ワインの世界では「ミネラルが豊富」とか「ミネラルの香り」とか「石のようなミネラル」などと言います。
若いうちはつかみにくい表現なのですが、慣れてくると直ぐに判りますね。
だいたいワインは葡萄からできる訳ですから、根っこが吸い上げたミネラルは必ず実に蓄えられているのです。
それはどんな風味か?というと土に由来するような風味です。特に石灰などが判りやすいですね。
「いやあ石灰は舐めたことが無い」等と言う若手がいますが、硬水を飲めば明らかに水道水に無い粉っぽい、或いはイガイガする舌触りがありますね。収斂味と言うやつです。
また小中学校時代のグラウンドで石灰でラインを引く時に風が舞って石灰の白い粉が飛び散った時にする香りです。黒板消しをはたいたときもそうです。
さて、そのミネラルはどんなワインに顕著かというと、大雑把に言えば北のワインに多い、という事が言えます。寒い所でゆっくり熟し、その長いハンギングタイム(実が木にぶらさがっている期間=開花から成熟)に長い時間を要する葡萄に蓄えられるのですね。
リースリングやネッビオーロがその代表なんでしょうか。
産地が南でも晩熟の葡萄や、涼しい風が通る寒暖の差が大きい場合はミネラル豊富なテーストが見られます。
人間もそうですね。
温暖な環境でヌクヌク育った人より、厳しい環境で育った人に芯の強さが育ちますし、若いうちに才能を発揮する人より、遅咲きの人が長く活躍を続けるのですね。私には千代の富士が浮かんだりします。
こういったミネラル豊富なワインは、実際的には早いうちに消費されることが多いのですが、実は長い熟成の後に進化を遂げます。
硬いミネラルが香ばしさや円やかな食感を呈するようになります。しかも骨格を崩しません。
アルコールが高くタンニンも多い赤が意外と早い時期に頂点を超えて下降気味になるののは酸が足りないのとミネラルの骨格が無いからではないか?と経験上感じますね。
では、そういうワインを美味しく召し上がるか?
ミネラル豊富なワインを購入しましたら赤でも白でもデキャンタをすると良いですね。場合によっては2度でも3度でも良いと思います。
で、相性はというと白なら身の詰まった白身のもの。帆立貝やミル貝、或いはしっかりした地鶏などは格別です。
赤なら鹿等の鉄分の多い赤身。
さあ、ワインもそうですが、私もミネラルの多い人間にならないとな、と思う今日この頃です。