キリスト教の一派の閉ざされたコミュニティで実際に起きた事件に基づくベストセラー小説が原作の映画です。
女性は教育されず読み書きもできず、考える権利も決定権もなく、男に暴力を受けても天国に行けなくなるのでその現実から出ることができない村。三つ編みの髪を結って花柄のドレスを着ているので「大草原の小さな家」のような時代かと思ったらなんと21世紀でした。
性暴力を「作り話」とか「妄想」と思わされていたところ一件が犯罪と認められたことから物語が始まります。女達全員が被害に遭ってるので「許して何もしない/戦う/村を去る」の3択をめぐり話し合う話。
特殊なカルト集団での話と思って女性達の話を聞いていると、だんだん現在の日本も大差ないのでは?と思えてくるのがすごいところです。
ウィショーさんは、一度村を追放になっているので、またその村において特殊な存在の男性オーガストでとてもキャラクターにぴったりです。
追放された後に外の世界で大学を卒業したので村の若者の教師として戻ることができました。村の男が全員固まって外出した時も彼は残って女性会議の書記をします。実際、映画には彼以外の男は全く出てこないのですが、オーガストの謙虚で礼儀正しい語り方を『なんであんただけ他の男と話し方違うの?!」と反抗的な女性にも気づかれますので、他の村の男は女性を尊重しない話し方なんでしょうね。そういう男しか知らない世界にずっと住んでるからそれが普通と思ってるのです。
このオーガストを出すことで、男尊女卑の村では実は男も辛い目に遭っているのだと、フェミニズムは女だけの問題ではないことを語っていると思います。
私も3年ぶりにイギリス行って来て、見ず知らずの人に親切なイギリスで心地よい思いをして日本に戻って来たので、日本の人はこれが普通だと思ってるんだろうけど、もっと生きやすい社会もあるんだよとどこかに向かって言いたい気分でしたので、もうカルト集団と日本が被って仕方なかった・・・日本人男女全員が見たらいいと思いました。程度の差こそあれ、欧米でもまだ男女の自由や尊厳には差があるからこそ、原作者や映画スタッフはこの物語を世間に広めたいと思ったのではないかな。
ところで、見に行った映画館でこれを発見!
いよいよな!夏の終わりに!忘れた頃やってくる日本公開・・・
この公開日だけはマーベル含むディズニーなどの大企業を見習ってほしい日本映画会です。