ソビエトの秘密作戦「Operation Glass」に翻弄するMI5チーム、特にボビーはアルカディに偽情報を掴まされたのでは、と懐疑的です。が、まだその証拠がない以上、アルカディは唯一の手がかりとして、彼のフラットを調査し、彼の背後のMI5の敵を探し出すよう、ダディが命令を下しました。
サラとジョーはアルカディを尾行し、彼が郵便局の私書箱を利用していることを知ります。単純に尾行するという古典的な探偵業、マイクロフト・ホームズの「leg work(下働き)」という台詞を思い出すけど、この時代には先鋭の仕事だったのですね。私書箱の中身を調べるようサラはジョーに指示。
そしてKGBメッセンジャーであるアルカディが次にコンタクトをとる人物は女性とわかったので、サラがその人物に成りすまし待ち合わせ場所のレストランに行きました。もちろん盗聴マイクをつけて。アルカディを車で送って行ったのはジョー。アルカディは「君たちの仲間は誰も店にいないのか?」と不安気です。ジョーはNoと言ったけれど、会う人物はサラだし、厨房ではシェフが忙しく鍋を振り回すすぐ後でアランとボビーがヘッドフォンをつけてる(笑)。私ここでやっと気づきました。盗聴器というのは近くでないと聞こえないのですね?!知らなかったァ!
サラの懸命の芝居による聞き出しにも、情報は得られませんでした。アルカディ、スパイ行動にはビクビクしているけれど、不安を装うサラを慰めるなど人間性は信頼できそうなんですが。
スヌーカー・プールに新聞を読む紳士。保守的な調度のジェントルマンズ・クラブらしきポッシュな室内にボビーとアンドリューがいます。ボビーはそこで友人に仕事の協力を切り出すも、彼には断られ読んでいた新聞を見せられました。一面トップの見出しは「VICE RAID OF HAMSTEAD HEATH」ハムステッド・ヒースで売春・・・アンドリューは警視庁の人かな。ボビーは援軍を頼んでいるけど、その新聞の事件で彼の部署も手一杯だと言っています。とぼけるボビーにアンドリューは「you live up that way, don't you?(君あのへんに住んでるんじゃなかった?)」と。ボビーはベルクレイヴィア(!)に住んでると否定しますが、アンドリューは「ああ、間違いか。なぜかいつもあの場所と聞くと君を思い出して。」このあと、ボビーはこの話題をそらすのと報復も兼ねて、前エピでのアンドリューの援軍がいかに役に立たなかったかをネチネチと報告して部屋を出て行きます。おもしろくない顔のアンドリュー。
アルカディの私書箱を調べにジョーは郵便局へ。アナログ時代のハッカー手口が楽しい(失礼)です。税務署職員を装い「ロシアのブラックマーケット品がここに送られたので箱を開けてください」と正面から頼むももちろん断られたので「警察の人と捜査官と一緒に来させてもらわないとだめですね。」とかわいく諦めたフリをして、店番のおっちゃんのお茶に怪しい液体を入れました。おとなしく退散してお茶を飲んだおっちゃんが「うっ」とトイレに駆け込むのを待って作戦開始。工具で鍵を開けて、封筒ののり付けをやかんの湯気ではがし、中身を見たら封筒にまだ戻して、ちょっとシワになったのり付け部分をごまかすためか足で踏んづけてグリグリしてからまた箱に戻しました。完全犯罪!
