入院で受けてくれたようだ。診断がついて、病状が小康状態となったところで、当院転院になるのだろう。

 COPDの増悪、肺癌・癌性胸膜炎、心房細動・心不全、結核再燃・結核性胸膜炎?・・・。応用問題だった。

 

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肝の感染性嚢胞

2018年04月14日 | Weblog

 89歳女性が木曜日に発熱を主訴に内科新患を受診した。内科の若い先生が対応して、肺炎・尿路感染症は否定的だった。この方は総胆管結石で内視鏡的結石摘除術を受けていて、胆嚢摘出術の手術も受けていた。ふだんからPneumobiliaがある。

 肝左葉に嚢胞が多発していて、一部は多房性になっている。MRCPで明らかな総胆管結石・肝内結石は指摘できないが、嚢胞内の液体貯留が単なる嚢胞液ではなく、嚢胞周囲に炎症像があることから、感染性嚢胞と判断された。

 まずは抗菌薬投与で経過をみることになった。まだ3日目ではっきり解熱とは言い難い。週明けに発熱・検査結果をみて判断する予定だ。抗菌薬だけで軽快しないと何等かの処置が必要になるが、内視鏡処置でもないし、PTCDを置いても嚢胞全体からはドレナージできない。

 今日は日直で病院に出ていた。肺炎の95歳女性と、虚血性腸炎(血便)の83歳女性が入院になった。

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急性大動脈解離

2018年04月13日 | Weblog

 消化器科に逆流性食道炎・高血圧症で通院している64歳女性が、診察前の血液検査の時に突然の胸痛を感じた。処置室の看護師さんは、そのまま外来に戻したらしい。順番が来て消化器科の診察室に入ってきた時には顔面蒼白だったそうだ。

 心電図検査と胸腹部CTが施行されて、上行大動脈から大動脈弓に及ぶ急性大動脈解離だった。ちょうどタイミング良く心臓血管センターのある病院から循環器科の先生が外来応援に来ていたので、自分の病院の心臓血管外科に連絡してもらって、救急搬送となった。

 消化器科医は今日午後から健診胃透視の読影に出かける予定があり、外来予約が少なかったので、いつもより早く診察することができたと言っていた。いつもだとかなり診察まで待つことになるから。

 少し内科系医師の人数が増えてきたので(4人から8人に)。、症例検討会をやりましょうかという意見が出された。電子カルテで画像や検査結果が見れるので、気になった症例・ちょっと珍しい症例を共有するのはいいことだ(2~3人で画像を見せ合ったりはしていた)。

 

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肺膿瘍?

2018年04月12日 | Weblog

 84歳男性がクリニックから肺炎で紹介されてきた。平成20年に右肺癌で中葉切除術を受けている(大学病院)。既往歴が多数あり、胃癌術後・甲状腺癌術後・CABG後だった。甲状腺癌は年数的にまだ治癒とはいえないかもしれない。

 2月中旬に転倒した後から?、右肩痛・肩甲骨部痛がある。咳をしたり、深吸気時に痛いそうだ。その症状で整形外科クリニックを受診して、骨には異常がないといわれた。4月初めから咳・痰を自覚していたが、発熱はない(あっても微熱なのだろう)。

 先週の土曜日に降圧薬などをもらっているクリニックを受診して、肺炎としてニューキノロンが処方されていた。改善しないので今日の紹介になった。普通に自分で歩いてきて、食事もとれていた。数年前から食事摂取量は少なくなっているという。やせていて、最近の体重減少の有無を訊いたが、奥さんは前からこんなものという。

 昨年上気道炎で当院内科新患を受診して胸部X線をとっていた(左)。また1週間前に右肩痛・肩甲骨部痛で当院の整形外科を受診していて、胸部X線(肋骨も)をとっていた(真ん中)。その時に肺がおかしいと言われたそうだ。それと今日の胸部X線(右)。昨年のは術後というだけ。真ん中は上肺野外側に腫瘤様の陰影で、右はその腫瘤様陰影が縮小してそこに空気が入って、下肺野外側に液体が流れて行ったように見える。

 ニューキノロン投与後だが、抗酸菌塗抹は陰性だった。胸部CTでは膿胸?。胸腔穿刺してからとも思ったが、よくわからないのにいじってもと思い直して、そのまま明日地域の基幹病院呼吸器内科に紹介することにした。

 

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腸間膜脂肪織炎?

2018年04月11日 | Weblog

 55歳女性が内科小児科医院からの紹介で内科新患を受診した。紹介状には全身の痛み、特に腹部・背部とあったが、全身の痛みではない。受診時は体温37.3℃で、白血球数16400・CRP4.2と炎症反応の上昇があった。

 内科の若い先生に診てもらっていたが、よくわからないという。昨日の朝から腹部(臍周囲)と背部痛がある。背部といっても正中ではなく背部左右の痛みだというが、圧痛はない。主な症状は腹痛だった。臍周囲に軽度の圧痛があるが、腹膜刺激症状はない。白血球数9900・CRP17.5と上昇していた。

 放射線科の先生に腹部CTを見てもらったが、腹部臓器、腰椎・背筋に異常をできないと言われたそうだ。何度かCT画面を上下に動かして見てみたが、なんとなく腸間膜の濃度の少し上昇しているようだ。改めて、放射線科の先生に見てもらうと、以前の腸間膜脂肪織炎のような明らかな炎症像ではないが、炎症があるかもしれないと言う。

 患者さんは今日は体温36.9℃で、腹痛の程度は前日と同程度だという。食事がとれなくはない。入院しての経過観察はあまり希望しなかった。入院するとしても一度家に帰ってからまた来るようになるという。1日だけ外来で経過を見て、明日また受診した時に相談することにした。確定診断を言い切れないので、念のため血液培養を2セット提出しておいた。

 抗菌薬が効くというものでもなく、といってステロイドを入れるのも躊躇われる。今日は鎮痛薬(アセトアミノフェン)のみ処方とした。

 ケースで学ぶ 不明熱の診断学

 昨日は「ケースで学ぶ 不明熱の診断学」野口善令先生監修(文光堂)を購入。当院内科の不明熱のテキストは、「この1冊で極める 不明熱の診断学」とこの本にしよう。

 

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