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読書と旅行と柴犬のブログ
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「猫を抱いて象と泳ぐ」静かで熱い唯一の物語を読む幸せ

2009-05-03 00:09:00 | 読書の時間
「猫を抱いて象と泳ぐ」★★★★★満点!
小川洋子著




「タイトルを考える、
猫を抱くことは出来るが
象と泳ぐことはできそうにない、
猫を抱いて泳ぐのも難しそうだ、
しかしこの本を読むと
その不思議な光景が目に浮かんでくる」



主人公は幼い頃、
動かないバスで暮らす友達から
チェスを教えてもらう、
その後、彼は「盤上の詩人」と謳われた
アレクサンドロ・アリョーヒンという
ロシアの伝説のチェスプレイヤーにちなんで
リトル・アリョーヒンと呼ばれるようになる。


とても静かな小説だ。


目の前で起こっていることを目撃しながら、
それら全ては
主人公がチェス盤の下に潜り込んで
チェスをさすように、
妙に現実感から乖離して
思い描くイメージは一枚の絵のよう。

思いもよらぬことが起こり、
次はどうなるんだろうと
そんなドキドキ感はこの小説には無いが
誰にどう思われようと構わない、
自分らしい生き方をした主人公の
唯一無二の物語を
息をひそめるように読み進めた。

めくるページが少なくなると
なんだか胸が締め付けられた、

でもそんなこちらの気持ちに
リトル・アリョーヒンは
「あせらないで」と静かに語ってくれた。

こんな読書体験はなかなか無い、
何にも似ていない、
経験したことのない物語、
でもそこここに自分がこだわる「何か」が
ちゃんと存在しているような
不思議な物語だった。



★100点満点で100点

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