(おっちゃんは外国人。流暢そうにしゃべってたけど基本文法が間違ってるの。つい外国人のよしみで同情しちゃいました。おっちゃんじゃなくてお姉さんだったら怪しい液体使わなくても開けてくれたかもしれなかったのにね。)(ロンドンでフラットの鍵をなくした友人がいたんですが、鍵明け業者さんはそれはものの見事に開けてくれたそうです。鍵、プロ相手には意味ないですね)
ボビーはダディに呼ばれて彼のオフィスに入いるとアンドリューが。例のヒースの事件で男娼が顧客にボビーと思える男がいたと証言していると。このことを言うのにとってもまどろっこしい表現を使ってます。礼儀正しい脅迫&復讐。極秘だし、たいしたことではないし、ただの妄想かも知れない、と言いながらも、現状をお知らせしてこの件は君に任せると去って行きました。にこやかに落ち着いてお礼を言うボビー、笑顔が固まってる。ボビーはダディに「あの男には会ったこともないし、この嫌疑は晴らせます」と言い、ダディもそれを認めつつも「ただね、こういう話は一度出たら戻すのは難しい・・・」とボソっ。ダディのポーカーフェイスが一番怖い。MI5内では、ボビーが通ると社員の笑いが聞こえるようになりました。
私書箱に入っていたフランスからの絵はがきと、アルカディのフラットにあった絵はがきの意味はカウントダウンでした。ジョーの見つけた絵はがきはちょうど「1」、アルカディの国外逃亡か何かが起こると読んだ一行は車に給油していたアルカディを追い、寂れた空港に向かいます。(また同じ顔ぶれで車で追跡、ってアルカディにばれないのかなあ)
空港で起こったのは・・・アルカディの妻子との再会でした。
6年前、フランスの大学で知り合った女性の妊娠がわかった時、KGB命令で英国に戻ったアルカディはKGBの脅威なしに妻子と暮らす計画をたてていたと言うのです。
サラがアルカディに「Operation Glass」とはただの惑わしではないか、こうしている間にも本物の陰謀が別の場所で進んでいるのではないかと尋問すると、「それが本当だとすると、私の亡命も知られていることになる。しかし私がそれを決意したのはこの作戦が始まってからだからそれはあり得ない。本当に彼らが知っていれば今頃私の命もなかったはず」とアルカディ。
アルカディが情報さえくれれば、家族と平和に暮らせるようMI5は保証するとジョーは持ちかけます。しかし裏切ったら最後オーディンに殺されるとアルカディは怯えています。オーディンの名に密かに息をのむジョー。
MI5チームの会議で、ボビーはまたアルカディに厳しい目を向け、オーディンが英国内にいることをアルカディに酔って漏らした友人から更に情報を聞き出すよう、オーディンをおびき出させるよう提案します。友人を危険に巻き込ませるのは難しいだろうというサラの危惧を
ボビー「断ればMI5からの保護を打ち切るといい」
ジョー「妻子の命を盾に脅迫するのか」
ボビー「気分を害したしたのなら申し訳ないが」
ジョー「強制により得た情報には信憑性ない」
しかしダディに「アルカディは唯一の持ち駒だ」と決定命令を出されてしまいました。
ボビー得意気。
その脅迫を聞いて哀しそうな
アルカディ「This is meant to encourage me?/俺を励ましているつもりか?」
ジョー「It’s meant to help you understand./わかりやすく言ったつもりだ。」
(・・・こういう英語の運び、好きなんです)
ジョー「この作戦を阻止するためオーディンをおびき出せたら、家族全員の安全を保証する。」
アルカディ「もししないと言ったら?」
ジョー「MI5は我々の提携の終結を考慮せざるを得ないだろう。」
アルカディ「あの子は6歳なんだ。」
ジョー「だから・・・協力してほしい・・・」
アルカディはその友人をストリップ・バーに呼び、ジョーとジムも同席。
踊り子のBGMはブラック・サバスにT.レックス。リアタイですね。
電話通信会社勤務のその男にオーディン情報を渡さねば家族に危険が、という脅迫の続き。
アルカディを追跡した時、ウェンディの気転で空港をつきとめられたお礼にと、ボビーは彼女を食事に招待しました。ウエイターがフランス語を話すポッシュなレストランには、事務官と奥様ではない同伴女性がいっぱいなのに気づいたウェンディは、社内で不利な立場(ヒース事件のこと)にいるボビーが自分を利用していると怒って出て行ってしまいます。(ウェンディ、秘書とは言え陰謀渦巻くMI5トップチームの職員ですからね、彼女の言う通り、ボビーはウェンディを見くびっていたのでしょう。工作には自信ありそうなボビーですが、ポッシュすぎて市井の人、特に女性の感情と知性に鈍感すぎ。だから出世できないんじゃ?)
帰宅したボビー、ベルグレイヴィアの家でママが待ってました!友人から、息子がハムステッド・ヒースで男を買っていると言われた!と。ママお酒飲んでるし、手を上げて「キモい変態めが!なんでもしてあげたのに!ヤワだからみんな人にとられっぱなしで!パパと同じよ!出てお行き!」
(あ~あ・・・ママ・・・うすうすはわかっていても他人に言われるとね。ところでパパと同じって・・・パパもゲイだったの?ただの無能者?だけどボビーもご苦労ですのう・・・)
さて脅迫されたアルカディの友人と彼が会うと連絡が入りました。チームはKGBの罠かも知れないが、うまく行けばOperation Glass情報が得られると賭け、たとえ友人が裏切りオーディンが現れたとしても彼を捕らえるチャンスとダディが令を発しました。(素朴な疑問。オーディンがただの雇われ殺し屋だとは思わないのだろうか?)場所はSquareスクエアと呼ばれる町中の小さめの公園です。そこを2時間封鎖する命令を飛ばすボビー、自分の威信をかけるにしてもママの幽霊に取り憑かれたのかのように怖い。
