なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

超高齢者の抗凝固薬

2020年01月21日 | Weblog

 昨日94歳女性が先週末からの食事摂取低下・言語障害で救急搬入された。数年前から認知症の症状があり、夜間に叫んだりして家族が困っていた。高血圧症・糖尿病・心房細動があるが、抗凝固薬は投与されていなかった。

 両手・両足は同程度に動かしていた。こちらから言っている意味がわからないようだ。自分からはよくしゃべり、意味が取りにくいが何となくわかる?。復唱はできず感覚性失語症だった。まったく食べないわけではなく、少し食べていた。家族はムセるとはいっていない。

 頭部CTで左中大脳動脈領域に低濃度を認めて、脳梗塞だった。Wernicke野を含んでいる。頭部MRIを拡散強調画像だけでも取りたかったが、動いてしまうのでやめた。

 入院で経過をみることにしたが、起き上がってしまうため、さっそく体幹抑制されていた。夜間に大声で叫んで、動くために抗精神薬が投与されて、看護室隣の本来は重症加算の病室に移されていた。

 心腔内の血栓を見るために心エコーを行う予定だったが、今日はやめた。出血梗塞が危惧されるので、抗凝固薬は急性期には投与しがたい。

 高齢者ほど脳血栓塞栓症のリスクが高いので、心房細動に対して抗凝固薬を投与すべきとなるが、上限はないのだろうか。

 

 その後に、80歳代後半のやはり心房細動の患者さんが脳梗塞(ラクナ梗塞の多発)で入院になっていた。循環器科の先生のクリニックに通院しているが、抗凝固薬は投与されていなかった。内科の若い先生が担当になって、急性期後に抗凝固薬を投与すると言っていた。

 これまでの経験だと(見聞きしたところでは)、何となくワーファリン1mg/日が投与されていて、全然治療域に入っていないが、とりあえず投与はしているという形にしていることがある。あとは、本人が内服しなくなった、あるいは家族が薬を飲ませるのをやめてしまったのを黙認というのもあった(残薬があるというので、追加処方なしのまま)。

 2週間前に療養型病床に転院した88歳男性は、内服できる時はDOAC内服としていたが、口腔内を含む全身に皮下出血ができて、家族に血栓塞栓の危険はあるが、もうやめるしかないと説明して中止した。

 

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脳症?

2020年01月20日 | Weblog

 先週の金曜日に88歳男性が高熱で救急搬入された。日曜日から高熱があり、月曜日(祝日)に当番医を受診して、インフルエンザ迅速試験でA型陽性と診断されて、タミフルを処方された。

 その後も高熱が続き、かかりつけのクリニックで漢方薬が処方された。発熱が続いて奇異なことを言うようになり、さらに地域の基幹病院を受診した(夜間救急)。漢方薬がよくないと言われて、通常の解熱薬(アセトアミノフェン)が処方された。

 それでもも症状が続いて、食事摂取も低下して動けなくなって救急要請していた。救急当番の外科医に呼ばれて、診にいった。簡単な会話はできるが、かなりだるそうだった。白血球数は正常域で血小板数8万と低下していた。CRP0.6で軽度の肝機能障害と軽度のCK上昇があった。

 胸部X線で両側肺門部に結節様の陰影があり、肺門リンパ節が石灰化していた。陳旧性肺結核のようだが、胸膜肥厚ではなく腫瘤様なのが気になった。その周囲に少し淡い浸潤影があるように見える。咳・痰はなかった。

 すでに発症6日目で、もう通常は肺炎併発がなければ治るころになる。点滴と抗菌薬投与で経過をみることにした。数日で軽快するかと思ったが、土日も高熱が続いた。今日検査したが、白血球数は同程度で、CRP0.7と細菌感染併発に合わない。血小板数は11万と改善してきていた。

 ウイルス感染が遷延しているような経過だが、よくわからない。脳症疑いで頭部MRIを撮影しようとしたが、ちょうど発熱が始まるころで、動いてしまい今日のところは断念した。

 アセトアミノフェンを500mg点滴静注すると37℃以下まで解熱して、会話もできる状態になる。明日MRI再検として、検査前にアセトアミノフェンを入れてから撮影することにした。

 家族はタミフルの副作用ではという(当院搬入時は内服終了していた)。尿培養は陰性で血液培養2セットの結果はまだ出ないが、菌血症ではないだろう。やはり脳症疑いでMRIが見たい。

 

