Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

国際女性デー

2022-03-08 10:39:00 | いろいろ
3月8日は国際女性デー。1908年のNYCで女性労働者が労働条件の改善を求めデモを起こした日を、国連が1975年に「国際女性デー」と定めたそうです。

イギリスで女性参政権を求めたサフラジェットの映画「未来を花束にして」は1910年代の設定なので、アメリカの都市の方が少し早かったようです。

それから100年以上たっても、日本では今でもフェミニズムを「もてない女や高年齢の女が若く性的に求められる女に嫉妬して騒ぐ現象」と思ってる人や「女性差別は存在しない」と主張して恥ずかしくない男性が。当然、男女の経済格差国際ランキングでも堂々の103位/190国中だそうです。

日本の会社で働く私は、現場の全スタッフは5人オンリー、リーダーは女性なのでチーム内では理不尽なことは起きないのですが、いざ本社の上の人やグループ会社や取引先の人たちを見ると、無能な男性社員が回す理不尽なことに当たって、こんなで会社は大丈夫なのかと心配になります。業績が悪くて真っ先に捨てられるのは非正規社員の私ですから!

現場の5人のうち、リーダーだけ契約社員で、残りの4人は非正規のいわゆるパート/バイト。そのうち私と私より後輩の男子1名は週5、1日8時間というもはやパートとも呼び難いフルタイムのパートです。あとの2名は週に2〜3日/6時間というパートらしいパート。

そして現場のことをほとんど知らない本社の副部長が来た時に、後輩男子に「正社員で働かないか」と私に聞こえる所で声をかけていました。入ったばかりだし査定もなければ業績もわからないのに。

それを聞いて私ももちろん「なんで働きぶりも不明の男子にだけそういうチャンスが与えられるのか」と理不尽な思いがしましたが、実はもっと憤慨したのはリーダーの方でした。彼女は唯一責任のあるポジションで実質現場のオペレーションを回していますので、そういう話はまず彼女にいくなら筋が通っています。

それに、副部長が無意識の差別で正社員候補に考えるのは男子しかいなかっただけでなく、正社員オファーを私に聞こえる所でするというのは、私の耳が不自由かそれを聞いても理解不可能な脳の持ち主と思っているということ?二重にアウトな行為。。。

結局、後輩の男子は責任のある立場につきたくない人なのでバイトのままですけれど、もしこれがもっとずる賢い男子だったら、責任はとらずにポジションだけ正社員になってたかもしれません。そしたら私のストレスMAXだったろうなあ。

こういう人が副部長になれるのが日本企業なんだ、と頭がクラクラしますけど、女性マネージャーが複数いた外資系企業と違って、新コロナの打撃で業績の悪い現場を即潰さないので今でも私の仕事があるという点ではありがたいですが。

でも日本での男女の賃金格差は女性の非正規雇用率が高いからという話を上のリンク先の動画でも言ってます。ですので、やはり男子にだけ正社員へのルートをオファーすることは社会的にアウトな行為だという認識がない以上、法律で禁止しなくては差が縮まらないと私は思います。じゃあ、法律作ってる人たちの意識は誰が変えたらいいのか?って話になると、それはやはりフェミニストが騒ぐしかないんでしょうかね?










シェイクスピアの庭 All is True

2022-03-06 07:15:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


ちょっと久しぶりにNetflixをのぞいたら、前の記事の「ビルド・ア・ガール」の隣にこの「シェイクスピアの庭」もお勧めされていて、せっかくなのでこちらも見ました。

「ナイル殺人事件」に次ぐケネス・ブラナー監督・主演作、春のケンちゃん祭りは始まっている。

「ヘンリー8世」上演中にグローブ座が全焼し、仕事を辞めてほぼ縁も切れていた(単身赴任だったのね・・・)故郷に帰ってきたシェイクスピアの話です。

映画では「なぜ筆を折ったのか」ときかれたシェイクスピアがそれに回答したかわからなかったのですが、別の会話で非難された時に、劇団トップの仕事量の多さ、責任の重さをシャウトしてましたのでそれが理由なのかなと推察しました。Wikiには、グローブ座の火事の原因は「特殊効果の大砲で屋根に火が点いた」とありますので演出を巡る責任を問われたのかもしれません。

さて、シェイクスピアには子供の時に亡くなった息子がいました。名前はハムネット。ハムレットとどっちが先なのでしょう??冒頭で息子の魂…ゴーストが「僕のストーリーを終わらせて」とパパに語り掛けます。

日本でも2年前に劇場公開されているので、ネタバレで書きますが、

ケネス・ブラナーが意図したかどうかは不明ですが、とっても「ビルド・ア・ガール」に次ぎフェミニズムな謎解きでした。

当時、英国でも女の子は学校に行けず家事手伝い、期待される仕事は嫁に行って子孫を繁栄させること。それに従いシェイクスピアも詩を書ける息子を愛し、しかも亡くなったものだからその愛も特別に。

息子の死の原因は疫病とされていたのですが、真相は、詩を作ったのは生き残った双子の娘の方で、その事実を娘がパパに告げようとしたところ、詩を作れるから愛されていると勘違いした息子は自死していた。