盗聴器をお腹につけられ、ジョーと打ち合わせをして向かうアルカディ。ジョーが「Trust me.」とバックアップを保証するも、ここに来てアルカディはソビエト側に自分の寝返りを知られていたら?と恐れ始めました。戦場に向かう新人兵士のように妻子と僅かな時間を過ごすアルカディ。
その家族を見る時のジョー、甘酸っぱい。ユリアの回想シーンで彼女には9歳の子供があったこと、ジョーにはお父さんの思い出もないことがわかりました。奥さんにユリアを、そして娘には自分を投影しているようです。
スクエアの回りはビルで囲まれ、その窓から銃口を定める姿が。アルカディにもMI5にも気づかれてないけど。緊張の中、友人は現れ、アルカディと言葉を交わしてまた去って行きました。アルカディがジョーに持ち帰って来たものは「Phoenix」と書かれた小さな紙切れでした。再び追う謎が。
チーム会議では皆フェニックスのことしか考えていない中、ジョーはアルカディが義務を果たしたので、家族と住める家と新しいIDを手配するよう念を押しました。ついに念願の亡命が。(この時、ジョーは「安全な家をout of Londonに」と言ったのですけど、ダディの出した家はEast Finchley。そこは一応地下鉄も通ってるロンドン市内なんですけど当時は市街だったのかな。以前は日本人学校もあり日本人とユダヤ人が多く住む=安全で静かな住宅地でした)
ダディはアルカディの友人について、ジョーが彼はただ友人の頼みをきいただけでその器ではないと言ったにもかかわらず、ボビーの反対意見、彼は有能だから利用しない手はない、という方を採用しまう。ジョーの微妙な表情が痛い。・・・しかしその頃すでにその友人は血まみれで息絶えていました。MI5敵に筒抜けだ。
ボビーはダディの部屋で2人きりのときに「噂や嫌がらせで辞めることはありませんから。申し立てには正面から立ち向かいます。退職金で片を付けられるつもりもない。」「公聴の権利もあるしその件ではあなたは不利でしょう。」(ここ、バレリーナのことで脅してる)と鼻息荒いです。ダディの方は「まだ何も起こってないし、あの青年は口述を修正したようだし、身を縮めて怯え込まない限り、君は潔白ということでは。」ボビー「私も時間の問題だとは思っていましたが。」(安心したボビー。穏便なダディが相変わらず怖いのが彼には見えないのだろうか?)
夜中に新しい家に向かう車中で、アルカディはジョーに打ち明けます。「フェニックスは君らの中にいる。MI5にはもぐら(二重スパイ)がいる。」友人が公園でアルカディとハグした時に盗聴器に入らないよう耳もとでささやいたのはこのことだったのか!この時点でジョーとアルカディはその友人の死は知らないですね。
空っぽの家に着きました。
A「落ち着いたら、子犬を買ってやるんだ。幼い子はペットがいた方がいいと思って。」
J「僕もずっと子犬が欲しかった。」
A「そうか。じゃ君にも買ってあげようかな。」
ほのぼの~
J「みんなももう着くから待つだけだ。お茶飲む?」
A「たのむよ。」
キッチンに向かうジョー、新居の反対側の部屋を見に行くアルカディ。
ジョーの背後で銃声。
オーディンが潜んでいた。「裏切り者を始末に来たよ。そいつなら心配ない、もう死ぬから。またね。」
胸を至近距離から撃たれたアルカディは駆け寄ったジョーの元で苦しみ死んだ。
ジョーの「sorry…」「ごめんよ…」の小声が震える・・・・
*next time
のお知らせの映像があまりにもツボでした♡
この部分が終わってからエンドロールに入るので今回エピの一部として貼る(こじつけ)
<単語・イディオム>
たくさんの意味を持つ場合、その単語が出て来た台詞での意味と思われるものだけピックアップします。
今回もボビーのせいでここが膨らむ~~(笑)
disillusion 幻滅させる
determine 決心する
in situ (ラテン語)本来の位置
look out of place 場違いに見える
tap phone line 電話を盗聴する
bolshie 反体制の
vice 悪徳、性的不道徳、売春
raid 襲う
by the bye それはそうと
mater おかあさん(古めかしい表現だがおどけて)
associate~with~ ~で~を連想する
commandeer 奪い取る
put the kibosh on ~を阻止する
rent boy 若い男娼
punter 顧客
the lie of the land 事態
for the record はっきり言って
alleged 申し立てられた
encounter 衝突
reprisal 報復
save all one's bacon 危うく難を逃れる
capital <俗>=excellent
divulge 暴露する(教養を感じさせる種類の語。by英辞郎/もちろんボビーの語彙)
offend someone's sensibilities (人)の感情を害する
coercion 強制
at an end 終わり
desk officer 事務官
heifer 若い牝牛、小娘
repulse うんざりさせる
competent 有能な
exploit ~を不当に使う=利用する
and so forth その他、~など
force out 解雇する
allegation 申し立て、疑惑
shuffle off 転嫁する
gardening leave 同業転職や退職時に最新情報を口外しないよう有給がもらえること
ghastly 恐ろしい
euphemism 婉曲表現
limp 足をひきずること