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週末の風景

2020年01月19日 | Weblog

 金曜日は内科当番だった。当直医は外部の先生で、内科入院があると当面の指示(翌朝まで)は出してくれるが、翌日に病院に行く必要がある。土曜日のお昼から内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)の結婚式があるので、ちょっと間に合わなくなる。ということで、金曜日は病院に泊まって待機していた。

 金曜日は午後7時30分からファイザー若手医師セミナーがあり、池田正行先生で「臨床観察学」の講演だった。jolt accentuationの内原俊記先生がコメンテーターで出演された。

 最初にヒトラーの映画を見せた。左手に振戦があり、パーキンソンン病だったそうだ。当時現在のような治療薬はなく、アンフェタミンが投与されていたので、判断に相当な影響があったと考えられる。

 「観察」とは、患者さんの全体像・細かな動作を集中して見ることで、医師が患者さんに介入して所見をとる「診察」とは違う。神経内科医は患者を診察室に呼ぶのではなく、診察室のドアを開けて患者さんを呼び入れる。待ち合いに座っている状態からの立ち上がり、歩行などを観察する。

 「病歴聴取」とともに患者さんを「観察」して、ある程度疾患の見当をつけて(池田先生は1つか2つの疾患と)、「診察」はそれを確かめるために行う。神経内科医は膨大な神経診察の中から、見当をつけた疾患を確認するために選んだ「診察」を行う。極端にいえば、診断のために行う1つの診察は何ですかという。

 パーキンソンやシャルコーは、もっぱら「観察」のみで疾患を確立しており、「診察」はしていない。神経内科医といえば、ハンマーを持って腱反射をとるというイメージだが。パーキンソンもシャルコーも腱反射は見ていない。シャルコーの弟子である、ババンスキー(バビンスキー)が腱反射・病的反射(バビンスキー反射)を診はじめた。(パーキンソン病が黒質の病変によることは1950年代に判明した)

 シャーロックホームズが「緋色の研究」で、ワトソンが「アフガニスタン帰りの負傷した軍医」であることを一瞬で見抜いたことが記載されている。著者のコナン・ドイルは大学時代のベル教授をモデルにして、シャーロックホームズを生み出したという話もあった。

「観察」の方が客観性があり、努力で習得しやすい。「診察」は医師によって所見がばらつき、習得は難しい。

「観察」は日常的なものであり、患者さんの自然な動作感度が高い特異度も高い病歴の延長線上にある過去と比較し経過を追うのが容易第三者と共有が容易→教育に有利

「診察」は非日常的なもので、医師の介入による産物、感度が低くばらつく、特異度も低くばらつく、病歴と断絶している、過去との比較・経過観察もしばしば困難、第三者との共有がしばしば困難→教育が難しい。

 今後は「観察」を意識することにした。池田先生は著書がないので本にまとめてほしい。

 

 午後10時からドラマ「病室で念仏を唱えないでください」を見た。漫画で出ているのは知っていた。主演は伊藤英明さんで、救急医で僧侶を演じている。面白いドラマで、次回からも全部見ることにした。

 

 準夜帯は特に連絡もなかったが、画面で確認すると当直医は病院に到着早々に心肺停止の79歳女性を診察していた。心肺蘇生に反応はなく、死亡確認になっていた。土曜日の午前6時前に連絡がきて、発熱と腰痛で救急搬入された83歳女性を入院させたいという。発熱と腰痛は別の原因のようだが、尿培養・血液培養を提出してもらった。

 入院してから病室に診に行った。消化器科の外来に難治性胃潰瘍で通院していて、時々入院している方だった。週明けまでの指示を出した。

 金曜日の夕方に入院した88歳男性(インフルエンザ後の肺炎?)は夜間に高熱が続いて、せん妄(廊下に出て座り込んでいたり不穏あり)を来していた。すでに看護師さんの判断で抑制されていた。元町会議員さんで呼ばれた家族ががっかりしていたそうだ。治療内容を変更して、後は月曜の再検査で評価することにした。

 

 急いで家に戻り、今年の初売りで購入した礼服・コート(はるやま)を着て、若い先生の結婚式に出た。同じテーブルに衆議院議員さんがいた(新郎の親戚だった)。アメリカ軍のドローン攻撃やエルサレムの状況などの話が興味深かった。院長先生は議員さんと並んで写真をとっていた。

 

 

 