これは痛い!愛する息子を死に至らしめた原因が息子の才能への愛とは。性別による役割への期待が女も男も不幸にした例がここに・・・


それとは別に、貴族サウサンプトン伯爵(イアン・マッケラン)との当時の禁断の愛のような台詞もあり、誰か?と思ったらシェイクスピアのパトロンで、彼の肖像画を見たらたいへんな美男子だったみたいなんですよ。共に晩年ということで想像し難かったけど、そうか~シェイクスピアは王様女王様に雇われてたとなぜか思ってましたが、そうですよね、芸術家にはパトロンがいないとその才能も生かされないですよね。美しい芸術を愛する伯爵の話も誰か映画かドラマにしてくれないものでしょうか。






ビルド・ア・ガール

2022-03-04 20:59:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


「How To Build a Girl」というタイトルが聞いたことあるような気がして見てみた16歳イギリス田舎の女子の青春物語、舞台が90年代ロックシーン、音楽紙編集部というのに引き込まれて一気に見てしまいました。

主役ドリー・ワイルドことジョハンナは、田舎でもバカにされるイケてない夢見る文学少女。そう、それはいい。文才もあるので一度は「シャーリー・テンプル」とバカにされても「ビッチなら生き残れる」と毒舌批評家となり奇抜なファッションでケレン味のあるキャラクターを演じ業界のアイドルにまで上り詰める・・・

冴えない田舎の子が、アイドルになりたい願望(映画ではそんな願望がどこから湧いて出たのかわからなかった)をペンと奇抜なファッションで実力行使する。冴えないのは田舎だからだけではなく、家が貧乏なので田舎内のヒエラルキーでも下部。それがライターを目指してロンドンの音楽出版社に乗り込んで行ったら、ロックな空気でもケンブリッジ大卒の男がカルチャー界の「ライオットクラブ」のように他人を見下して君臨しているのだから、田舎者の高校生、しかも女、というマイノリティーを何重にも背負っていたのだった。

大抵この手のストーリーは男子が主役で、少し洗練されると貧相だったのがナイーブな詩人になったりする。しかし、ジェイムズ・コーデンも反論したくらい主役はスリム一択である=デブは主役になれない。

ところがドリーったら田舎者、貧乏、女、さらにデブなんである。すごいハンディなのにジェイムズ・コーデンにもできなかったことを成し遂げたのは快挙である。

しかし、私はどうもドリー(ジョハンナ)役のビーニー・フェルドスタインが主役なのに最後まで『キモい・・・・』という印象を拭えないまま終わってしまった。1.5倍になったシンディー・ローパーみたいで、ちなみにシンディー・ローパーも私はフィロソフィーには賛同するけど生理的に苦手です。

すごい豊満な肉体で露出度が高く文才があるので口も立ち、若気の至りとはいえ、家族への暴言は言っちゃならぬことばかり言うし、間違いに気づくとはいえやることがヒステリックすぎて鼻持ちならぬ。。。。う〜〜ぐぬぬヌヌ。

ビーニー・フェルドスタインは「レディ・バード」でもシアーシャ・ローナンの冴えない親友を演じてましたが、脇役なのでそれほど気にならなかった・・・個人の感想です。

でもそれを補えるのが脇役陣で、パパ役のパディ・コンシダイン、お兄ちゃん役、ロック・スター/ジョン・カイト役のアルフィー・アレンがとってもいい感じ、ちょい役でエマ・トンプソンもいい感じで出てきた。それに壁のジョハンナのアイドルピンナップが喋るという演出があるのだけど、そこにマイケル・シーンやリリー・アレンもいて私のビーニーアレルギー(すみませんすみません)も浄化されました。

さて、この映画には原作があり、作者キャトリン・モランの自伝的小説だそうです。映画と同じ音楽評論経由の人気作家・テレビ司会者で、「女になる方法」というベストセラー本も書いており、その日本版が北村紗衣の翻訳ということで、「How To Build a Girl」も聞いたことがあったのだ!と1周して納得しました。

ということで映画が面白かったので「女になる方法 ―ロックンロールな13歳のフェミニスト成長記」というフェミニズム本(これも北村さえぼう先生訳)も読みたくなり図書館に予約しました。こっちも鼻持ちならぬ匂いはしますが自分の目で確かめないと。



ゴヤの名画と優しい泥棒

2022-03-03 20:09:00 | その他の映画・ドラマ・舞台
「ボブ2」「ナイル」と同じ公開日に当たった第3のイギリス映画「ゴヤの名画と優しい泥棒」、おもしろかったです!



