ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

話すことは・・・・

2017年08月19日 03時03分41秒 | ちょっと休憩
人を機敏にする、と言います。

先日「書くことは人を確かにする」という投稿をしましたが、いずれもフランシスベーコンの言葉です。

前文では「読むことは人を豊かにし、話すことは人を機敏にし、書くことは人を豊かにする」・・です。


で、今日のお題「話すことは人を機敏にする」とはどういうことなんでしょうか?


私なりの解釈しかできませんし、だいたいフランシスベーコンさんのことを知っているわけでもありません。


しかし、仕事中の多くの時間を話しながらこなしている私なりに解釈すると・・・・



書くことは「読み直して」「訂正して」「破棄して新しく、も出来」「何しろ【今すぐ】ではなく」などが可能です。

それ故に完成度を求められますし、読む人も「読み返したり」「時間を掛けたり」「解らない言葉は辞書(ウィキも可)を引いたり」「途中でご飯を食べたり、遊びに行ったり」も出来るわけです。


しかし、話すことは言葉を一旦発してしまったら瞬時に相手に聞こえ、何か間違えても【てにおは】などは記憶しておらず、ましてや破棄することなど難しい。

つまり話すときには咄嗟(とっさ)の判断で言葉を選び、多くの場合は次の展開まで予測しなければ尻切れトンボな話にしかならないのです。

また聞き手も一度のチャンスですから、文字のように読み返したりしないで判断しなければならないのです。


つまり話し手の単語選び、不要な言葉の選択、起承転結の組み立てを瞬時に要求されるということです。


サービス業の仕事はまさしくそうですね。

ベーコンさんがその意味で言ったのではない、とは思いますが・・・・


時折「私は話すことが好きだからサービス業を選んだ」という人がいますが、私の中では「NO」です。

例えば美味しい料理をワインとともに楽しんでほしい「手段」として話すのであって、話すことは主目的ではありません。

服屋さんでも散髪屋さんでもおなじでしょう。

主目的を達成するために私は話します。


いや私は下手な話し方を誤魔化すダジャレで姑息に生きていますが、上手な方の接客は短く的確。

まさに「機敏」です。



ところでシャトームートン・ロートシルトというワインの1990年のラベルを書いたのもフランシスベーコン。

しかし時代も違う全くの別人ですのでお間違いのないように・・・・・
シャトー・ムートン・ロートシルト [1990] 750ml Ch.Mouton Rothschild
シャトー・ムートン・ロートシルト
シャトー・ムートン・ロートシルト


             樋口誠