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重症?急性肝炎

2020年01月18日 | Weblog

 木曜日に内科医院から59歳女性が紹介されてきた。午後の受診で、地域医療連携室が内科の若い先生(内科専攻医)に診療情報提供書を持って行って診察を依頼していた。

 上腹部痛で前日水曜日に同院を受診して、血液検査でかなりの肝機能障害があった(外注検査なので翌日に結果判明)。AST 508・ALT 260・LDH 517・ALP 402・γ-GTP 193で、白血球6500・CRP0.40だった。また39℃の高熱もあり、腹部エコーで胆嚢内に胆泥がありことから、急性胆嚢炎疑いとなっていた。

 夕方時間外になったところで、他の先生と学会出席の話などをしていた。電子カルテ画面で、若い先生がその患者さんを診ているのに気付いた。特に相談はなかったが、総胆管結石が疑われると判断して、総胆管結石性胆管炎で専門病院に救急搬送していた。

 その日の肝機能は、AST 2738・ALT 1426・LDH 2532・ALP 646・γ-GTP 426・総ビリルビン3.2・直接ビリルビン1.8と、前日より一気に上昇していた。胆管炎としては変だ。

 CT画像を確認すると、胆道系の拡張はなかった。胆嚢の腫大・胆嚢結石はなく、肝腫大・脾腫は明らかではない。白血球9500・CRP1.1と細菌感染としては低い値だった。これは急性肝炎そのもののようだ。血小板18.8万・PT99%(PT-INR1.1)と劇症肝炎とはいえないが、重症急性肝炎相当だった。

 紹介した病院は消化器内科と肝臓内科があって、肝臓専門医が複数いるので、結果的には問題はなかった。

 薬は気管支喘息の吸入薬と内服のみで、以前から継続していて新規薬ではない。HBs抗原・HCV抗体は陰性だが、ウイルス性かどうかは外注検査を追加しないとわからない。

 原因検査として、A型肝炎・E型肝炎(EBV・CMVも)のウイルスマーカー、抗核抗体(一応抗ミトコンドリア抗体も)などを提出するとして、治療はすぐにステロイドを使用するかのだろうか。

 

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肋軟骨炎?

2020年01月17日 | Weblog

 水曜日に内科医院から47歳女性が紹介されて、内科新患担当の内科の若い先生(内科専攻医)が診察した。診療情報提供書には、8日前から左背部痛があると記載されていた。

 ふだんは高血圧症でそちらの医院に通院している(Ca拮抗薬1剤のみ)。血液検査や胸部X線で異常を認めず、金骨格系の痛みとして整形外科クリニックに紹介していた。「スジの痛み(患者さんの言葉)」とされて、NSAID(セレコックス)が処方されたが、さっぱり効かないという。帯状疱疹はなかった。

 血液検査・尿検査は異常がなく、心電図・胸部X線・胸部CTでも異常を指摘できなかった。いったい何でしょうか、と相談された。具体的にどこが痛いのか聞いただけではわからない。

 処置室で点滴をしていたので行ってみた。左胸骨左縁から3~4cmの第4・5肋骨の肋軟骨部2か所に1指頭分の圧痛部位がある。左胸部から背部にかけての圧痛はなかった。深吸気や身体をひねったり起き上がったりすると痛みが増強する。

 そういえば「一発診断」にあったなあと思って、宮田先生の本をめくってみると、「肋軟骨炎」がある。これかなあ。治療は対症療法でを行って、安静を指導して、重大な疾患ではないと保障を与えるとある。

 アセトアミノフェン1500mg分3の内服で経過をみることにした。点滴をしていたので、アセリオ1000mgを1回点滴静注しておいた。1週間後に来てもらうことにしたが、さてどうなるか。

 一発診断は、「1本の指で疼痛部位を示すことのできる、圧痛を伴う胸痛は肋軟骨炎」になっている。1本の指で胸痛の範囲を示すことができる場合は急性冠症候群を否定できる(特異度98%)、らしい。

 

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脳幹梗塞

2020年01月16日 | Weblog

 日曜日の日直の時に消化器科医が診た、77歳男性脳幹梗塞の症例。

 金曜日の午後7時ごろに右半身の違和感を感じたそうだ。翌日の土曜日になって、喋りにくさ(構語障害)と右半身の軽度脱力(上肢<下肢)を自覚するようになった。

 日曜日には歩行時にふらつくようになって、家族の車で当番医の内科クリニックを受診した。正確にいうと、受診しようとした。

 受診者が多かったためか、明らかに脳血管障害と判断される症状だったためか、受付で話をしたところ、患者さんに救急要請するようにと言われた。救急隊がクリニックに向かって、当院に搬入した。(救急隊の出動先は、住所の記載とともに○○クリニックとあった)