原題はThe Duke、日本語にしたら「あの公爵」でしょうか、それくらいイギリス人にとってナポレオン戦争に勝ったことは愛国心を掻き立てることなのでしょう。ヨーロッパを制し第2のローマ帝国を築こうとしていたフランスの皇帝を破ったウェリントン将軍が「その公爵」です。ドラマ「ヴィクトリア愛に生きる」でも政治家となったウェリントンも出ていました。

が、日本では祖国ほどには知名度がないゆえ『ゴヤの名画と優しい泥棒』とまた長い邦題をつけられてしまいました。肖像の本人よりも画家の方が日本では通るとみられたのね、ナポレオンの方なら日本でも知られていますが、公爵にはお気の毒です。

しかしイギリスにおいても、その国民の英雄の肖像画を国が14万ポンドも出してナショナルギャラリーに買い取ったと聞いて「国民の税金を芸術にそんなに使いおって」と憤慨していたおじさんがいたんですね、その実在したおじさんの映画です。

ストーリーもとても面白いのでみなさんにも是非オススメです。

しかしおじさんのキャラが「憎めない面白いおじさん」というだけではなく、戯曲を書くライター志望なので労働者のわりに教養があり口が立つ。だけならまだいいが・・・奥さんが清掃婦として家計を支えているのに、おじさんは口が減らないので仕事をすぐにクビになってしまうんですよ。しかもそれを奥さんに隠すし。

1961年にはBBCが受信料を払わない人を家を回って取り締まっていたため、おじさんは自宅のテレビからBBCのパーツを抜いて映らないようにして受信料を拒否してました。その時見ていたのが民放のITVで番組は「ロビン・フッド」でした。それで後から「絵に14万ポンドも出すなら国のために戦争で戦い今は年金暮らしでお金もなくBBCを見られない人の受信料に充てるべきだ」とロビンフットさながらに貧しい人の見方をすることにつながります。

おじさん、やっと職にありつけたパン工場でもパキスタン人が差別されていることに文句を上に言い、クビになっちゃう。この差別を許さないエピなんかは現代風で特に今の観客を味方につけやすく、チャーミングなおじさんの魅力をアピールしたと思います。

しかし・・・実は私はずーーーっと奥さん目線で、奥さんの「人類のためにとか言って家族も守れないのに!」のセリフに拍手を送ってました。

だって奥さん清掃したってきっとお給料はたかがしれてるでしょう、それなのに人の味方を気取る男は仕事がないわ、刑務所に入るわじゃ、奥さんかわいそうって。

でも奥さんの言った「家族」は自分のことじゃなかったって、映画を見進めているうちに気づきました。奥さんはもっと深い悲しみを抱えていたんです。失った家族をめぐっての夫婦間のわだかまりもあったんですね。

老夫婦のスター俳優たちだけでなく、気づかなかったけど裁判官はジェイムズ・ウィルビーだったようで。あと、おじさんの息子が「ダンケルク」のフィン・ホワイトヘッド
で、彼の従兄弟のイケイケ人妻彼女パメラ、「さまよえる魂」のコリンの奥さんの人でした。

映画はケン・ラッセルとは別方向からの有力者や国への批判精神に満ち満ちて、それでいて映画内の映画館シーンなどユーモアがあり、さらに裁判所での「エルサレム」の歌など「これぞイギリス映画」でとっても良かったけれど、おしゃべりで偉そうなこと言ってパンをベルトコンベアから落とさないで移すことに集中できないおじさんは、うちの夫にとても似ているので嫌でした。

シャーロック・ホームズの建築

2022-03-02 10:17:00 | イギリス


こんな本を読んでおりました。

よく海外小説を読むと想像力・・・というかその基本となる知識がなさすぎて文字に書かれたシーンが想像できないという事態に陥ってしまいます。

しかしイギリスものならば、通算7年ほどロンドンに住んでたならば多少その他の国よりはリアルにその場の空気を感じることも・・・たまにはありますが、それでも私の想像力のなさゆえ「ヴィクトリア時代のホームズの家も外も暗かった」としほとんど闇しか頭に描けなかった私に朗報だったのが本書。

各建築物が登場したコナン・ドイルの原書の要約(結末はネタバレなしがほとんど)と、ジェレミー・スコットのドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」と21世紀のドラマ「シャーロック」のシーンも盛り込んで「こんな建物だったはず」という外観と間取り図を解説してあるので、想像できなかった場面を手取り足取り教えていただけるような本です。

建築物を図に起こすという作業は、本に書いてあることをパズルのピースのように脳内三次元空間にはめていくようなもので、しかもピースは全部はないので本に書いてない部分は建築の知識や登場人物の個性、時代背景などを考証しDIYで仕上げるという、楽しそうながらたいへんなお仕事。

そして聖典ピースに時折矛盾が出現するのですが、それは、書いたということになっているワトソン君の間違ったということになっています!

ところで実は、この本を読みたいと思ったのは、過去に著者の北原尚彦さんにお会いできてサインもいただいた思い出でがあったので、出版ニュースをご自身のツイで拝見し一方的な義理を感じたからでもあります。

その北原さんがこの本を出したきっかけというのが巻末に出ていて、それが『ミッフィーの早引き人体解剖用語ハンドブック』をめぐる騒動だったという話もまたとてもおもしろかったです。

ファン心理がきっかけで手に取った、この本もまた別の本のきっかけとなっているんですが、そちらはまた別の機会に・・・