 患者さんが救急要請した形になるので、診療情報提供書はない。そのクリニックの受診費用がかからない点では患者にやさしい医療?。

 頭部MRIの拡散強調画像で脳幹部(左橋部)に新規梗塞像を認めた。時間が経っていたので、T1でもT2でも病変は描出されていた。

 脳幹梗塞ということで、専門医へ紹介と判断された(その日の当院内科当番は内科専攻医の若い先生)。地域の基幹病院に連絡すると日直はちょうど脳神経内科医で、受け入れてもらえた。次の日からベット満床で、連休明けになっても受け入れができなかったので、その点でもラッキーだった。

 クリニックの駐車場からの救急搬入という話。

 

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リンパ脈管筋腫症の気胸

2020年01月15日 | Weblog

 日曜日は消化器科医が日直で、34歳女性が左気胸で受診していた。連休明けに、入院になった受診者の画像を確認していたが、両側肺に嚢胞があるのが奇異な印象を受けた。

 2年前には右気胸で受診して、外科に入院していた(当院は気胸は外科扱い)。胸部胸腔ドレナージでエアリークが続き、手術のため大学病院に紹介になった。当院での胸部CTで両側肺に肺嚢胞が散在していることから、放射線科の読影レポートでリンパ脈管筋腫症疑いとなっていた。

 大学病院で胸腔鏡手術を受けて、その後はリンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis:LAM)として外来フォローになっていた。また気胸になった時は大学病院に連絡とされていた。

 消化器科医が大学病院に問い合わせると、まずそちらで治療して下さいということだった。胸腔ドレナージをして外科に入院した。

 大学病院呼吸器内科からの報告書によると、6年前に2回右気胸になり、その時のVATSでLAMと診断されたとある。3年前に右気胸が再発してドレナージで治癒している。2年間前に当院に右気胸で入院して、胸腔ドレナージでエアリークが続いて、大学病院で手術(全胸膜カバーリング術)を受けていた。

 全胸膜カバーリング術Total Pleural Covering(TPC)は、胸腔鏡下に肺の表面(臓側胸膜)全体を吸収性メッシュで覆い、肺胸膜を補強する。この方法では胸壁と肺は癒着しないので、将来の肺移植に支障にならないそうだ。

 入院後に肺は広がっているが、エアリークありとなっている。ドレナージだけで完治しない時は、大学病院と相談になる。

 確か前にも1例LAMの患者さんが受診していたような気がする。その方もどこか専門施設のフォローとなっていたと思う。

 

 

 

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感染性大動脈瘤?

2020年01月14日 | Weblog

 三連休の最初の土日は適々斎塾に出かけて、月曜は休めたので買い物をしていた(3日間で病院からの電話は2回だけだった)。徳田先生お勧めの「こんなときオスラー 平静の心をもとめて」(医学書院)を、今さらこの年でと思ったが購入した。

 

 今日病院に着くと、内科の若い先生から金曜日の夜間に入院した患者さんのことで相談された。「縦隔膿瘍」ということだった。

 患者さんは70歳男性で年末から左肩甲部の痛みがあった(本人の解釈では米袋を持った時からと=突発?)。年明けに整形外科クリニックを受診してX線検査(たぶん骨・関節)を受けて異常なしだった。その次に内科クリニックを受診して心電図検査で異常なしとされた。

 症状が続いて、10日金曜日夜間に当院の救急外来を受診した。当直医は眼科医だった。胸部X線で大動脈弓部に陰影を認めて、胸腹部造影CT(当初単純撮影をして、所見をみて造影も追加)を行った。膿胸かというと記載があり、その後に縦隔膿瘍と直している。

 38℃の高熱があったが、患者さんは発熱があるとは思っていなかったそうで、いつから発熱があったか正確には不明だ(クリニック受診時に発熱があれば対応はまた違うはず)。血液検査では白血球10500・CRP18.4と炎症反応上昇がある。D-ダイマーは2.8と微増だった。(HbA1c7.0%の糖尿病もあるが、本人は糖尿病とは思っていなかったようだ。)

 外来で血液培養2セットを提出していて、昨日の段階で2セットからグラム陽性球菌が出ていた。検査結果を確認すると、今朝になって2セットともMRSAと判明した。

 画像を確認すると、大動脈そのものに見える。大動脈瘤としていいようだ。ということは感染性大動脈瘤か。

 ちょうど専門病院の呼吸器内科の先生(外来応援のバイト)が来ていたので、一緒に見てもらった。大動脈だったら循環器内科に連絡して、という。

 主治医の若い先生に電話連絡してもらうと、いつものように快く受け入れてもらえた。若い先生は焦っていたらしく、間違い電話を2回していた(すぐ受けれてもらって調子抜けの感じだった)。ありがたく救急搬送となった。

 受診時に大学病院に連絡したが、受け入れてもらえず、そのまま当院入院で経過をみていたのだった。培養提出・抗菌薬投与・血圧の調整(ニカルジピンの点滴静注)なので、治療としては間違っていない。抗菌薬はスルバシリン(ABPC/SBT)で結果的に外れたが、これはやむを得ない。 

 感染性大動脈瘤で間違いなければ、よく破裂しなかったものだ。緊急手術にはならないので、抗菌薬投与・血圧コントロールで経過をみると思うが、それからどうするのだろうか。

 

 

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「適々斎塾臨床診断セミナー」

2020年01月13日 | Weblog

 1月11日・12日と適々斎塾の臨床推論セミナーで大阪に行ってきた。講師は下記のすごいラインナップ。

 2018年に感染症セミナーに出席したので約1年半ぶりになる。適々斎塾は年間塾生約13回44万円かかるが、ぜひ受けたい実践的な内容だ。しかし、大阪開催で片道5時間かかるのもあるが、何より開催日の土日2日を確保するのが難しいのであきらめている。

 毎年塾生以外でも出席できる特別セミナーがあり、1万円ちょっとで参加できる(今回は13000円。交通費と宿泊代で7万円。)。

 芸能人のライブを見に行くようなもので、内容もいいが高名な先生方を直接見られるということで出席している。今回は上田剛士先生を見たかった。

 来年は同じ時期に第1回の診断エラー研究会を開催するそうで、ぜひ行ってみたい。

 

1月11日(土) 15:00~18:00

臨床推論 達人の流儀? 洛和会音羽病院 酒見英太先生

       Mysterious Case 2題

1月12日(日)9:00~17:00

臨床推論 達人の流儀? 沖縄臨床研修センタ-  徳田安春先生

臨床推論 達人の流儀? 麻生飯塚病院      清田雅智先生

臨床推論 達人の流儀? 獨協医科大学      志水太郎先生

臨床推論 達人の流儀? 千葉大学        上原孝紀先生

臨床推論 達人の流儀? 洛和会丸太町病院    上田剛士先生

 各々1~2症例の臨床推論。

 

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わからない症例

2020年01月12日 | Weblog

 12月半ばに72歳男性が、2~3週間前からの食欲不振・倦怠感・下腹部膨満感を訴えて内科新患を受診した。新患担当だった内科の若い先生(内科専攻医)に相談された。

 血算では貧血などの異常を認めなかった。ALP・γ-GTPが軽度に上昇していた。血清蛋白7.0g/dl・血清アルブミン2.8g/dlと低アルブミン血症がある。BUN14.1mg/dl・血清クレアチニン1.11mg/dl(eGFR 51)と軽度に腎機能障害もある。糖尿病があり、HbA1c7.1%だった。

 胸腹部CTで右胸水貯留と腹水を認めた。腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)は正常で、CTで見る限り明らかな腫瘤は指摘できない。その後施行した上部消化管内視鏡検査では異常がなかった。

 肝硬変とは言い難いが、胆道系酵素が上昇していて、画像上胆道系に異常を認めないので、抗ミトコンドリア抗体を提出したが正常域だった。

 相談されてもこれといった考えも浮かばなかった。初診時はとりあえず、PBCに準じてウルソとスピロノラクトンを処方してみたが、その後の結果からは処方する根拠もなくなった。

 発熱はなく、初診時のCRPが4.6と出たが、その後の再検では1.0と低下した(抗菌薬・ステロイドの投与なし)。

 今週になって症状が続くので入院して点滴をすることになったが、今後の方針が立たない。IL2受容体抗体や血清・尿免疫電気泳動なども提出することにしたが、根拠のある検査ではない。エコーでみて腹水は採取できるが、それでわかるだろうか。

 

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